如月十二日 晴れ@つくば
今週の月曜から、節句は「啓蟄」を迎えている。虫の騒ぎ出す頃なのだ。そんな頃に、いつもの主役が顔を見かけない。
つくばの畑にて溝掘り作業を進めていると、ちょっとした事だが気になりだしたことがある。掘り起こした溝の土に、ミミズの姿がまだ一度も現していないのである。2年前、江南にて雑草伸び放題の荒地を開墾(溝掘り作業です)した時はそこかしこ、もぞもぞもぞりと突然の鍬に驚いたミミズたちが動き回っていたのを思い出す。なんとなく硬く引き締まっていた荒地で、のことである。一方、ここつくばの畑は、前年まで有機農で使われていて「豊か」だと思われる土。だのに、なぜ。
思うに、その原因は有機農業で使用されるトラクターではないだろうかと推察される。いわゆる重機、重い重い機械で土の上を走行し、鋼の回転カッターで土を切り刻むことで土を「耕す」のがトラクターの仕事。つまり、表土はふかふかに耕されるものの、みみずちゃんや土の中の昆虫君たちが五体満足で留まる術はほとんどないのだ。もちろんそれは有機農業としての正攻法であり、みみずなどいない代わりにたっぷりと有機肥料を投入して、おいしく元気な野菜が育てられていることに問題はない。ただ、自然農に慣れてしまった感覚からみてしまうと、土を掘ってミミズがにょろりと登場しない畑というのはなんとなく物足りないかな、というセンチメンタリズム。もちろん、これから不耕起を続けることで、どこからともなくミミズ野郎が住み着いてきてくれることをゆっくりと期待するのだ。
ミミズが増えるとモグラが釣られてやってきて、畑が荒れだすという悲しい連鎖反応も待っているのだが、それもまた嬉しい悲鳴ということで。
その代わりと言ってはなんですが、啓蟄の主役はミツバチが、しばらく座を譲らなさそうです。ぶーんぶんぶん。
【啓蟄】…
陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出れば也(暦便覧) この頃になると、冬の間、土の中で冬ごもりしていた、いろいろな虫が
穴を啓いて地上へ這い出してくるというところから 啓蟄と呼ばれる。
またこの頃は、春雷がひときわ大きくなりやすい時期でもある。
そこで昔の人は、冬ごもりの虫が雷の音に驚いて這い出してくるのだろ
うと考え、「虫出しの雷」と名付けたりもした。まだまだ、寒い時節で
はあるが、日足も目に見えるように長くなり、日の光の中に春を強く感
じるようになる。ちなみに、「蟄」は「ちゅう」の慣用読みで、虫など
が土中にかくれている意である。
※読み:ケイチツ
<参考:
【室礼】和のこよみ>