水無月十一日 晴れ
雑草と共に生きる自然農。時に「再会」という普通の農では考えられない言葉とも仲が良くなる。
この春に意気揚揚と畑に植えた「生姜」の種芋(?)であるが、植えて一、二ヶ月程芽を出すことがなかった為、失敗かと諦めて放任しておいた。この季節となって一般道路に接したその場所の雑草刈り(自然農といえども道路に面した個所の雑草を刈るのはマナーです。)をすると、その草刈鎌の先に嗅ぎなれた鮮烈な香りが漂う。もしや?と思ってその刈り進めた草を吟味すると、まぎれもない「生姜」の茎が横たわっているではないか!!なんと、芽も生やさずに諦めかけて数ヶ月したその雑草の森の中に、しっかりと確実に命を延ばしていたのである。その瞬間に「雑草刈り」は「生姜の確認」に名前を変え、残る10株程の生存確認に時間を費やすことになった。結果私が刈り殺した一株以外は皆見事に芽を伸ばし、爽やかな茎葉をみずみずしくたぎらせていた。
なんとも突然で嬉しい再会であった。

↑わかるかな?刈り倒した草の中に伸びる二本の生姜が!
そんな生姜詮索作業をしていると、犬の散歩途中のご婦人が声をかけてくださった。
「ご苦労様〜。これは、もしかして『自然農…業…』とかいうのかしら?」
「うわあ、良くご存知ですね〜。全くお恥ずかしいほどなーんにも育ってないですけど…。」
「でもあの里芋とかそうでしょ?このあいだTVでやっていたの見たのよ。本当に雑草の中で育つものなのね〜?」
「そうですね〜。草の中で一緒に育つ野菜の中に居るのが楽しいのは確かですけどね〜♪」
「頑張ってね〜。」
ここ江南に来て色々周りの方と話をすることはあったが、「自然農」を知っていた人は初めてである。私はTVがないから知らなかったが、そういった番組が流れ、それを見る人も増えてきたということなんだろう。いよいよ、期は熟さずとも春は遠からじ。こうして、少しずつ自然農が広まれば世の中が面白くなるに違いないから。
なんとも小さくも嬉しい出会いであった。