霜月十四日 晴れ
ブルブルブル。雪が降らないのが救いではあるが、埼玉県北部の木枯らしは実に厳しい。暖かい日差しでなんとか持ちこたえられるのも午後3時が山。太陽が足早に傾きだすと、底冷えする寒風が体を刺すように吹き抜ける。冬を本格的に意識する1月2月と違い、まだ秋の暖かさの名残が記憶から抜けないこの時期は、気持ちの中の寒さは実は一番厳しいのかも知れない。
そうとなれば、農作業をするのは午前中から昼過ぎにかけてというきわめて短時間に集中せざるを得ない。ここ数日は、稲の脱穀がメインの仕事であり、毎日足踏み脱穀機を納屋から田んぼに上げ下ろすのもひと苦労である。昨年入手した「足踏み脱穀機」は、今年の米作りの仕上げを飾る、準主役級の活躍をみせている。所々に古傷がのこり、主要部品が欠けていたりと、ひと手間かけずしては有効利用もままならないが、今年いっぱいの作業はこのまま無事に終えられそう。もうしばらくの酷使に耐えてもらって、後でしっかりメンテナンスをするからがんばっておくれ。
ボディの8割が木製、主要の駆動部分と脱穀の歯のみが金属製という、レトロなこいつを是非、愛でてやって下さいませ。
うっすらと文字が残る、昭和のかほり。
猛々しい歯で、稲籾をこそぎ落とす。
注)記事の日付は太陰暦を用いております