霜月二日 晴れ
丸ヶ崎の田んぼで脱穀を済ませたお米たちは、ひとまず江南へ持って帰ってきた。昨日はあいにく少々の雨にもあたったので、脱穀した籾をある程度乾燥しなければならない。外にシートを広げて一気に乾燥させたくもあるが、みすみす野鳥の餌になりはしないかとの心配は捨てきれず、部屋に広げて陰干しすることにする。収穫の喜びとは裏腹に、小生の部屋が徐々に作業小屋と化しているのは間違いない。

上:イセヒカリ 左下:神丹穂 右下:香り米
米を脱穀してから口に入るまでには、「籾摺り」の行程が絶対に欠かせないのだが、昨日は籾摺機が満員状態で小生の使用は来週へ順延となったため、期待の新米はオアズケになった。今年の収穫は、白米が「コシヒカリ」「イセヒカリ」「陸稲(農林21号)」、古代米は「黒米」「赤米(紅の都)と(神丹穂)」「香り米」の計7種。後はいつどうやって籾を擦って食うかを楽しみに皮算用するのみ。
ところで自然農を個人規模で行う者にとって最大の問題は、必要最低限の農機具類の調達と言えるだろう。例えば米作りにおいては、収穫後の「脱穀機」「唐箕」「籾摺機」「精米機」があげられる。田畑を整えて作物を作るまでは何とか自力で辿り着いたとしても、いざ口に入れる段になって立ちはだかるこれらの機具の壁はでかい。こればかりは、手作業と農機具使用の差が格段にありすぎるのだ。ここにきても先人たちの苦労と努力が偲ばれてならない。「籾摺機」を通さずに米を食うことは出来ない小生は、ひとまず立ち往生するしかないのか…。
なんの、先人の知恵のかけらをお借りして、かつ同胞の奮闘も(Webで調べて)参考にして、何とか独力で籾摺りに挑戦するのがインチキ百姓の意地。いや、食意地。この挑戦用にふさわしい、収穫時に混ざってしまって種類がわからなくなってしまった米たちがちょうど一合ほど手元にある。これを自己流籾摺りでもっていざ食おうではないか。
用意したるは「すり鉢」。これに超ブレンド米を投入。すりこぎに始まり、調理道具各種、石、靴下をはめた手、ボウル、と試行錯誤の格闘二時間、これといったベストな方法は見つからないまま終了。それでも籾が一割弱残ったものの、炊いて食ったら関係あるめえ!と勢いで今年初の収穫米を食すことに。

ご覧の通り、赤米、黒米、香り米が主力の超ヘビー級のクセのある御飯が完成。文句なしの重量感。そしてなにより、籾が残るこの野生感。食物繊維があなうれし。まずは今年一年にありがとうございました、と合掌!!