「金曜日に遊びに行くよー」と、表現者である友人T氏が押しかけてきた。冬の閑散とした江南の景色にいまだ頑固にたたずむ稲木干しが目印の我が田んぼになかなか興味ありの様子。同行参加のC女史は某料理雑誌の編集者、米の偉大さについて論じあって来たという二人は今日の脱穀作業を嬉々として手伝ってくれた。
足踏み脱穀機を粛々とセッティングしながら、脱穀予定の稲穂を稲木から運んでもらう。今日の目標は「イセヒカリ」をほぼ終わらせること。作業量は多い。友人に自然農の概要を伝えながら準備作業をする「感覚」も少しずつ身に突き出し、手を動かしながら偉そうに指示を出すのも慣れてきた。
足踏み脱穀は一度経験すればコツをつかむのは容易であり、T氏もC女史も小生の手ほどきを聞きながらも、自分のスタイルで小気味良く脱穀作業が進む。小生も足踏み脱穀はこれで3期目であり、回転スピード、効率的な穂の叩き具合、機械のセッティング、少しずつ自分の体に馴染みだしている感覚は素直に嬉しい。
3時間、3人で一心不乱に脱穀作業の末、ワイワイやりつつもノルマは達成。30kg用の米袋にパンパンの稲籾が脱穀されました。(もちろんこれから唐箕にかけて精米すれば量はジワジワ減りますよ。)
よく働く一同に天も気を良くしたのか、いつもの午後からの寒さが姿を見せず日の入り近くまで陽気が続いた。それじゃあ畑もということで、土産代わりに里芋と冬菜を収穫に向かう。言い訳だらけの今期の畑は、ぱっと見たら荒地にしか見えないとの率直な意見も耳に流しつつ案内を続ける。これも慣れのひとつかも。収穫物にはある程度満足させながらも他にも何かないかと畑を見回して、ふと小豆を見つけた。この小豆は、昨年育ててこぼれた種が自然に発芽して成長したモノだが、手入れを全くすることなくも、見事に育って実をつけている。これも自然農の醍醐味だぜいと虚勢を張って、こそりと小生自身も自然の隠れた底力に改めて感動してみたりした。
夕刻、野菜を渡して見送るつもりが「この野菜使って一緒にご飯食べようよ♪」という団欒に飢えた男へ痛恨の誘惑が放たれ、見事撃沈。友人宅へ上京し、蒸かし芋から水炊き、エビスビールに芋焼酎までのフルコースに満足の夜を過ごすことと相成りました。今宵は満月。冷えが厳しい夜も、ほんのりあったかい満月。
大学生活以来、お互いに悩みつつも自分の道を選ぶことを潔しとした同士であり、その表現方法↓はともかく(笑)純粋に尊敬できる友。そして新しく出会えた、好奇心が重なる部分が嬉しい友。これからも頑張ろうと握手して、終電に乗り込んだ。
もちろん、ここで採れた大根ではない…(涙)
◆Crazy Harmony:友人Tの音楽的HP
…「ジャズからポップまで、幅広いジャンルを熟知しサンドイッチの
ごとく簡単に料理してしまう」男。(ボストン・グローブ紙評)