注)記事の日付は太陰暦を用いております

2007年11月25日

まどろみの先

神無月十六日 晴れ


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 「慣行農、有機農、自然農のカブ、五感をつかって味の違いを感じとってみてください。」そんな粋な企画に出迎えられつつ、まどろみカフェの夕べを楽しんだ。提供した野菜の量は限られたため限定十数食の自然農プレートとのことだったが、小生がまだつくばを発つ前に、カフェからは「開店二時間で完売」というメールが届く。嬉しいやら申し訳ないやらである。朝いちでお願いされていた里芋の追加注文分も持参して上京するはずだったのに、気も漫ろでTXに乗り込んだ結果、車の中に忘れてくるという失敗も犯して、期待の里芋コロッケは食べられないなあなどと腹の虫を鳴らしながら、メッキリ冷えた空気に包まれた中野駅に降りた。


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 初めて訪れる「まどろみカフェ」は、賑やかな駅前の喧騒から逃げるように線路沿いを歩いた先に、ぼんやりとたたずんでいた。無機質なアパート群と時折見える庭木に囲まれた通りにふらりと顔を出す看板には一房の稲穂がライトに照らされて、こちらを手招きをしている。誘われるようにして門を入ると、靴が並んだ昔風の縁側に出迎えられ、その大き目のガラス戸の奥には紛れもなく暖かい室温が待ち構えてくれていた。暖かさの中に知ってる顔がちらりほらり。つくし農園のプレーヤーや、大学時代の友人らがいて、のんびりとしたカフェの空気がますます和やかになっていく。
 メールでは完売とのことであったがそこは予約客、なんとかプレートを食べられそうでひと安心。その一方で、普段自然農の野菜に触れることの少ないお客さんに食べてもらえる機会を自分が奪うのはいったいどうなんだとも思ってみる。一瞬。しかしキッチンの奥から漂う優しい調理の香りに鼻腔が占領され、その瞬間に頭が空腹に占領されることになった。小さめの調理場の中では、プレーヤーのyさんがこまごまと手を動かしてガスレンジと格闘していた。さて、飯だ。

 本日頂いたメニューは覚えている限りではこちらのとおり。

 ・カブのおひたし(テイスティングテスト)
 ・里芋コロッケ
 ・キクイモのキンピラ
 ・有機野菜のサラダ
 ・自然農ブレンド米
 ・サツマイモの茶巾+豆乳アイスなどのデザート

 シンプルで、素材を活かすことに意識された優しい味付け。「ウマイ」という表現より、「おいしい」という言葉のほうがふさわしい。そして何より、口に入れるのが「嬉しい」。メニューとして提供してもらった我が子の晴れ姿は、いつもの手料理とはひとあじ違い、よそ行きの顔をして澄ましているようなそんな別の魅力があった。こうした喜びはなかなか代えがたいものでもあるなあ、とシンプルに胸が充足していく心地。次回がいつかは決まっていないが、出来うる限りつなげて行きたいと思う。自然農で育った野菜の味を知ってもらうこと、それは今自分が思っている以上に意味があることなのかもしれない。



 いつの日かつくばでも。できたら、だな。
posted by 学 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 食の喜び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする