注)記事の日付は太陰暦を用いております

2007年12月13日

メザス

霜月四日 雨のち晴れ

 この年齢になっても、初めて経験するものは数え切れないほどあるのだが、シンプルな加工食品をシンプルに作ってみるとその単純で理に適ったノウハウに素直に感動する。先週末、閉店間際に駆け込んだお気に入りのスーパーで、カタクチイワシ25尾120円の半額シール付きを買い求めた。カタクチイワシなど自分で買って食べたことなどほとんどなかったが、あまりの安さに反射的にかごに入れてしまっていた。味噌、梅干、ラッキョウ漬け、ビール、干しイモ、などなど、小生が浅く積み重ねてきた加工品リストに加わる新たな品目、「メザシ」への挑戦である。

 太平洋岸の港町で育った小生である。干物との付き合いはわりと長いほうだ。とんと忘れていたことだが、小学生の頃までの実家の裏には干物加工店が干し場を広げ、キャッチボールの暴投が家の裏に投げ込まれると、猫用の金網を潜り抜けて干し台に頭をぶつけないようにボールを取りに入ったものだった。子供心に「魚くせー」程度にしか感じてはいなかったものだが、今思い起こせばあんなに近くに加工食の現場があったのだった。高校に入る頃、干し場は消え加工場もたたまれたあとには、若い夫婦が入るような2DKのテラスアパートが建築され、干物の匂いもカラスの鳴き声も猫の徘徊もパタリとなくなってしまったことを覚えている。そしていつのまにか、干物は家の裏で干されているものではなく、スーパーや魚屋で買って食べるものに変わってしまっていたのだった。
 
 さて、家の裏に干物場があったとはいえ、干物の作り方を知っているわけではない。20尾のイワシを調理場に並べて、なにはともあれインターネットで調べつくし、メザシ作りにとりかかった。

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簡単に殴り書く。
 海水程度の塩水で簡単に鱗と血を洗い流す。
 海水の2倍ほどの塩汁に8〜10時間ほど浸す。
 フキンやペーパーで水分を取り、竹串などに目玉を刺して数尾並べる。
 軒下など直射日光が当たらせ過ぎないように干す。
 夜は取り込み、数日干せば出来上がり。
 一日干しでも美味しく食べられる。


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 好みではあるが、頭もワタも、丸ごと焼いて、自然農の大根おろしと共に飯をかきこむ。出来れば炭火。ガスレンジで焼いても負けずに美味。手作り、天日干しのメザシがこんなにウマイとは、満足。

 イワシは丸ごと塩汁に漬けるのが良しとされるので、その塩汁を捨てるのがもったいないのだが、アジやサンマなど大きな魚であれば開いて塩振りして干して良いとある。冬は干物に向いているとされる。カタクチイワシを制した今、次は何を目刺してみよう。しばらくは、スーパーの半額値札から目が離せそうにない。

 ちなみに上記の塩汁を何十年(一説には400年以上とも言われる)繰り返し使われて発酵した液につけ、加工されたものが、かの干物の王様「クサヤ」であることを知った。残念であるが、今のところ、小生にクサヤを作る勇気はないが。


干物の作り方・・・伊豆は伊東の島源商店のHPより

 このたびは「イワシの丸干し−朝の食卓に2、3本いかが?」を参照


posted by 学 at 23:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 食の喜び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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