霜月十二日 曇りのち雨
底冷えの寒気が、家の中にシンと張りつめてきた。節句は二日前より「大雪」。つくばではまだ雪の声は聞こえてこないが、日暮れから軒を濡らしだした雨音に秋の温もりは残っておらず、冷たく厳しい冬の雨があたりを包む夜を迎えた。
昼、ストーブに火をつけて芋を焼きながら、来客のDanさんとしばし
談笑した。そこから飛翔する、自分と世の中の終わる事のないバランス合戦への思考の旅。自分はどうあり、世の中はどうあるか。なぜ自然農に惚れて「今」のこの32歳の自分をこの場所に置いているのか。
家庭菜園のフィールドとして野菜作り、米作りなどをしたいわけでは全くない。安定的な食糧自給を目指しての就農だったり、安心・安全・健康な野菜を作りたくて農の世界に片足を踏み入れたわけでも、おそらくない。耕運機で耕して肥料を使って農薬を播いて作物を育てるんだとしたら、間違いなく、自分は今この場にいないはずなのだ。
ではどうして。そしてこれから何を。それを言葉でつむぐ時期は、今ではない気がしている。心の底に宿っている大切な「勘」、心の隣にそっといる大切な「人」、心の芯から楽しめる大切な「欲」、それらを混ぜ込んで炊き上げてとびきりうまい料理にするレシピとして、自然農を見つけてしまったんだという、今のこの、感触。まずは今、そして次へ。これからもどっぷり、自然農でまいりますので、どうぞ宜しく。
だって、面白いんだもの。それ以上の理由、ないもの。
寒さが運んでくれる翌春へのこの皮算用が、冬の隠れた楽しみ方なんだとしみじみ思うようになってきた。これってたぶん正しい。
【大雪】 …
雪いよいよ降り重ねる折からなれば也(暦便覧)
★雑草屋的季節分布★ 秋:冬=6:4
もう山の峰は積雪に覆われているので、大雪という。
平地も北風が吹きすさんで、いよいよ冬将軍の到来が感じられる。
この時節、時として日本海側では大雪になることもある。
ぶりやはたはたの漁が盛んになる。
熊が冬眠に入り、南天の実が赤く色づく。
※読み:タイセツ
<参考:
【室礼】和のこよみ>