葉月、八月の一日は八朔と呼ぶことは先日述べた(一日と月とはっさく)。この旧暦の八朔に、各地で祭や行事が伝わっている。八朔は、「たのみの節」ともされ、たのみ、つまり田の実を頼む(願う)豊作祈願の行事や、その年の新穀の贈答の慣習が生まれた。徳川家康の江戸入府の日でもあることから江戸時代には祝日と定められ、八朔行事が広く庶民に根付いていったとされる。
祭に付きものといえば餅の類であるが、その餅と八朔について面白い話がある。この日にお祝いとしてだされる餅を食べるのは嬉しいが、祭を過ぎれば暑さもようやく和らぎ日の落ちるのも早くなる頃だ。そのため八朔を境に昼寝も無くなり、夜なべ作業も始まることを憂えて「八朔の苦餅」と呼ぶそうな。「八朔の泣き饅頭」「八朔の涙飯」など、呼び名は数知れず。当時の下男下女の苦々しい表情が浮かぶようで微笑ましい。
そういうわけで本日は農作業はお休み♪ とりわけ餅で祝うこともないが、地ビールでも飲んで「たのみ」を頼む事にする。ああ、明日からは昼寝できないよなあ。これこそ「八朔の苦ビール」である。

今日の窓から:隣の田ではコンバインでの稲刈りが始まっている
※八朔行事について詳しく知りたい方はこちらを参照