注)記事の日付は太陰暦を用いております

2010年11月18日

見事に

神無月十三日 晴れ時々曇り

 やおら、ぐっと冷えてきた。台風こそ数えるほどしか来なかったもののぼんやりと雨の多い印象を残した中秋を越え、立冬を過ぎた頃から、程なく冬の訪れを感じさせられる。朝に夕に空気が引き締まり、命あるものに否応なしに寒さへの準備を迫るような、そんな勢いのある寒さ。
 田畑は、その空気を柳腰に受けて、ぐんと色を褪せさせていく。一週間前までは、枯れ色の中にもどこか生命力の残りを宿すような薄黄色で一面に広がっていた茅(チガヤ)の群生地が、この数日で目にもさやかに黄金色に霜枯れてきた。それはそれは見事に。

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 その見事な季節の移ろいに急かされ、百姓は遅れている種播きに鞭を入れることになる。あまりの生育の悪さに、この夏に意気を落として雑草を群生させてしまっていた畑に、空豆とエンドウを播き終わらせなければならない。まずは、指の太さ、背の高さほどに生え茂ったセイタカアワダチソウやオオマツヨイクサの茎を、一部は北西の筑波山からの風除けふうに畝上に残しながらも、ずんずんと刈り倒していく。ふと、枯れ茎のジャングルの中、ほんのりとした色味が目に入る。誰が、いつ種を残してきたのかはわからないが、それは野菊であった(はたして本当に野菊なのかはわからない)。空豆にも、エンドウにも、種播きに邪魔にならないような場所に、すまなそうにしながらも、媚びることなく見事に花を咲かせていた。

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 まだまだ、今月いっぱいは遅れた鞭で尻を叩く羽目になりそうであるが、この季節の昼にかく汗は、一年で一番気持ちが良い気がする。まだ慣れない寒さに及び腰になる人間を尻目に、着々と根を伸ばす冬野菜や野生の花々を見て、自然の力強さを感じるのも心地良い。この季節の、こうした焦燥感と期待感の心地良い混在は、なんとなしに、冬に備えて餌を貯め込む野生動物の遺伝子から通じているように思えるのは、ちょっとメルヘンですかな。
posted by 学 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする