第六候:雨水末候
【草木萌動(そうもくきざしうごく)】
=草木が芽吹き始める頃=
(新暦2月29日頃〜3月4日頃)
【草木萌動(そうもくきざしうごく)】
=草木が芽吹き始める頃=
(新暦2月29日頃〜3月4日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※
雪が降り、溶けてよく晴れ、そして今日の雨。湿り気を含んだ土は柔らかく、厳寒期を過ぎた畑は、太陽の暖かさを感じるごとに枯れ色から萌黄色へと染まりはじめる。油断すれば霜柱が立つこの季節の中で単純に春を喜ぶことは愚かではあるが、濡れた土に触れて作業をすれば手が悴み、しかし厚着を重ねて動いていると汗ばんで上着を脱ぎ、その体温の上昇に自然と胸がワクワクし始める。このまぎれもない実感に、経験を土台とした予感と、一握りを備え持つ不安を混ぜ合わせて、春の高揚感は作り出されている。

事始めとは、旧暦二月(如月)八日に農作業を始める日とされ、旧暦十二月(師走)八日の事納めと合わせて「事の八日(ことのようか)」として人々に馴染まれてきた。面白いのは農作業の視点で見ると二月八日が事始め、十二月八日が事納めであるのに対し、神事を執り行う視点では二月八日は事納めで十二月八日が事始めとなるところである。「事」が神にとってなのか人にとってなのかによって変わり、それが同じ日付けで反対の意味を同時に含んでいるところが味わいがあってよい。民草である小生にとっての事始めは二日前の如月八日であったが、今年は雪に覆われて、一日遅れの昨日にいよいよ本格的な農作業をスタートさせることになった。
事始めの際、魔除けの風習として目籠(籠の目が六芒星を象ることから)を竹竿につけて掲げたりニンニクを置いたり、根菜を煮た御事汁などを食べたりしたようだが、今年はそこまで手が回らず。目籠は家にも小屋にも置き放ってあるし、ニンニクは霊験あらかたなる一ノ矢神社のニンニクお守りが玄関に吊るしてある。御事汁の代わりには、根菜を煮込んだシチューを食べた。一日遅れの事始めに相応しい、適当な行事でいいかげんに済まし、心の内に訪れる穢れを払いつつ、これから師走の事納めまで続く自然農の日々を思いやった。生きている限り去来するものは本当に様々であるが、変化に心を奪われること無く、しかし自分も変化し続ける存在であることを忘れず、田畑を移して5年目を迎える自然農を、自身を、楽しんでいきたい。
※事の八日などについてはこちらのHPを参考にいたしました。
・「本日2月8日事始め」(にぽぽのお散歩日記 様から)
・「事始め」と「事納め」(日刊☆こよみのページ 様から)