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2011年03月31日

原発事故をうけて@

如月廿七日 晴れ

 前回から二週間明けて訪れた献血センターは、春休みにもかかわらず、いややはり、というべきか少し閑散としたいつもの献血センターの風景に戻っていた。日常は、こうしてまたひとつずつ戻り始めていく。採血中に、いつも読む手塚治虫の単行本をめくっていたが、流れてくるTV番組を横目で見ながらどうしても無視できない風景が報道されてきた。茨城県のピーマン農家、ハウス栽培で今が収穫時期の、通常1箱2000円の品が、400円で買い取られているという。ハウス栽培であるから、露地栽培よりも比較的放射性物質の影響が少ないとされるものですら、こうした捨て値とも思われるような悲惨な状況。露地モノの買い取り価格は果たしていったい。

 この一週間、震災の直接の被害からはほぼ回復した感のあるつくば。小生を含めて周囲の関心は、原子力発電所からの放射能による生活への影響へ移り始めている。農作物を育てるという立場に少なからず足を置いている自分にとって、「食」と「農」が放射性物質の放出という事態に対してどうあるべきかが突き詰められているのは、間違いない。いわゆる「放射能」の恐れからある程度離れた場所で、万が一、百万が一の健康被害をはやし立てるのは自由だ。その「きれいな」土地で、水で、空気の下で、怖い怖いという自由は誰にでもある。しかし、福島県民、茨城県民は、その土地で生き、住み、可能な限りこれからも生活するしかない。その厳然たる事実を僅かでも想像していただき、いたずらに感情的になって放射線の影響を恐れることなく、受け入れるべき共有遺産として認識することができるか。それが今私が膨らませることができる、唯一の希望である。

 今回の原発事故による環境への影響は、普段からの思想や職業など立場の違いによって、楽観悲観それぞれ様々に判断され、だからこそ猥褻なほどに情報が飛び乱れ、一体なにが正しくて何が間違っているかがおよそ冷静に見分けにくい、一種の混乱が生じている。だとしたら小生は、少なからず農産物を提供しているという立場として、できうる限りポジティブに、できうる限り予断を廃し、できうる限り科学的に、現状を解釈して提供することが自分の仕事であると理解して、平成23年3月31日時点での私見をまとめてみることにした。

 詳細、論拠は後ほど述べることにして、現時点での見解を以下にまとめる。


0.福島原発関係各者の渾身懸命の修復作業により、今後1ヶ月程度の期間で危険状況が収束してほしいという希望的予測を前提に考察しており、事態によっては後に判断が変わることも当然もある点をご了承いただきたい。

1.つくばで観測されている放射線量はごく少量であり、分析されている放射線核種の種類の放射能の強さから判断して、人体への影響はほとんどないと考える。

2.観測されている放射線量は、現在の強さが仮に一年続き、24時間365日外に出続けたとして、世界平均の人が受ける年間天然放射線量の同程度(3mSv)であり、足して倍(6mSv)。その量は、CTスキャンを一回受ける被曝量よりも少ない。

3.よって外部被爆の程度は、マスクや、部屋への持ち込み予防などに気をつければ通常被爆の上限範囲として人間生活にほとんど問題ない。一方屋内での放射線量は、外気の観測値の4分の1〜10分の1とされる。

4.飲食物による内部被爆は、厚生労働省の指標で制限されている放射能を超えない限り、過度に健康への影響を考える必要は無い。

5.なぜなら、仮に制限値いっぱいの最高値の水1.65L、牛乳0.2L、野菜0.4kgを毎日食べ続けたとしても、30日でようやく遺伝子が一つ傷がつく程度の放射線量(1mSv)であり、その放射線量による遺伝子の傷は一日経てば生命の修復活動で修復される。

6.体内摂取された放射性物質(ヨウ素、セシウム)は、半減期、体内排泄、代謝などで20日から数ヶ月で無影響化、もしくは体外に排出される。上の30日間の例は、これらの半減期なども計算された数値である。

7、甲状腺にたまる怖れのあるヨウ素131は2ヶ月でおよそ250分の1に減少、4ヶ月では約3万分の1に減少し、一部筋肉に入る怖れのあるセシウム137は70日後に2分の1になるが、そもそもチェルノブイリでの症例に筋腫瘍などの事例は一例も報告されていない。

8.チェルノブイリでは、比較にならないほどの放射性物質の大量、大規模拡散が起こり、また汚染地域での適切な生産物管理や検査が迅速に行われなかったために被害が拡大したとされる。

9.チェルノブイリでの調査報告では、ヨウ素対策などが不十分で、かつ大量被爆したとされる、当時15歳未満の若年層における甲状腺ガンがほとんど全ての症例で、他の白血病、他部位のがん患者の発症は、原発事故との直接の因果関係は証明されていない。

10.日本の現時点での放射線量の調査や生産物への摂取制限の規制はある程度機能しており、チェルノブイリのように管理の目が届かないような飲食物の摂取による体内への悪影響は起こりにくいものと予想できる。

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posted by 学 at 23:51| Comment(3) | TrackBack(0) | 本質を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする