注)記事の日付は太陰暦を用いております

2013年12月05日

ことこと

霜月三日 晴れ

 空気は冷え、空は乾いてきた。まだ今年の米の脱穀も、豆の脱穀も、芋掘りも、そこはかとなく野良仕事が残っている。 のだが、このところ、自主上映会やらなにやらにて、つくば市内を駆け回っている。田畑に出る時間より、焼き芋を焼いたり柚子狩りを楽しんだり、パソコンに向かって作業したりと、雑務(遊び?)の時間のほうが多くなっている。

 さほど冷え込みも厳しくない今夜。部屋の暖房を入れる代わりに、机の横でカセットコンロに手鍋をかけて、小豆をことこと煮てみた。昨年の古米ならぬ古豆を引っ張り出して、あんこを作りながらのパソコン作業。こんな夜もなかなか悪くない。

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 あんこが完成し、試食を妻に。そんな小生を眺めて、「まめだねー」とつぶやいた。いや、そういうオチではないのだけれど。すみません。。。


第六十候: 小雪 末候
【橘始黄(たちばなはじめてきばむ)】
=橘(蜜柑や柚子など)の葉が黄葉し始める=
 (新暦12月2日頃〜12月6日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年12月13日

しめ縄飾り

霜月十一日 晴れ

 クリスマス前になんですが。

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 昨年の冬に収穫した種籾を保存し、

 春に種を蒔き、

 苗を育てて、

 梅雨に田植えをして、

 夏には草刈りをし、

 秋になれば稲を刈り、

 天日干しで乾かし、

 脱穀して、

 余分な葉をすき、

 ようやくこの冬、しめ縄飾りの縄綯いに辿り着く。

 たかが正月のしめ縄飾りを作るに至るまでに、1年間、これだけの過程がある。


 今では簡単に、買って済ませることができる「正月飾り」。正月飾りに限らず、クリスマスにせよ、節分にせよ、洋の東西を問わず、季節の行事にまつわる「飾り物」は、(至極当たり前のことなのだが、)実は全て自分たちの暮らしの隣にあった。もちろん、飾りを彩るスダチも枝葉も、すべて自然の営みの中で育ったものである。

 先日、こぐま塾の出張授業として、柏市のネクスファさんのプログラムで「ものづくり教室」を行った。授業では、子供たちにしめ縄作りの面白さを体験してもらうことができたと思う。縄を綯う(なう)ところ始まり、自然の身近な素材で飾り物を手作りしていくことは、子供たちも1時間という短い時間の中で、悪戦苦闘しながら手足を動かして楽しんでいるようだった。

 しかし一番大切な、そもそもの「背景」を伝えられたかといえば、残念ながら力不足の感が残っている。子供たちが楽しんだしめ縄作りに用いた稲藁は、米作りの過程の副産物であり、飾りのスダチも季節の果物であり、季節と生活と全ての連動の中で意味があることを、自分は十分に伝えることができなかった。


 買えば手に入る。スーパーで。ショッピングモールで。それはだれが作り、どこから来ているのか、知るよしは無い。季節ごとに店頭に並べられるビニールの包装紙に包まれた商品をただ買って飾るのではなく、自然に、暮らしに「ある」素材を手仕事で加工して行事を彩る。その意味は経済の教科書にも載っていないし、ビジネス雑誌にも書いていない。

 自分は、そこに生きてみる。たとえ、大量生産の発泡酒を右手にインターネットをサーフィンしていようとも。

 金にはならないんだけどよ!

第六十二候: 大雪 次候
【熊蟄穴(くまあなにこもる)】
=熊が冬眠のために穴に隠れる=
 (新暦12月12日頃〜12月16日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年12月21日

庭と脱穀機と私

霜月十九日 晴れ

 数ヶ月ぶりに都心で呑み、終電間際の山手線にて胃袋がひっくり返りそうな満員電車に揺られ、友人宅でだらりと飲み明かした。朝、友人カーに便乗してつくばへ戻ると、連日続いた氷雨があがり、気持ちの良い晴天が訪れていた。

 冬の、晴天の、クリスマス前連休の、年末の、土曜日。つくば駅周りのペデストリアンデッキ(つくば市名物の歩行者専用通行路)に出店されている知人のブースに顔を出そうかという予定だったり、大学の出身学部の30周年行事に出席しようという予定だったり、そうした大切なパブリックな予定全てをうっちゃって、(とはいえ行きたい気持ちはヤマヤマだったのだが)、あえていつもと変わらない自然農な土曜日を、家族と友人と過ごすことを決めてみた。


 庭に、湿気除けのブルーシートを重ねて敷き、その上に作業用の竹カーペットを並べ、足踏み脱穀機、唐箕、籾摺り精米機を置く。古めかしい手箕やふるいや箒も小脇にセットして、雀の涙程度の収穫となった今年の田んぼの無念さもついでに干しつくした米を、ひたすらに脱穀していく。農園プレーヤー(昨日飲み明かした友人ね)の脱穀も精米も共に一気に片付けていく。傍らで娘もせかせかと手伝う。ひと休みは、ござに腰掛けて、菓子や蜜柑を口に運び、茶をすする。

 
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 うららかで、透明度の高い冬至前の陽射しが暖かく、この極上の「普通の土曜日」を過ごした。クリスマス商戦の商業施設の賑やかさから、その距離以上に圧倒的に遠く離れ、太陽と、稲束と、農具の音だけが交差する庭。娘が笑い、父が笑い、母が笑う。友人たちは育てた米を精米して、手を振って帰っていく。ああ、これでいいや、おれんちは。


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 さて、冬至の明日は、友人のレストラン「ナチュカフェ」さんで、アカペラを披露。腕によりをかけてシェフがお届けする、めちゃうまのスペシャルランチの傍らで、ささやかなクリスマスソングを歌ってきます。ランチのメニューには、自然農の菊芋ポタージュも登場予定。ありがたやありがたや。

 ってしっかりクリスマスしてんじゃん(笑)。


第六十三候: 大雪 末候
【鱖魚群(けつぎょむらがる)】
=鮭が群がり川を上る=
 (新暦12月17日頃〜12月21日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

 
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2013年12月24日

ツリー

霜月廿二日 晴れ

 
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 スギの木、烏瓜、柚子、ほおずき、南天、スズメ瓜、オクラの莢(ダビデの星)、もみじ、ススキ、セイタカアワダチソウ、綿、その他いろいろいろ。全て、徒歩圏内の天然素材で作ったクリスマスツリーが、明日まで我が家の庭を賑わせている。

 先月、家の明り取りのために南の隣接地に生える杉の木など数本を伐採した。杉もモミも、同じマツ科の植物。葉の形はおもむきを異とするが、針葉樹類独特の先端を細く葉をつける形は、クリスマスツリーとするのに良しと判断して、今年は庭にツリーをこしらえてみることにしたのだった。

 まずは伐採したスギの登頂部を改めて手ごろな高さに切り、穴を掘って挿してみた。次に、自然に育つに任せていた杉の樹形を、円錐型のツリーの形に相応しいように剪定する。そして後は全て、庭や畑と散歩で見つけた植物と、家にある天然素材のあれやこれやを、ツリーに飾り付けていく。

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 採取したそのままを紐でくくるもあり、飾りにふさわしくひと手間加えて飾るもあり。娘と共に飾りつけるも良し、オリジナルで飾りを考案して娘を驚かすも良し。雪をどうするかも最後まで悩んだが、押入れの奥に眠っていた古枕をつぶし、真綿を取り出してツリーに雪化粧もほどこしてみた。

 あくまでも、土に返る素材のみでの装飾。家族の手作りによる、飾りつけ。どうか娘のもとに、LEDもプラスチック人形も無い、このツリーを目印にしてサンタクロースがやって来てくれますように。

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そして26日には、どんど焼き並みに燃やす予定なのである。 



第六十四候: 冬至 初候
【乃東生(なつかれくさしょうず)】
=夏枯草が芽を出す=
 (新暦12月22日頃〜12月26日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年12月28日

ふむ

霜月廿六日 晴れ

 ぐん、と冷えてきた。毎朝の霜は言わずもがな、このところ水溜まりには薄氷が張り、霜柱が立つような寒さの朝を迎えている。

 自然農の畑は、優しい。秋口に静かに葉を伸ばした雑草が大地を覆い、羽毛が空気を取り囲んで暖かさを保つように、無理なく、しとやかに、表土を守っている。隣接の畑では、剥き出しに耕起された土が守られる術がなく、霜柱が立ち日照りで溶けての朝晩が毎日繰り返されている。とはいえ、草に覆われているといえども、氷点下を下回るような冷え込みでは自然農の畑でも霜柱は避けられない。特に晩秋に種まきして作物以外には草が芽吹いていないような場所では、雑草の根が土を抱えていないために、草が生えている箇所よりも霜柱が立ちやすい。つまり、もっとも秋深くに種まきした麦の畑で(特にちょうど種まきしたすじにそって)霜柱が立ちやすくなる。

 霜柱は、表面から数mm〜数cmの土を持ち上げる。霜柱で持ち上げられたの麦は、まだ土中に伸ばしきれていない若い根が、朝には凍って押し上げられ、日中は乾き、また翌朝凍り、根を伸ばせずに立ち枯れていってしまう。それを防ぐ手段が、ふみふみふみふみ、冬の麦踏みなのだ。

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 自然農では、畑の中、いわゆる作物を育てる畝の中は基本的には足を踏み入れることをしない。団粒構造が自然に作り上げられる土の上を歩いてしまうと、人間の体重で踏み固めてしまい土が潰れてしまうからだ。なので作業をする時はいつも一段低くした溝を通り、野菜たちのサンクチュアリをなるべく犯さぬよう、大事に大事に見守っている。

 麦踏みは、このサンクチュアリを荒らす、背徳感たっぷりの嬉し恥ずかしのワクワク作業。普段穢すことのない畝に足を踏み入れ、しっかりと、厳かに、麦も土も踏み固めてしまうことのないように優しく優しくふみふみしていく。強く踏んでは土が固くなり、麦の芽も潰し、栽培自体も損なってしまう。しかし程よく体重を乗せることで、霜柱が立たないように土を踏み締め、麦の成育促進を引き出し、一石二鳥の効果を発揮するのである。

 今年は畑に同行した家族3人で、それぞれの歩幅にあわせて麦踏み行脚。ぬけるような青空と筑波颪の中、ふみふみふみ。そのうち有酸素運動効果で体の心からぽかぽかぽかと暖まるのであります。

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 以上、雑草屋個人の経験的見解ですのであしからず。


第六十五候: 冬至 次候
【麋角解(さわしかつのおつる)】
=大鹿が角を落とす=
 (新暦12月27日頃〜12月31日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※


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2013年12月29日

深夜

霜月廿七日 晴れ

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 とある深夜。新暦の正月を前に、注連縄を快調に綯っていく。

 より形良く、より太く、より早く。

 松を飾り、南天を飾り、橙(の代わりに酢橘)を飾り、紙垂(しで)を飾り。

 最初の頃はインターネットと大昔の体験を参考に、見よう見まねと記憶を頼りにして試作していた。子供たちとも一緒に作ったりと楽しみながら、ここ数日ペースをつかんでからは自分の感覚と感性で。朦朧となりながらも、部屋の隅にぞろ、ぞろ、と注連飾りが積み重なっていく。
 
 商売にもなるわけでもなく、だんだんと、ただ手さばきがこなれていくのが楽しくて、必要以上に積み重なっていく。売るわけでも、そんなに飾るわけでもないのに。

 その一方で、散らかり荒む藁の束。これも部屋の片隅。21世紀のオシャレ時代になにやってんだ俺は。

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 自然農の田んぼで育った稲藁。庭の松と南天。妻の実家から届いた酢橘。ホームセンターで購入した(おそらく南アジア産の)麻紐。スーパーマーケットで買った(おそらく東アジア産の)爪楊枝。それだけ。プロダクトマイレージはともかく、世界は持続可能な宝物であふれている。

 伝統と、自然と、世界と、日常をつなげて。これこそ毎日が自然農。

posted by 学 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本人として | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする