注)記事の日付は太陰暦を用いております

2016年06月03日

オーケストラ

卯月廿八日 晴れ

 種を蒔いて、草を刈って、苗を植えて、ビール飲んで、子どもと遊んで、子どもに悩んで、ヤギと歩いて、草を刈って、種を蒔いて、ビール飲んで、毎日が過ぎていく。
 それ以外には、あとは家事と、趣味的な自然体の探究だけ。これでいいのか四十路前?と思いながらも、日々が過ぎていく。


 日中の陽射しがいよいよ夏モードに入り、昼間の農作業が危険になってきた。自然に早朝と夕方の数時間コンボが勝負となる。このところ友人と週に1、2回のペースで始めている朝瞑想in畑も時折実践しながら、まずは明け方から10時くらいまで冷涼の田畑の中で時間を過ごす。

 そんな昨日、朝からの作業をいつもよりも少し長めに続け、頭上の太陽が背中をジリジリと焦がして頭がボウっとしてきた11時過ぎ。逃げこむように日除けテントの下に入り、椅子に座ってクールダウンしていると、いつもと違う違和感を覚えた。鳥のさえずりや時折通り過ぎる車の走行音に混じって、聞き慣れない小さな音が耳に入ってくる。プチッというか、パチンというか、プププッというか、どうやら何かの破裂音のような、そしてそれは強い風が吹けば耳元に届く前に消えてしまいそうな、そんな微かなささめき。さらに破裂音は、一度演奏が波に乗るとそれが反響してこだまするように、次から次と音が連なりオーケストラとなる。そしてやがて治まり、また静かに、一つ一つの演奏にも戻っていく。


 たまらなくなってその演奏会へ顔を向けると、手が回らずに雑草が大盛りに繁茂してしまっている、畑のひと区画であった。さらに顔を近づける。その顔に、プチンっとした音と共に、オーケストラの正体がぶつかった。その演奏者は、黒く、軽く、硬く、十全に莢を実らせた、カラスノエンドウの種であった。

20160602karasunoendou.jpg



 膨れきった莢を枯れ色に進ませて、朝露を莢全体に含ませて湿りを帯びてからの、ギラギラの太陽。弾けて飛ぶのに今しかないというタイミングの黒い莢が、畑のあちらこちらに待機している。そして一つが弾け、その種がまた莢に当たり、その刺激でまた弾け、無数に、ランダムに、その砲弾が乱れ飛ぶ。この季節の、この時間の、雑草をたまたま多く残していたこの区画で出会えた、偶然のサラウンド。



 自然界は、ワンダーに満ちている。四十路手前になって偶然に遭遇する、ごくごく個人的で限定的なただのカラスノエンドウの種飛ばしの演奏会。

 その後、昼食に家に戻り、気持ちよくなって缶ビールをひと缶開けてしまった。昼寝があまりにも心地よくて、夕方の作業が少し緩慢になった。

 妻は妻でこんなふうに( ⇒「庭の草刈りに思うこと」)、雑草を楽しんでいる。夫婦して共に、雑草を、必要以上に楽しんでいるよね(笑)。

 Blog更新が久しぶりになってしまいましたが、こんな毎日を過ごしています。
 さあ6月は、大豆の種まき、田植え、目白押しまくりの自然農ハイシーズン!変わらずこのペースで行くぜ!

posted by 学 at 13:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 草を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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