注)記事の日付は太陰暦を用いております

2012年11月11日

日々

長月廿八日 曇りのち雨
 
第五十三候:霜降次候
【霎時施(こさめときどきふる)】
=小雨がしとしと降る=
 (新暦10月28日頃〜11月1日頃)

 
第五十四候:霜降末候
【楓蔦黄(もみじつたきばむ)】
=もみじや蔦が黄葉する=
 (新暦11月2日頃〜11月6日頃)

 
第五十五候:立冬初候
【山茶始開(つばきはじめてひらく)】
=つばきの花が咲き始める=
 (新暦11月7日頃〜11月11日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


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 いろんなこと起こるね。いいことも、いいことも。そしていいことも。あ、いいことばっかだ。

 万物流転。万象我師。何とでも言えるのだが、自分も、他人も、関わり合いの中で変化と持続を日々微細にやり繰りしながら流れてますね。その中で野菜も米も自分も育っていることを知ってればいいのだと思う。

 今年は地味に予感していた通り秋の足が速い。初霜こそ、なんとなく昨年よりも遅かったように記憶しているが、バタバタ感と冬へ進む感じは間違いない。・・・と思っていたけど夏が長かったんだから冬が例年のように訪れるのなら秋は短いわな。当たり前か。ということで秋も深まります。枝豆の美味しいシーズン、一年で最も「旬の味」が似合うのは自然農の枝豆だと自負しているが、それももう終わり。瑠璃色の玉のような枝豆から、真珠をも思わせる乳白たるコクを含む大豆へ。その移行期である期間(霜の降りる直前)の、豆を育てる百姓ならではの楽しみが、彩り枝豆だ。小生が栽培している黒大豆、緑大豆、木下大豆は3種共に枝豆の頃は当然緑色。それが枯れ始めを迎えて大豆へ移行する途中に収穫すると、ほのかに色づき始め、そして実としては硬くなり始める直前の、色彩と旨みの豆が鮮やかに味わえる季節が、初霜の頃なのだ。

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 自然農の野菜の味をしっかりと楽しめる友と、飯を炊き、カブ菜を味噌汁に仕立て、味わいの彩り豆を薄塩味で楽しむ。食欲の秋こそ今なれと、天に高く感謝するのはこんな時だろうか。


 田んぼでは雀の大襲撃に苛まれ、例年よりも2週間以上も早く全ての稲刈りを終えることになった。この頃の農家は押しなべて早植え早育て早取りして現金化というわけでもなかろうが、そうした風潮にのみ幸せがあるわけではない。自然農は、時期に播き、時期に育て、時期に刈る。それだけなのであり、毎年刈り時は枯れ時に応じて終わらせていた。しかしてそんな幸せの一形態は、今年の雀によって死神の首刈り鎌の如き一振りでなぎ倒され、せっせと早刈りに精を出すことにした。そうなればなったで、いつもより少し香りの強い稲藁の匂いに喜び、例年よりもイナゴの強く跳ねる様に驚き、違う幸せが訪れただけであった。ま、雀に食べられ過ぎてさえいなければ更に良かったのだけどなあ、などとは言うのも野暮だな。
 
 畑では、霜枯れ色に畑が変わり始めた。それまでまだまだ育つぞと、陽射しが弱まる中も緑を伸ばして成育し続けようとしていた夏野菜秋野菜に、初霜は容赦なくレッドカードを突きつける。野菜たちは反則を犯したわけではないのでレッドカードでは失礼ね、タイムアウトのホイッスルといったところだろうか、育ったものも育ち途中のものも皆等しく「退場」を言い渡すのである。小豆もそのプレイヤーの一人。一足早く成熟し豆を実らせていた莢はカラカラと小気味良い音を立てて収穫どきを迎え、少し遅れた莢たちは、霜による強制力によって、直前まで青々しく実らせかけていた莢を急転して枯れさせる。この時期の畑では、それを苦々しく受け入れた小豆の株を所々に見かけることができる。少々マニアックではあるけれど、この季節の自然農の畑の風物詩とも言える、毎年見られる光景である。この、季節によって、あるいは自然の到来によって、皆等しく時期時節を受け容れ次へ進みゆく、というところこそが、自然農的思想の本質であり、小生が大好きな妙味でもあるのだ。

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 さて順調に、今期の初風邪もひいた。昨年までよりも、よりタイミングよく、より迷惑もかけ、より計画的に、より段階的に風邪と共に過ごし、熱も関節痛も胃痛も頭痛も一通り味わって、彼らは去っていった。そしてすこぶる快調が訪れている。これもまた一つの幸福ですかな。
 七十二候も既に五十二候へ。そりゃあ冬も立ちますわ。

 日々是好日。

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posted by 学 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月12日

そとこと

長月廿九日 雨のち晴れ
 
第五十三候:立冬次候
【地始凍(ちはじめてこおる)】
=大地が凍り始める=
 (新暦11月12日頃〜11月16日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


 久しぶりにメディアに載せていただきました。

 必然風の偶然にも、大学時代の美しい先輩がライターとして来訪してくれ、LONOFさんやつくし農園のプレーヤーと共に取材を受けて、小気味良く自然農と雑草屋の風景を切り取っていただいたのがもうひと月以上前。小生もビックリのオシャレ農ライフの一員に無理やりねじ込んでいただいております。

 11月5日発売の12月号の「ソトコト」さん、特集は「若い農家が日本を変える」であります。82頁あたりに載せていただいてます。店頭で、ネットで、どうぞお求め下さい。

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 蛇足的に小生思いますところは、「若い農家は日本を既に変えだしている」辺りの気構えであるのですぜ、当人たちはね。 いい意味で、はやくソトコトに追いつけよ常識! かつ、「ゴミ捨てんなよ!」


 ・・・ってあれ? いつのまにか、かつてのソトコトの代名詞「ゴミ捨てんなよ!」ロゴが表紙から無くなってる!! あれが好きだったのに(笑)! 

posted by 学 at 21:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 新しき出会い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月28日

カラカラ

神無月十五日 曇り時々雨
第五十七候:立冬末候
【金盞香(きんせんこうばし)】
=水仙の花が咲く=
 (新暦11月17日頃〜11月21日頃)

第五十八候:小雪初候
【虹蔵不見(にじかくれてみえず)】
=虹を見かけなくなる=
 (新暦11月22日頃〜11月26日頃)

第五十九候:小雪次候
【朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)】
=北風が木の葉を払いのける=
 (新暦11月27日頃〜12月1日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


 氷雨と木枯らしが交互に訪れ、地には霜、空には紅葉、いよいよ農の暦が一巡りを閉じようとする頃となった。畑では大豆がカラリと莢を固め、時折吹き荒ぶ風に豆を弾かせるようになる。びょうと吹き、ぱちりと弾け、雑草の枯れ敷かれた畑に豆が落ちて隠れてしまわないうちに、鎌を走らせて収穫しなければならない。晴れれば木枯しに荒れ、曇れば冷たい雨の落ちる日が続き、手が悴むのを言い訳にしてついつい畑への足が遠のくが、豆のパチリという音が今にも聞こえそうな気がしてきて、なんとかかんとか豆を救出している。

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 大豆は偉い。他の作物のなかなか育たぬ自然農初期の畑でも、肥料はいらんとばかりにすくすく育つ。おまけに自らの根に根粒菌を住まわせ、窒素分を地中に固定する役目も果たす。育てば初秋には枝豆、晩秋には大豆を実らせ、大豆まで至れば、後には豆腐に味噌、醤油をはじめ、日本の食を彩る多才を放つ。自然農の大豆は、豆の風味が格別。今年も冬にこの味を楽しめるのが何よりの楽しみである。

 さてその畑、根粒菌を地下に残して地上部の茎を刈り、刈った後はしばし干す手間をかける。畑に弾ける寸前なので、既にカラリとしているが、まとめて脱穀するにはやはりもう少し乾かせきらねばならない。例年、作付け量によって様々に干し方を代えているが、昨年までは軒下に吊るして間に合ったが、今年は拙宅の庭に筵を広げて乾かすことにした。雨があたらぬよう、つくいちで使用しているテントを屋根代わりに立て、豆の付いた枝を逆さにして束にして、後は待つのみ。枝を降って莢の中の大豆がカラカラといい音を立てるようになれば、脱穀となる。田んぼでは稲刈りを終えてひと月を過ぎる米がいよいよ脱穀と時を迎えようとしており、まとめて作業するには頃合いだね。

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 冬眠してえなあああ、などと熊に憧れてる場合ではないな。仕事じゃ仕事ー。
 
posted by 学 at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 畑の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月29日

熟女をば

神無月十六日 晴れ

 柿がそろそろぽとりと落ちる前に、農作業の合間をみて、いそいそと干し柿作りを楽しんでいる。

 どうやら豊作らしい今年の柿は見事に実をつけ、雑草屋本舗にも時折の商品として並べながら、それほどのヒット商品にもならずに売れずして家へ出戻り、そして熟々と熟れていく。うれうれになるその前にやおら腰を上げて手間を惜しまなければ、日本の誇る伝統保存食、干し柿へと変身を遂げるのだ。

 干し柿作りはいとやすし。皮を剥き、熱湯に十秒弱ほどくぐらせ、あとは柿同士が触れぬように、干す。吊るしてもよし、置いてもよし。晩秋、初冬の空っ風にあて、夜露、氷雨にさらさず、鳥や虫に掠め取られなければ、後は待つだけ。じらす熟女についつい手が伸び、しわの増した肌をもみもみするのもまた良し。恥じらいの故かどうかは知らないが、もめば甘みは増すとか増さぬとか。程よく干されて食べごろを迎える頃には、白粉を吹いて薄化粧を纏うところもまた可愛らしく。

 
 我が家の干し柿は、ヘタを底に逆さにして、ザルにて干すこと五、六十個。美肌の熟女が粉吹き婆さんへ美化を遂げた末の、甘味は果たしてどれほどか。頬張る楽しさを期待して、今日も毎朝縁側へ並べて眺める今日この頃なのです。

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 ちなみに剥いた柿の皮は、オーブンで焼けばパリパリのスイーツに。みじん切りして油と醤油で炒めれば、簡単キンピラ料理が出来あがり。十分に甘みを蓄えたその皮を、余すところなく味わえるのも、自然農栽培の特権なのよね。



 「食べる」楽しみを十二分に楽しんでいる、毎日が自然農。12月の話す・聴く・気づきのワークショップは「食」をテーマに想いを拡げます。その頃までには干し柿は、まだ出来上がらんだろうなあ。

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第6回 話す・聴く・気づきのワークショップ =12月15日(土) 開催=
 今回のテーマは【食 (食育・食材・食生活)】です。
 参加者募集しております♪
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posted by 学 at 19:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本人として | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする