注)記事の日付は太陰暦を用いております

2012年10月12日

ふと

葉月廿七日 晴れ
 
第四十七候:秋分次候
【蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)】
=虫が土中に掘った穴をふさぐ=
 (新暦9月27日頃〜10月2日頃)

 
第四十八候:秋分末候
【水始涸(みずはじめてかるる)】
=天地の水が涸れ始める=
 (新暦10月3日頃〜10月7日頃)

 
第四十九候:寒露初候
【鴻雁来(こうがんきたる)】
=雁が飛来し始める=
 (新暦10月8日頃〜10月12日頃)


※今年から七十二候を取り入れてみました※



 ふと、自分は何のためにこのキーを叩いているのかと考えはじめるのだが、答えはいっこうに見つからない秋の夜。

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 庭の金木犀が一斉に香りだしたと思っていたら、気がつけばすっかり残り香を漂わせるほどにおさまり、それに代わるように、柿の木に熟れた実が鈴なりに色をつけ始めている。
 種蒔きに追われた初夏を過ごした大豆の畑は、酷暑での成育に気をもんでいたものの後優りに莢を膨らませ、いよいよ収穫の秋を迎え始めた。あと半月もすれば、豆名月を楽しめる頃になるだろうか。
 田んぼは稲刈り。黄金色の稲穂に負けじと古代米が七色に彩る自然農の田んぼは、程よく頭を垂らす頃になった。周囲の慣行農法の田んぼでとうに稲刈りを済ませられて格好の餌場を失われた雀達が狙うのは、あわれ我らがつくし農園。稲穂が垂れるのは実りのしるしであり、それは即ち雀の襲い掛かるしるしでもある。かくして今年も、雀対自然農人間のサバイバルレースの幕があがった。
 
 家には、LONOF体験者が時折に訪れ、自然農の作業手伝いと、拙宅の振る舞い料理を等価交換して帰っていく。月に一度のワークショップ、月に一度のつくいち、月に一度の農園集合日、副業の賃金労働にも出かけ、本業である野良仕事にも出かけ、粟子と歩き、友人と歩き、どうにか生きている。自然農を背景に暮らし、生きながら広がる繋がりに手足を様々に伸ばしている。これからどうなるかはわからない。いつかは死ぬまで、命が閉じるまで、自分を開きながら、人と関わり環境に身を任せながら生きるだけである。

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 そうか、今日はたまたま農園の方にも会い、つくいち仲間にも会い、学生時代の友人にも会い、たくさんの人間にも会ったけど、畑でもたくさんの命に会い、田んぼでもたくさんの命に会い、ただそれだけなんだな。同じように生かされ生かしてるだけなんだな。だから恐らくこの文章も、どのようにかして誰かに会い、生かされ生かしてるのだろう。だから自分はキーを叩くのかも知れない。不精でも惰性でも気力でも習慣でもなんでもいいから、機会を残しているあいだならいつでも、書けるときに書けばいいのだろう。Facebookには載らない、退屈な毎日の上に、そうして夜長はふけるのだ。

 明日はパン屋で自然農の作物を置かせてもらうことになった。また一つ、また一つ、生きる限り、この「また一つ」を大事にしていきたい。
  
posted by 学 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月24日

たじたじたじ

長月十日 晴れ時々曇り

 
第五十候:寒露次候
【菊花開(きくのはなひらく)】
=菊の花が咲く=
 (新暦10月13日頃〜10月17日頃)

 
第五十一候:寒露末候
【蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)】
=きりぎりすが戸の辺りで鳴く=
 (新暦10月18日頃〜10月22日頃)

 
第五十二候:霜降初候
【霜始降(しもはじめてふる)】
=霜が降り始める=
 (新暦10月23日頃〜10月27日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


 気がつけば、二十四節気は寒露も過ぎていよいよ霜降へ。まだ霜は降りてはいないが、小豆の莢は所々に熟し始め、枝豆は大豆へと移ろい、今年の秋は粛々と足を進めている。田んぼはといえば、スズメの大攻勢にたじたじたじ。完熟をもって稲刈りすべしと毎年実りを喜ぶにつけ心に唱えていたが、この秋はどうもそんなことは言ってはいられない。田んぼの両隣、5メートルから15メートル離れた葦の藪に、控えるは数十羽(願わくは百には至っていないことをのぞむ)の大軍勢。ヒットアンドアウェイとはかくやと言うほどに、啄んでは去り、また飛来しては啄み、ことごとくに早稲田をススキ野へ変えていく。これ、東京と札幌の話ではなく、つくし農園の話です。なんのことやら。

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 完熟を待っていては一年の喜びを全てスズメのデブ腹にくれてやることになるのでそうもいかず、では少々早めに刈ろうかと、あと一週間、あと数日後に稲刈りだと思っていたら運の尽き。その数日に、丸裸にされるのである。どうもスズメどもの好みは明確で、香り米、うるち米、緑米、黒米、赤米の順で軒並み絨毯爆撃を食らっている。度重なるスズメ警報を農園に発令した結果、現在田んぼに残るのは、緑米、黒米、赤米となった。緑米はそろそろ限界。もう数日もすれば、黒米に狙いがつけられるのだろう。

 願わくは、さらに隣の農家さんの蕎麦畑や、早刈りされて孫生(ひこばえ)した稲穂にどうかどうか目移りしてくれますように。
 
 
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 無いよりはマシ、のキラキラテープと即席案山子。
posted by 学 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 田の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月26日

エコロジー

長月十一日

 先日の、スズメとの大抗争。それから何を学べるかと考えるならば、自然農にかぎらず自然を相手とする農林水産業が対峙する、他の動植物との関係性の中での人間の取り分、と言ったら大げさだろうか。言い方をかえれば、環境と人間の係わり合い方、とも言えるだろう。

 小生が自然農に携わる、そもそもを紐解けば、それは学生時代に自然環境、地球環境への問題意識に火がついてしまったからに他ならない。「国際関係」という十把一絡げな学部に飛び込み、国際社会全般に問題意識を拡げて拡げて収拾が付かなくなった小生に、恩師からとある一冊の本を紹介されてから紆余曲折。いつのまにか休学してからの放浪中にも環境問題、復学してからのゼミも卒論も環境問題、就職先も環境問題、常に目の前と足元がエコロジーづいていた。

 そうして生きてきた先にたどり着いた自然農。正解とか、生計とか、地位とか、名誉とか、その辺とっぱらってどうしようもなく自然農のある暮らしをしているのは、その基盤に、「環境」への問題意識が深く深く澱のようにしみこんでいるからに他ならない。

 今を生きる、自然体である、中庸である、そういうことに敏感でありたいとすれば、自然環境に耳を傾けて感覚を拡げていかざるを得ない。現代人にとって環境とは。日本人にとって環境とは。そもそもエコロジーとは。

 そんなフレッシュでもありベタベタでもあり普遍的でもある疑問を抱えたまま、11月のワークショップはずばり「環境」をテーマに話す・聴くをやります。学生時代の後輩をゲストに招けるのも、存外の喜び。


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第5回 話す・聴く・気づきのワークショップ =11月23日(日) 開催=
 今回のテーマは【環境(持続可能社会・暮らし・環境意識)】です。
 参加者募集しております♪
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