第五十三候:霜降次候
【霎時施(こさめときどきふる)】
=小雨がしとしと降る=
(新暦10月28日頃〜11月1日頃)
【霎時施(こさめときどきふる)】
=小雨がしとしと降る=
(新暦10月28日頃〜11月1日頃)
第五十四候:霜降末候
【楓蔦黄(もみじつたきばむ)】
=もみじや蔦が黄葉する=
(新暦11月2日頃〜11月6日頃)
【楓蔦黄(もみじつたきばむ)】
=もみじや蔦が黄葉する=
(新暦11月2日頃〜11月6日頃)
第五十五候:立冬初候
【山茶始開(つばきはじめてひらく)】
=つばきの花が咲き始める=
(新暦11月7日頃〜11月11日頃)
【山茶始開(つばきはじめてひらく)】
=つばきの花が咲き始める=
(新暦11月7日頃〜11月11日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※

いろんなこと起こるね。いいことも、いいことも。そしていいことも。あ、いいことばっかだ。
万物流転。万象我師。何とでも言えるのだが、自分も、他人も、関わり合いの中で変化と持続を日々微細にやり繰りしながら流れてますね。その中で野菜も米も自分も育っていることを知ってればいいのだと思う。
今年は地味に予感していた通り秋の足が速い。初霜こそ、なんとなく昨年よりも遅かったように記憶しているが、バタバタ感と冬へ進む感じは間違いない。・・・と思っていたけど夏が長かったんだから冬が例年のように訪れるのなら秋は短いわな。当たり前か。ということで秋も深まります。枝豆の美味しいシーズン、一年で最も「旬の味」が似合うのは自然農の枝豆だと自負しているが、それももう終わり。瑠璃色の玉のような枝豆から、真珠をも思わせる乳白たるコクを含む大豆へ。その移行期である期間(霜の降りる直前)の、豆を育てる百姓ならではの楽しみが、彩り枝豆だ。小生が栽培している黒大豆、緑大豆、木下大豆は3種共に枝豆の頃は当然緑色。それが枯れ始めを迎えて大豆へ移行する途中に収穫すると、ほのかに色づき始め、そして実としては硬くなり始める直前の、色彩と旨みの豆が鮮やかに味わえる季節が、初霜の頃なのだ。

自然農の野菜の味をしっかりと楽しめる友と、飯を炊き、カブ菜を味噌汁に仕立て、味わいの彩り豆を薄塩味で楽しむ。食欲の秋こそ今なれと、天に高く感謝するのはこんな時だろうか。
田んぼでは雀の大襲撃に苛まれ、例年よりも2週間以上も早く全ての稲刈りを終えることになった。この頃の農家は押しなべて早植え早育て早取りして現金化というわけでもなかろうが、そうした風潮にのみ幸せがあるわけではない。自然農は、時期に播き、時期に育て、時期に刈る。それだけなのであり、毎年刈り時は枯れ時に応じて終わらせていた。しかしてそんな幸せの一形態は、今年の雀によって死神の首刈り鎌の如き一振りでなぎ倒され、せっせと早刈りに精を出すことにした。そうなればなったで、いつもより少し香りの強い稲藁の匂いに喜び、例年よりもイナゴの強く跳ねる様に驚き、違う幸せが訪れただけであった。ま、雀に食べられ過ぎてさえいなければ更に良かったのだけどなあ、などとは言うのも野暮だな。
畑では、霜枯れ色に畑が変わり始めた。それまでまだまだ育つぞと、陽射しが弱まる中も緑を伸ばして成育し続けようとしていた夏野菜秋野菜に、初霜は容赦なくレッドカードを突きつける。野菜たちは反則を犯したわけではないのでレッドカードでは失礼ね、タイムアウトのホイッスルといったところだろうか、育ったものも育ち途中のものも皆等しく「退場」を言い渡すのである。小豆もそのプレイヤーの一人。一足早く成熟し豆を実らせていた莢はカラカラと小気味良い音を立てて収穫どきを迎え、少し遅れた莢たちは、霜による強制力によって、直前まで青々しく実らせかけていた莢を急転して枯れさせる。この時期の畑では、それを苦々しく受け入れた小豆の株を所々に見かけることができる。少々マニアックではあるけれど、この季節の自然農の畑の風物詩とも言える、毎年見られる光景である。この、季節によって、あるいは自然の到来によって、皆等しく時期時節を受け容れ次へ進みゆく、というところこそが、自然農的思想の本質であり、小生が大好きな妙味でもあるのだ。

さて順調に、今期の初風邪もひいた。昨年までよりも、よりタイミングよく、より迷惑もかけ、より計画的に、より段階的に風邪と共に過ごし、熱も関節痛も胃痛も頭痛も一通り味わって、彼らは去っていった。そしてすこぶる快調が訪れている。これもまた一つの幸福ですかな。
七十二候も既に五十二候へ。そりゃあ冬も立ちますわ。
日々是好日。
