注)記事の日付は太陰暦を用いております

2007年02月03日

アジと味噌

師走十六日 晴れ

 薄ら寒い一日。前夜まで、今日、春が生まれる前日のこの日までに、残った稲の脱穀を完了させようと思っていたのに。。。ドアを開けた途端の寒気と風に、決意が軽くなぎ倒された。

 旧正月まで居座ってもらうぞと宣言したままの、ひび割れ激しく部屋に佇む鏡餅と、玄関の柱に括りつけた正月飾り。ハレの儀礼がもはや日常になりつつある光景だが、今日はその飾りの隣に、ヒイラギとアジの頭を加えることにした。節分の飾りといえばヒイラギとイワシであり、縁起物は由来のとおり行なうのがそりゃあ間違いないのだが、わが冷凍庫にはアジの干物とサンマのミリン干しとカズノコしかないのである。なになに、と起源を調べてみると、イワシはすぐに傷んで匂いが強いために鬼が嫌うとされたそうだとチラホラ。なるほど、匂いの点では干物のアジだって負けてはいまい、と包丁一閃、冷凍干物の頭を叩き切り、束の間の、鬼除け飾りをこしらえてみた。

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 ついでに豆も、と棚をのぞく。今年脱穀した大豆の陰に、昨シーズンの豆の残りが隠れているのを発見した。うーむと考えたが、年男でもなし、鬼退治に一人で豆を撒くのも恥ずかしい。炒り豆には多すぎる、古米ならぬ古豆を手に取り数分の後、いざ初めての味噌づくりを試みることに決めたのだった。
 

 かくして、イワシの代わりにアジ、豆を撒く代わりに、豆を浸すことになった今年の節分。つくばの鬼さん、今年はお手柔らかにお願い致しますね。



 手作り味噌のイロハは他のサイトに譲ることに。さて楽しみ。

味噌の作り方…「手前みそセット」や「こうじ」を販売する伊勢麹さんのHP。
           サイト内の手作り味噌の解説は、イラスト、豆知識も豊富で良質。
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2007年02月04日

開花

師走十七日 【立春】 晴れ


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 青みは薄いが透明感は高い冬の晴天の下、筑波颪(つくばおろし)に白梅が強く揺れていた。

 
 「明日は、風も落ち着きポッカポカの陽気に見舞われるでしょう」という天気予報のお姉さんの声を信じて、農作業の手を明日に伸ばし、今日は田畑の周囲を散歩することにした。冬の盛りに春は産まれる。暦は、今がその頃合いだと説く。いざ廻れば、歩くその足元に、枯れ草の間に、フキノトウ、オオイヌノフグリ、ホトケノザが、見え隠れ。見上げれば、梅の開花に桜の蕾、おまけにいよいよ杉も開花である。

 慌てて、花粉用マスクを押し入れから引っ張り出す。Blogに綴るのも忌まわしい、ついにこの季節が産声を上げたのですね。やれやれ(笑)。




 【立春】…春の気たつを以て也(暦便覧)
      この日から立夏の前日までが春。
      まだ寒さの厳しい時期ではあるが日脚は徐々に伸び、
      九州や太平洋側の暖かい地方では梅が咲き始める頃である。
      ※読み:リッシュン
      <参考:こよみのページ

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2007年02月06日

カブと共に去りぬ

師走十九日 晴れ

 先日の週末、農園のプレーヤーが畑にみえ、その帰りに小生宅のドアをノックしてくれた。収穫した大根とカブを分けてくれるのだという。見事に育った大根とカブの十数株のうち、数本を持ってきてくれたのだった。冬の畑の様子としてはプレーヤーで一番成績がよく、一見放任主義の畑は、まめに管理をする小生の畑に負けず劣らずの成長をみせている畑の主である。

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 今月でつくし農園を卒業されるということで、ドアの前で少し立ち話をさせてもらった。東京からの農園通いということもあり月に一度の畑の世話なのではあったが、魔法のようによく育った野菜もあり、もちろんそれと同じ位、壊滅的にだめになる野菜もあった。ご本人曰く、「何も考えないで種をばら撒いて多すぎた分だけ間引く(そして間引いた分も食べちゃう)、という乱暴な方法」とのことだが、そのなにげない言葉も、考えさせられることはとても多い。

 少し遅くなったが、いただいた最後のカブを調理した。昆布と煮干の二番出汁でカブを丸ごと茹で、ほとほとに柔らかくなったところに、ひとくち醤油を垂らして食べる。いやはや、なんという甘み。たびたび間引き野菜いただいちゃって、ありがとうございました(笑)。

 お住まいの近くで畑を探してみるということ、ぜひとも、これからも農が暮らしのそばにありますように。入れ替わりに、また新しいメンバーがつくばの畑に足を踏み入れることになる。あと数ヶ月で、秋に「ばら撒いて」くれた花の種が咲き誇る。はず。
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2007年02月11日

天然素材

師走二十四日 晴れ
 
 ウサギなのか、キジなのか、スズメかカラスかヒヨドリか。獣害鳥害問わず、健気に育つ野菜たちを我が物顔で食い散らすインベーダー(侵入者)に少々悩まされたこの一年。上から襲う、鳥の害からは別として、まずは陸、ウサギの進入を防ぐべく畑の東側、篠竹の藪との境にフェンスを設けることにした。

 先月切り出した真竹を杭に立て、藪を開拓した篠竹を横に渡して組み上げる、インチキ百姓オリジナルの、簡易竹垣である。竹の資材がもう少し豊富に切り出せたら、巧みな技術と十分な作業量を投入できたら、という「たられば」は叶うことなく、限られた資源と時間は、創造力を産みだす源泉となる。かくして思いつきの竹垣は、農園メンバーの頼もしき協力の甲斐あって、予想以上に納まりの良い風合いに仕上がった。

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 <photo by yamaさん>
 

 竹、篠、ジュート紐、そして何よりメンバーの手と汗。完成まではもうしばらくかかりそうだが、またひとつ天然素材の手作り構築物が畑の仲間に加わった。

 まあね、ウサギはこれしきで諦めるタマじゃああるまい。それはまたその時の話。モグラ?カラス?ヒヨドリ?ムシ?・・・しばらくはその名前、忘れさせてくださいませ。
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2007年02月12日

たなびく

師走二十五日 晴れ
 
 神武天皇が即位した日とされる建国記念の日の翌日、陽気に誘われて霊峰筑波山へドライブ。梅まつりを翌週に控えた梅林は、開祭前にも関わらず多くの梅好きが足を運んでいた。

 筑波山神社から少し下って広がる梅園は、傾斜に居並ぶ紅白鮮やかな梅と筑波山の中腹から望む関東平野の眺望を、贅沢に重ね見ることができる名園である。暖冬の誘惑に負けて少々急ぎ足の梅たち。焦げ色の深い幹に満開の紅白を咲かせる早咲きを背景に、指で触れたら弾けそうな程に膨らませた無数の蕾のなんと可愛らしいことか。

 林道を登りきり、展望あずまやへ。しっとりと枯れ草色のつくばの野に、濃度の濃い春霞がたなびく。真冬を越えた春の入り口、この独特の重苦しいとも言える、ほつほつとした息吹の塊のような気配に包まれる季節。国が拓かれた紀元節は、もしかしたら今日のような日であったのかもしれない。この、春にたなびく霞には、遥か無尽の自然の命が内包されている気がしてならない。 


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 梅林から望むその霞のすそに、つくし農園も包まれている。包まれて、命あふれますように。




筑波山梅まつり
  :今年で34回目。2月中旬から一ヶ月ほど開催されるそうです。
   混雑が予想されますね。
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2007年02月20日

迎春

睦月三日  曇り時々雨

 春節、旧正月を迎えて三日。とりたてて目出度い様子もなく冷たい雲の日が続く。旧暦の季節感を知るようになって十年程が立つが、どうしても、旧正月の越し方が身につかない。自分にとって正月とは、空気が乾きだして身を切るような風に体がようやく対応しだした、あの12月末の軽薄な空気こそであり、あの元朝参りの明け方の軽やかさにこそ正月の厳粛さを覚えてしまう体になっている。
 対してこの時期とは、寒さはほとほと身にしみた頃であり、時折の春の息吹に心身がくすぐられて良くも悪くも次の季節を待ち焦がれ、ただ時折の重いかたまりのような底冷えや突風には甚だ嫌気がさすといった、なんとなく重量感のある空気である。しかし江戸時代までの日本人にとって正月とは、まさにこの季節を迎えての正月でしかなかった。12月のあの軽薄乾燥な空気はまだまだ収穫物や農作業も最終盤を迎える忙しさであり正月などでは決してなく、立春前の寒さの極みに師走を過ごし、春を目の前に迎えた今のこの空気こそが正月であり、迎春であった。

 迎春。本来であればなんと季節感のある言葉であろうか。しんしんと降る雨に手指が動かぬほど震えても、数日前の暖かさを思えば春の近さを信じることができる。そんなこよみの頃。だからこそ、歳を改めて祝いをもうけ、次のひと回りを始める心構えとしたのではないだろうか。

 もちろん、それが新暦であっても旧暦であっても、新年を迎えるという人間特有の文化習慣であることには変わりなく、それはいつでもいいのかもしれないと言える。しかし、季節と気候が文化風土にいかほどの影響を与えてきたのかを思うと、日本の文化とはやはり旧暦での暮らしに礎を築いており、その残り香を知ろうとするのは決して無駄なことではないように思えるのだ。


 で、さて。

 本当は、旧暦の大晦日(今年は2月17日)までにお節料理を用意して、旧正月を雑煮やおせちで楽しむつもりだったのだが。年越し太巻き寿司は楽しく堪能したものの、絵に描いていた餅は屏風から出ることなく、副業に多忙を費やしていつもの2月を過ごしているのでありまして。まったく正月なぞの趣はなく。せめて小正月には、ホンモノの旬の「七草」粥でも食べたく思うのでありますが、はて。
posted by 学 at 22:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 暦の調べ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする