冷たく降り続く雨の畑からしばし離れて、このところ進める作業の景色を振り返る。
2月から3月。冬枯れから春の芽吹きに移行しつつある畑では、春に向けての作業が目白押し。とはいえ野良仕事どっぷりというよりは、作業をする前にしておきたい準備作業といったところの田畑。 昨年のオサボリ具合を反映して畑のあちらこちらに藪が繁茂してしまっているので、まずはぐわわわん、と刈り払い機でなぎ倒すことから始めた。大藪になった区画では表土から全部を刈り取ってしまいたくなるが、雑草の足元には、小さな小さな冬草たちが息を潜めている。絶妙に表土の草たちを残しつつ、古武術の体捌きを思い出しつつ、刈りすぎぬよう、時間をかけすぎぬよう、疲れぬよう、そして何より難易度最上位、娘の退屈の痺れが切れぬよう、スムーズかつ効果的に進めていくのが実に実践的で面白い。
下草が雑草ではなく越年生の作物だったりする場合には、もちろん刈り払い機をかけることはできない。枯れた茂みをごっそりと刈り倒したくなるようなところでも、実はそこに小さな命が隠れていたりする。
例えばこの写真。

この小藪の中にも、隠れているモノに気を配りながら、鋸鎌で丁寧に草刈りしていく。

藪を刈ったその中に潜むその姿、

イチゴの苗が隠れていた。
冬の草刈りは、すぐそこに迫る春を見据えて行わなければならない。作物が残っているような上の例だけでなく、何も育てていない畝でもそれは同じ。そろりそろりと育ち始めている冬草に気を向けることなしに土の表土ごと刈りすぎてしまうと、種まきのハイシーズンに、播種後に被せる青草が足りなくなることもしばしば。とはいえ草刈らずでは種まきができない。草を残し、草を活かし、草に負けず。その頃合の成果を一ヵ月後二ヵ月後の畑に手にすることを楽しみにしながら、この退屈になりかねない草刈り仕事をこなしていくのである。まあ、言葉で言うのは簡単なんだけどね。
などなどと、凍るような雨を眺めつつ。
第六候: 雨水 末候
【草木萠動(そうもくめばえいずる)】
=草木が芽吹き始める=
(新暦3月1日頃〜3月5日頃)
【草木萠動(そうもくめばえいずる)】
=草木が芽吹き始める=
(新暦3月1日頃〜3月5日頃)
※七十二候を“ときどき”取り入れています※