睦月廿三日 曇りのち雨
第三候:立春末候
【魚上氷(うおこおりにのぼる)】
=割れた氷の間から魚が飛び出る頃=
(新暦2月14日頃〜2月18日頃)
種を播くには早く、種を播く時期をただ待つわけにもいかないこの季節。もぞもぞもぞ、と準備作業、のようなものがあったりなかったり。
田んぼでは、4月に籾種を降ろす苗代を冬の間に作っておく。播種の時点で作っても良いのだが、この時期にこしらえて、米ぬかを振りまき稲藁を被せるなどして養生しておき、その後にも雑草の芽を摘み、種まき後の苗の生育が芳しくなるように準備しておくことで、より逞しい苗に育ってもらおうという親心のようなエゴのような知恵のような、そんな作業である。 つくし農園のプレーヤーの皆さんによれば、昨年の反省として、苗代の土に隣接の空き地の土を利用したことで雑草がひどかったということがあり、今年は苗代周囲の田んぼの中の土を掘りあげての苗代作りに変更してみる。まだまだ正解が見えないつくし農園の、この辺の揺れ動きがまた面白いところでもある。
畑では、本来は晩秋までに済ませておきたかったエンドウ豆とそら豆の播き残しを、怠惰とエゴと反省が混ざり合ったような後始末としてこの時期に種まきすることにした。畑への直まきをするにはまだ、しっかり寒さが残りすぎている。芽を出した後に霜や雪などでたちどころに枯れ消えてしまうリスクが大きく、しかし3月の声を待っているだけでは初夏の収穫にはちと心もとない。ビニルハウスや寒冷紗などの農業施設・資材の類を使わずに、であれば小生が利用できる場所は、縁側である。昨年までに、市販の苗を購入した苗用ポットを捨てずに取っておいたものが、貯めにためて150苗分。再利用の鬼が降臨し、今年初挑戦の、秋播き残し野菜の早春ポット栽培をすることにした。ポット苗用の土を買うのも使用するのも、自然農のスタンスとして違和感を覚え、植え戻す予定の畝から一々、肥えているようないないような自然農5年目の土をポットに取り、リビングに土をこぼしながら、人生初になる夕飯後の播種作業なるものをやってみた。この後は、晴れた日にはガラス越しにぽかぽかの陽射しがさす縁側へ並べ、時々に水をやり、さてどうなることやら。観葉植物を枯らすことにかけては右に出るものなしと自覚するインチキ百姓が、ついぞ手を出すことがなかった(簡易)温室栽培が上手くいくかどうかは、この後しばし留守を任せることになる居候氏に一任されたのは言うまでもない。
先日の日曜日、CSフジテレビのバラエティ番組が畑に撮影にみえた。「日本全国を旅して、ご当地の食材を使ってオリジナルカレーを作る」というテーマの、『カレー番長が行く!』という番組。CSはおろか、TVも頻繁には見ない小生ではあるが、ご連絡をくださった方やロケハンにみえた方の雰囲気に柔らかいものを感じたので、楽しみに受けることにした。つくばの食材として、紫峰牛(寡聞にして知りませんでした)と酒蔵の酒粕(詳細を伺えませんでした)、そしてなぜか自然農の菊芋とカブを使用したキーマカレーを作るとのこと。当日は、カレー番長さんと名乗るお二方と、元ボクシング世界チャンピオンの内藤大助氏がゲストでいらっしゃった。緊張もしましたが、なかなか面白い体験となりました。残念ながら出来上がったカレーは実食できないのだが、番組としてレシピが公開されるようなので、放送後には自分でも作ってみることにいたしましょう。
放送は、3月7日(水)の深夜00:00〜01:00、CS307 フジテレビONEにて。小生は放送は観られませんが、放送後に届けていただくDVDで楽しみたいと思います。
※詳しい番組HPはこちら ⇒
『カレー番長が行く!』 ※放送スケジュールなどは ⇒
こちら 
カレー番長のお二方、内藤さんと、ミーハーに記念撮影
苗代作業を何とか済ませた頃に雨が降り始めた夕方、いわきの母と姉から、生チョコと塩チョコの便りが届いた。海産物ほどにそれほど目立った名物もなかった地元いわき市であるが、ここ数年の塩スイーツブーム(古い?)の前から地道に販売されていた「めひかり塩チョコ」。いわきの市魚、目光をチョコに命名するそのセンスには賛否があるかもしれないが、じわじわと存在感を示す不思議な説得力は、贈り物として手元にするとさらに光を増す。箱に添えられた栞を開くと、詩人の三好達治の一言が寄せられている。
日本語には海の中に 母があり
フランス語には母の中に 海がある
むむむむ。美しい言葉です。
しかしそれがめひかり塩チョコと何の関係があるのかと、突っ込みどころが満載ながら、美味しく箱を閉じるのである。姉さん母さんナイスセンスです、ありがとう。七十二候【魚上氷(うおこおりにのぼる)】に、本当に微妙に重なったところで、おひらき。
※こだわりのいわきの名物スイーツはこちらから ⇒
めひかり塩チョコ Chocolat au Sel de Mel