注)記事の日付は太陰暦を用いております

2011年07月07日

ザ・日本

水無月七日 雨のち曇り

 夜明けから田植え、暑くなったら草刈り、家に戻って水風呂に浸かる。 午後に畑で豆を播き、夕暮れ前にまた田んぼ、水シャワーで汗を流し、ビールで酔わせてまた翌日。 そんな毎日がこのところ続く。

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 家から歩いて5分、畑からは歩いて2分のご近所に鎮座します一ノ矢八坂神社。毎年旧暦六月七日に、由緒正しきニンニク祭が開催される。神輿が出たり、太鼓が鳴ったり、境内にニンニクお守りが並べられたり、とそれ以外にとりたてて見るものがあるわけではないのだが、地元の祭としてはなかなかそれでいてごった煮で、汗臭くて、猥雑で、とりわけ今時珍しく平日だろうがなんだろうが旧暦で開催するあたりが好ましい。着馴れない女子の浴衣、精一杯に背伸びしたカッコつけの少年、ビールと半被姿で完成された神輿衆とそれを見守る茶髪の奥さん連中。洗練されてないクセに値段は張る屋台の軽食、たこ焼きソースとワタ飴のむせるような香り、生活補導の中学校の先生達。ああ、日本の夏祭りは、いわきでも、つくばでも、変わらないのね。ザ・日本。
 いっぱい働いて、毎日ビール飲んで、時々こうやって。 それで日々は回っていく。 頭でなく、生活で。 



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 浴衣姿で一人、ファインダー越しに祭に浸かっていると、なぜかふと、異国に紛れ込んだ異邦人のような気分に襲われた。お前はどう見ても日本人のオヤジだよ、と誰かに言われそうだけど。 ともあれ、神輿のかっこよさってハンパナイっす。
posted by 学 at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月14日

梅雨明けぬ

水無月十四日 晴れ

 〜梅雨待ちの 肩越え笑う 昇り雲〜

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 実は薄々感づいていた、先週末にやってきたいきなりの梅雨明け宣言。その宣告に張り倒されたかのように、水バテか、PETバテか、はたまたビールバテか知らないが、週明けにぐったりと体が重くなった。まだまだ残した作業はあるのに、などという意志はたちまちに切れ、しばしダウン。この辺り、文化人生活から数年遠のいた感覚は正しいもので、少々汗かいても水は飲まず、飯もそれほど食わず、自分の体感を感じて胃も腎も休ませてひたすら板間で寝ていたら、すっかり回復してしまった。嘲笑うかのように毎日筑波山の奥に立ち昇る入道雲を恨めしく眺めていても、結局夏は来る。 
 
 暑すぎて思考停止。 人は何をもって幸せ感ずるや。 夏の早朝、昼寝、ぐうたらの酒、汗と水浴び。悩み×突破=爽快感? 南無南無南無、全ては陽炎(かげろう)に溶けゆく。ああ、雲は遠く、雨は来ず。
posted by 学 at 22:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月24日

虎刈り

水無月廿四日 晴れ 

 昨日、二十四節句の【大暑】を迎え、いよいよ夏本番へまっしぐら。梅雨明けの台風も大雨なく太平洋のかなたに去り、渇水の水無月はいよいよ終盤へ。 田植え後に十分な水位が保てぬ今年の田んぼは、まだまだ分蘗の様子が心もとないが、確かに、着実に、根付いた苗は生育をみせている。その隣に生い茂る雑草たちと競い合いながら。

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 自然農の水田は、田植え後の数週間から一ヶ月以内の草取りが肝要といわれる。根付き、分蘗を進めんとするそのタイミングに、いかに苗の根を傷めず田んぼに入り、かつ雑草を抑えるか。今年は雨が本当に少なく田んぼが渇きの声をあげているが、その分、土はズブズブと柔らかいことはなく草取りには入りやすい。田植え時に刈り倒して丸めて敷いた草を、もう一度ひっくり返して敷き、稲の周囲の草をさっと刈ってやる。田に営む虫たちの住処や餌場をなくしてしまわぬ様に、一度には入らず、一列おきに草を刈る。それもみな、その年の天候、雑草、苗の状況を考え、ああだこうだと試行錯誤していく。毎年繰り返しながら、毎年その度に変化のある景色、様相、作業である。
 昨日までの涼しいうちに三分の二進め、残してしまった三分の一を暑さの取り戻しつつある今日の日中に。一列おきに残した箇所は、また来週、再来週にでも。まるで虎刈りのその田んぼは、自然農の田んぼでは良く見るこの季節の景色の一つでもある。

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 畑では、なんとか種を播き終えた大豆畑の傍に、モグラ対策が功を奏して数年ぶりに実を宿すトマトとナスが一列並ぶ。この、赤いジューシーにかぶりつくのに、いったい何年待ちわびたことか。畑の変遷なのか、対策一つなのかはさておいたとしても、辿り着いたこの感触は、実践した自分自身にしかわからない別の意味での果実なのだ。少しずつ、本当に少しずつ、虎刈り風のいびつな進度かもしれないが、それを知る自分にだけは忠実にありたい。世の中がどうあったとしても。いや、そこまでは大した覚悟ではないとしても。

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<余談>
 ところで、ここ数日で一番の楽しみであった「地デジ難民化計画」。ワクワク全開でTVの前にたたずんだ本日の正午、我が家の20年モノの14インチのブラウン管は全く対策をとらぬまま、平然と地デジ放送を流し続けていました。がっっっっかり・・・。せっかく今夜から半強制的な読書生活が始められると喜んでいたのに。数ヶ月前からTVを据え置きしてしまって、農作業の疲労をビールとバラエティで流すという堕落の夜に浸かりきり、これを機にまた、静かな夜に戻れると思っていたのに。

 どうやら推察するに、加入しているケーブルTV局が自動的にデジタル放送へ対応し、配信しているよう。もしかして、つくば市民でケーブルTV加入の人だったら、地デジ対応製品買わずとも全然大丈夫だったのでは?という疑惑が。電気屋さん、凄い勢いで地デジ商戦やってるの横目で見てたけど、いったいどれだけのつくば市民が地デジ製品買ったのだろうね。 ともあれ、一緒に「地デジ難民」になりましょうと、楽しんでいた皆さん、不可抗力により小生は「地デジ民」になってしまいました。この場を借りてお詫び申し上げます。さて、27時間テレビでも見て時間の浪費でもしよっかなー。と思ったら、もう終わってた(笑)。コパアメリカもなでしこも終わったことだし、今夜のF1ドイツGP観戦が終わったらまたTVを部屋の隅に片付けるのもいいかもね。まだまだ短い、真夏の夜長を夜虫の音色で過ごすのもまた楽しからずや。

 
posted by 学 at 20:55| Comment(2) | TrackBack(0) | 田の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月30日

よかったー

水無月丗日 曇り時々雨

 どっしりと、昨夜の雨がつくばを濡らし、ついに一ヶ月以上ぶりに田んぼに水面が戻ってきてくれた。ここ数日、夜半の雨があがる朝に田んぼに出ては、少しずつ湿り気を蓄えつつある土に一方では喜び、しかし一向に溜まってくれない水に髄分とやきもきさせられた。6月下旬の田植えシーズン真っ盛りからほぼひと月、水位は地面より上にのぼることはなく、スポンジ状の土壌に支えられてはいたものの、本当に雨に餓えていた。小生も、なによりも、稲が。目に見える水位にそれほど左右される必要はもしかしたらないのかもしれない。雑草の根が無尽に生え伸びるこの田んぼは、涸れても涸れても耐え忍ぶ、保水力が備わっている。この空梅雨にあって一度の人工的な注水がなくとも、土壌にひびが入るような乾燥状態になることはなかった。土中に張られた根が、地面を覆う雑草が、刈った後に敷いた枯れ草が、田んぼの水分を守り、蓄え、潤してくれていた。しかし、そうはいっても水田である。水面に稲が映えず、カエルもタニシも逃げ出すような田んぼは少々寂しく、稲の生育、分蘗も、どこかしらスピード感に欠けた様子は、やはりいたしかたないようであった。そこにきての、この、戻り梅雨。よかったーーーー。よかったよーーー。 たまる一方の洗濯物も、干せない布団も、こもる湿気も、関係ねえ。この雨を、この湿潤を、揺れる水面を、いかに待ち続けたことか。

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 もちろん畑にも、雨の喜びが。遅れた小豆の発芽も、蔓を伸ばし始めたキュウリも、喉を渇かせた里芋も、どうぞグビグビと水を飲んでくれ。今日水無月が閉じれば明日は文月の朔日。いつ灼熱の夏に戻ってもおかしくない。潅水もない、ハウスもない、天候に左右される自然農とは、天候の喜びを味わいつくす農でもあるのだ。

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posted by 学 at 11:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 田の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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