注)記事の日付は太陰暦を用いております

2024年08月30日

人歴(human era)を世界に導入しよう

HE12024年 文月廿七日 野分(台風)

20240830tambo.JPG

 いきなりだけど、常識的に採用しているモノサシや概念をほんの少し見直すだけで、人生観がごろっと変わりだし、世界の見え方が違ってくることがある。一見くだらなく見えたり、そんなのどーでもいいように感じたりするかもしれないが、日常的、常識的に運用されているものを疑うことすらなく、世界観が固定化され、それに気づかずに不自由になっていて、社会が実は停滞している一因になっていることも少なくない。

 その一つが、西暦(紀元前=BC:before Christ、紀元後=AD:anno Domini)である。結論的仮説から述べると、現在が2024年と規定されているこのなんとなくの二千年という時間量が、現代的人類史観の絶妙で微妙な歴史的浅薄さの根源を規定してしまっている。本来私たちに内在している「動物的本能力」や「文明以前的DNA」が重視されず、機械文明的な近未来思考に迎合してしまうある種の弱さは、2024年前を西暦元年としている西暦の採用によってもたらされているのではないだろうか。
  
 思い返せば、少年時代から違和感を抱いていた。漠然と、なんで今は1986年なんだろう?と10歳の頃に考えていた。大人からの返答は、それは西暦って言うんだよ、だった。西暦はなんで決まってるの?と返すと、キリストが生まれた年が始まりらしいよ、と帰ってきた(当時はそう教えられた)。そして、なんでキリストの生まれた年から数えなきゃいけないの?と問うと、もうラリーは終わりに近づく。そう決まってるから!と、問答は打ち切りになる。

 あれから40年近く。日本独自の元号や、皇紀、旧暦新暦など一通り様々な暦についても見聞きし、受け止めつつも、それでもまだ、西暦を採用し続ける世界に、疑問を捨てきれずにいる。

 このところ、古代世界の技術(古代文明や遺跡に使用された、「超技術」と呼ぶにふさわしい古来の英知)に関わる本などを読み進めていくうちに、またその火が再燃した。とかく、古代エジプトやギリシャ・ローマあたりの記述になると、ある時は紀元前3000年と記述され、またある時は4500年前と書かれており、一方で紀元13年だったり、はては紀元前6世紀だったり、紀元元年を境にした表記が乱立する。文系脳のせいなのかはわからないが、その乱立と時間の幅感に、全然しっくりくることができない。ニュアンスで申し訳ないが、紀元前2000年と、西暦2000年が、西暦1年を境に同じだけ離れてる、という感覚が、どうしてもピントが合わない表現に感じる(絶対値が等しい、という感覚がつかめない)のだ。

 大げさに言えば、エジプト文明に代表される四大文明や、その他古代文明、そして我ら縄文文明と、紀元元年を挟んだ現代の私たちは本当は連綿と途切れることなく続いている。だがしかし、西暦のせいで、断裂(とまでいかなくとも、分断くらいは)してしまっている気がするのだ。ありていに言えば、歴史的距離感がバグってしまっている気がするのだ。縄文時代や弥生時代は〇千年前、なのに、そこからいきなり古墳時代までぶっ飛んで飛鳥時代は600年ごろ、奈良時代〜江戸時代を経て、今、2024年。いやいや、人類史って2000年では収まらないじゃん!もっともっとはるかに重厚なボリュームがあっての今の我々なのに、2024年って言われることで、直感的な薄っぺらさ、「とはいっても2000年くらいじゃん?」と無意識に刷り込まされてしまっている可能性がある。

 それが一体何が問題なのか。例えば、今25歳の人は、4倍で100年。今50歳の人は、倍で100年。てことは、人生100年時代と嘯かれる昨今、自分たちの人生が、2000年間分の100年を埋めてしまえるのだ。自分の人生が、「歴史」の20分の1に該当するのである。そのボリューム感こそが、歴史を、世界と、地球を少々甘く算段し、思い通りにコントロールしようとし、エネルギーも自然環境も使い尽くし破壊し続けてしまう、現代文明の究極的課題の精神的支柱になっているのだと想像するのだ。

 そこで私は発見した。そして大いに提唱する。

 旧石器時代から新石器時代に移行したとされ、その後世界各地に古代遺跡や文字の発生、農耕の萌芽が徐々に起こり始めるとされる、今から約一万二千年前、つまり紀元元年からちょうど1万年前(今日現在に直せば12,024年前の1月1日)を、【人歴元年】として人類史を描きなおそうではないか!西暦から、人歴へ。AD、BCから、HE(Human Era)へ。

 これに直すと、人類史が非常に鮮やかに、原始的文明の起こりから古代文明、勃興、そして現代にいたる時間軸が、極彩色をもって立ち現れてくる。(※以下年代は、おおよその年代で表しています。)

人歴元年:原始農業の起こり(BC10,000年)※12,024年前
人歴3,000年:イネ(東アジア)や小麦(中東)の栽培開始(BC7,000年)
人歴4,500年:縄文時代前期(BC5,500年)
人歴5,000年:初期黄河文明出現(BC5,000年)
人歴6,700年:初期インダス文明出現(BC3,300年)
人歴7,000年:文字の発明(メソポタミア)(BC3,000年)
人歴7,411年:クフ王のピラミッド建設開始(BC2,589年) 
人歴8,250年:ハンムラビ法典(BC1,750年)
人歴8,500年:鉄器の発明(ヒッタイト)(BC1,500年)
人歴9,000年:弥生時代前期(BC1000年)
人歴9,437年:仏陀生誕(BC563年)
人歴9,449年:孔子生誕(BC551年)
人歴9,517年:パルテノン神殿完成(BC483年)
人歴9,530年:ソクラテス生誕(BC430年)
人歴9,779年:秦の始皇帝即位(BC221年)
人歴9,998年:キリスト生誕(BC2年)
人歴10,365年:ナスカの地上絵(AD365年ごろ)
人歴10,550年:仁徳天皇陵完成(AD550年ごろ)
人歴10,570年:ムハンマド生誕(AD570年)
人歴11,603年:江戸幕府開府(AD1,603年)
人歴12,011年:東日本大震災(AD2,011年)

 このように、紀元後のカウントは、現在の西暦の年代にシンプルに10,000年を足したものが人歴の年代として算出できる。
 
 さあどうだろう。こうして眺めると、氷河期が収束して狩猟採集的旧石器時代からの移行が始まったのが約12,000年前だと規定することで、人類史がいかに長い間ゆっくりと歩みを進めてきたががぐっと肌感覚で分かってくる。我々が普段把握している歴史なんて、せいぜいここ三千年程度の出来事であり、人歴で言えば9,000年以降から現在12,024年の間に起きたに過ぎない。

 人歴の開始を、5,000年前に置くべきか、あるいは20万年前に置くべきか、それは、人文科学、社会科学すべてを巻き込むほどの、答えのないテーマになってしまうだろう。そこで、文字や農耕や古代文明の発祥にほど遠くない約12,000年前を仮に採用することで、現在の西暦にそっくり一万年を足すだけで済むので、ほとんど現代歴に影響を与えずに採用できるのである。

 この人歴(Human Era)の採用で何が起きるか、というと、それは一言で言えば、「本能的人間性の自覚」である。わたしたち人類が、圧倒的非文明の助走を経て今ここにいることを、右脳的に実感する、とも表現できるだろう。何せ、古代文明として絶対的存在感を放つピラミッドでさえ、人歴に直せば7,000年から8,000年代に起きた出来事なのである。仏陀やキリストが生まれたのが9,000年代、三国志の時代は10,180年ごろ、ジンギスカンが活躍したモンゴル帝国は11,206年に成立、第2次世界大戦は11,939年勃発。ああ、実感値として、12,000年の人類史からみたら、ほとんどの歴史的事件がここ最近の出来事に過ぎないんだなあ。とボリュームがじわじわと体感できない?西暦2,024年の今日からみて2,100年はどうなる?と思考すると大ごとで大変な感じが出てくるが、人歴12,024年の今日から見る12,100年は、膨大な人類史のちっぽけな、そして些細な、大上段に構えることない、大げさに不安がったり自らを尊大に見せたりする必要のない未来な感じがしない?

 今の西暦に一万年を足すだけで、この絶大な、無言ともいえる寡黙さで紡いできた人類の営みへの無条件な安心が生まれ、これからの未来を謙虚に切実に地球と共生して編んでいく勇気が育まれる礎となる気がしてこないだろうか。

 さあ今日から、人歴12,024年の世界を、導入していこうではないか!

20240830hechima.JPG


 って、最後まで書いたときに衝撃のWikipediaを発見!!!!!
 西暦1993年に、地質学者のチェザーレ・エミリアーニによって、西暦紀元にちょうど10000を加えた数値によって表される『人類紀元(じんるいきげん、英語:Human Era)』が提唱されていた!!さらには、ほぼ同様の趣旨がまとめられているサイトも発見(涙)!

 https://gigazine.net/news/20161208-new-history-for-humanity/

 誓って言いますが、この最後の文章を書く瞬間まで、完全オリジナルの考えだと確信してました(笑)。恥ずかしさと共に、皆さんにお届けすることにします。以上、妄想終わり!
posted by 学 at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 本質を考える | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする