第一候: 立春 初候
【東風解凍(はるかぜこおりをとく)】
=春風が厚い氷を解かし始める=
(新暦2月4日頃〜2月8日頃)
【東風解凍(はるかぜこおりをとく)】
=春風が厚い氷を解かし始める=
(新暦2月4日頃〜2月8日頃)
※七十二候を取り入れています※

節分が明け、立春を迎えた。前日に歳の数だけの炒り豆を食い忘れた代わりに、つくいちで試食用に煮た大豆3種を倍ほど食べる。むむむと陽射しが色味を増したようにも見えるに庭に、名も知らぬ小鳥が跳び交う、そんな景色を眺めながらの、立春をすごした。とにかく、自然農の煮豆がすこぶる美味い立春だった。

とはいえ、この第一候「東風解氷」のようには行かないようで、いやはや、日陰の空気の冷たさには手足が凍る。今日はとにかく風にやられた。そろそろと、畑に田んぼに農始めの準備をかまえていたのだが、とにかく、吹き猛る冬風に踵を返して部屋作業に縮こまった。待てども風の止む気配のない午後、それでも畑に出て、二、三の作業へとりかかる。結果、いかほどもすすまぬ内に、性根をへし折られて手を止めたのだった。
そんな凍る畑の中に、あるものは枯れ、あるものは淡々と命を残す。秋に種を降ろした空豆も、(北風対策を周到にはできなかったため)全てが枯れずに済んだわけではないが、覆った枯草に包まれて冬の峠を越そうとしている。

自然農の畑は、植物に土が護られるために表土はむき出しにはならない。耕す畑では、秋から冬にかけての耕耘によって草が生えず、一種の砂漠や土漠のような環境となる。それでは冬を越す苗はひとたまりもないために、ビニルマルチや寒冷紗をかけたり、あるいはハウスの中で寒さを越すしか術がない。自然農での、枯草で覆うなどの対策は、100%ではない。天然素材、バイオマス(生物資源)を利用しての100%には決して至らぬ道か、科学素材、石油資源を駆使して100%に近づける道か。道は二つではないにせよ、結局のところ、自分は、世界は、未来はどちらを目指していくか、という問いがそこにある。自然農を楽しむということは、つまりはその道の歩くことをできる限り選択していってみようというアプローチである。
足るを知る。遠い昔から、結局人は変わらぬ問いに答えられぬままなのだ。
親しき人から、「あなたが今あたり前に感じることや、小さなことだと感じているようなことが、実は世間の人にはとても大きな発見だったり、見過ごしてしまうような気づきが隠されいることがあるのですよ。」 と背中を押してもらった、今日この頃。それがなにかはわからねど。

あと2日で旧正月。しばらく続けていた禁酒・禁肉を解放するぜ。わっしょーい。