注)記事の日付は太陰暦を用いております

2017年01月11日

月の声

師走十四日 晴れ

 
170101daikon.jpg


 月の満ち欠けにあわせて農を営む。という今年度の試みは、三割成功、七割未達、といったところだろうか。

 一ヶ月の半分の、新月から満月へ月が満ちていく時期、もう半分の欠けていく時期、大まかに言えばその区分で、植物の生育へ異なる影響がある。そのことを耳にしてからおよそ十年、ようやく自然農の営みの中にそのサイクルを取り入れていこうと決め、無理やりながらつくし農園のプレーヤーさんにもお付き合いいただく形で、今年度の集合日を月2回に増やしてみた。

 結果としては、まだ「わからない」。その理由を自分なりに清算してみるならば、月の満ち欠けが成育に影響を及ぼす割合が、今の自然農の畑の成熟度や成長曲線に比べて、低いからではないだろうか。現段階の農園の様子を大雑把に表現すると、区画や畝一つ一つによって、成育の様子ががらりと異なる。整い始めてきた区画では、彩り豊かに収穫が見込まれてきた一方で、まだまだ雑草の勢いに負けていたり微生物の活動が活発でなかったりなど野菜を上手に育てられない場所も多い。その、母なる土壌の成熟度による育ち具合の変化率は大変顕著であり、育つ育たないは、やはりその度合いに大きく頼らざるを得ないようなのだ。月の満ち欠けに手をかけ始めたばかりで明言はできないが、月の及ぼす影響は、土壌の成熟の上にたって初めて、差を感じられるのではないだろうか。

 であるなら、「わからない」というのは、正確ではない。自分の耳に、まだ「聴こえてこない」という方が正しそうだ。月の引力による、生命への影響はきっとある。動物としての自分のバイオリズムなども含めて、もちろん植物にも影響している。しかし、その繊細かつ巧妙な仕掛けに応じられる自分の準備が、まだ整っていないのだ。

 身体術やヨガ、瞑想を深めていくと、始めた頃には気づかない、微細な身体の差異や変調に気付くことが増えてくる。自分の中には最初から存在していた「身体の声」に、最初は気付くことができなくても、時間をかけて耳を澄ましていくなかで、少しずつ聴こえる感覚が育ってくる。

 自分には、自然農の畑に絶えず降り注いでいる「月の声」を聞き分ける耳が、まだ育っていないのだ。しかしそれは、耳を澄まし、心を傾け続けることで、きっと聴こえ始める時が来るのだと思う。差異が「わからない」のではなく、まだ「聴こえてこない」だけなのだから。


170101kabu.jpg
頬の膨らみとカブ、どちらも美味そう(笑)。




 というわけで、今年度、月二回開催していたつくし農園の集合日を、来期(2月スタート)からまた月一回に戻すことにする。月との語らいをやめるわけではない。聴こえていないことを聴こえているように振舞うのが何よりイヤだし、その楽しみは、もう少し後にとっておきたいと思うのだ。自分だけ、家族だけで、ああでもないこうでもないと楽しんだ先に陰陽と自然農の上手な付き合いが見つかるならば、その時まで待つことにしよう。

 そういえば明日は満月。満月から新月にかけては、土中の芋類などの収穫、保存にふさわしい時期とされている。明日以降、アピオスや菊芋の収穫を再開しよう。新年ぼけして田畑からついつい足を遠ざけ気味な毎日に、満ち欠けを理由に背中を押してもらおう。そう、今年度の三割成功とは、月の動きを意識することで、サボりがちの季節ごとの農作業に発破をかけてもらえたことなのだから。


 そんなこんなで、2017年度。つくし農園のプレーヤー募集がスタートしました。

 耕さず、農薬肥料を持ち込まず、虫や草を敵とせず、月の声に耳を澄まし、自然の営みに応じた農のあり方。小松学流の、自然農。今年もそろそろ芽吹き始めます。

 
170101day4.jpg
 元旦に浮かぶ四日月。これからたった十日ほどで、月は満ちる。



posted by 学 at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 自然農のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月27日

ヴィパッサナー 10days

師走丗日(旧暦大晦日) 晴れ

 とても暖かな、冬の休息日。今日は旧暦の大晦日、明日は新月、睦月の始まり。

 月の暦に合わせての新年を迎える前のこの十日間、ごく個人的に、ヴィパッサナー瞑想実践の日々を過ごした。朝5時半過ぎに起き、6時から1時間強の瞑想を行い、それ以降は通常通り生活し、就寝前にも瞑想する。食事は昼以降は取らない。数年前に瞑想センターで体験した十日間のプログラムを、勝手に、ではあるが友人と共にサテライトで実践し(メールで同時進行で瞑想するなど)、その他にも八つの戒律も守って過ごした。そして今日、大晦日を迎える。

 ヴィパッサナー瞑想についての詳細はここではしないが(※後述)、この十日間を過ごしての感想は、瞑想実践の充実度と共に、禁酒の十日間と毎朝の夜明け前起床が、何よりも新鮮であった。

20170107sunrising.jpg


 夏の作業時の早朝起床は、日中作業ができない故の必然的かつ半ば強制的な選択である。しかし真冬。勤め人でもなければ子供の通学時間に追われることも無い、自営業兼ホームスクーラーにとって、冬の明け方に布団を這い出す理由などどこにも無い。現に我が家は、この一ヶ月以上、8時以降起床、朝ごはんは9〜10時という素晴らしい生活スタイル。冬に早起きする理由など、どこにも無いのだ。だって畑さ行ったって土凍ってから(笑)!

 そして毎日、安酒を晩酌。

 自堕落にも程がある、といった声も聞こえてきそうだが、自然農、自然体、自然食、自然育児、を突き詰めていった結果が、この暮らしなのだから仕方がない。家族5人、しばらくはこのスタイルで突き進んでいく。

 
 矛盾するようだが、この暮らし、この方向性に、ヴィパッサナー瞑想が加わるとどうなるか、という化学反応をこれから楽しんでいきたいのだ。いつしか書いたが、心の自然体を探求していくと、ヴィパッサナー瞑想にたどり着く。ブッダが紐解いた、心と身体の究極の真理。自然体研究家としての自分が取り組む課題として、どうしても避けては通れない人生の大目標の一つなのだ。

 自然農は、田畑との取り組みの継続の上にしか成り立たない。全く同様に、ヴィパッサナー瞑想は、瞑想の実践の継続の上にしか成り立たない。自然体とは、生まれながらの自由でラクチンなワタシ、ではなく、本来流れ進む澱みなきところを目指しながら黙々と歩き続ける、「バランス感覚」である。

 今後も、酒も飲むだろう。布団も大好きだろう。その一方で、ブッダの爪の垢ほどでも真理に近づきたいという思いを携えて、自然農と、家族と、自分の運命とともに、瞑想も続けていきたい。


 瞑想して、それでどうなるの?とか
 それって世界平和に、社会貢献につながってるの?とか
 お前大丈夫?とか

 色々な声もまとめて、これからも「毎日が自然農」を続けてまいります。

 とりあえず、十日間は終了! 一日一食も続けたせいか、腰周りの肉がだいぶスリムになってしまった。もうちょっと脂肪蓄えてこの冬乗り切らないとな。酒も夜食もしばらくは解禁して、自堕落と瞑想の狭間にしばらくは埋没します。そしてまた、誰に言うでもなく歩き始めます。

 まずは、(太陰暦ですが)新年あけましておめでとうございます。そして十日間付き合ってくれた家族、妻に大感謝。そして、生きとし生けるものが幸せでありますように。



★ちょうど同じ時期、妻はこんな日々を過ごしていたようです。
「なにもしなくてもいいんだよ」

 20170117morning.jpg


 ※ヴィパッサナー瞑想については、こちらのHPをご参照下さい。
  【ヴィパッサナー瞑想:ダンマーディッチャ

posted by 学 at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 学びを知る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。