師走二十二日 晴れ
久しぶりに、脱力感を味わった。
夕方何気なくTVをつけると、NHKの国会中継「参議院予算委員会質疑」が画面に流れていた。偶然にも日本の農業について自民党議員からの質疑が始まっており、まるで期待しているわけでもないが、乗りかかった船と思って聞いてみようと腰をおろした。
まずは市川一朗議員の質問を簡単にまとめる。
日本の農業の課題と展望について
わが国は先進国の中でもきわめて食糧自給率が低い
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自給率の高い国の多くは押し並べて農産物を輸出している
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農産物の輸出を目指すことが、日本の農業のこれからだ
この論理展開にまず絶望すら感じるが、最後まで聞こうと答弁を待つ。答えるは農林水産大臣、島村宜伸議員。
日本の食材の種類豊富さ、水準の高さは日々感じるところがある
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実際に果物や水産物が高級食材として輸出傾向にある事例はある
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これからは食料輸出に展望がある、攻めの農業で日本の農業には未来がある
はたして出発点である食料自給率の向上というテーマはどこへ行ったのか。続く小泉首相は、「私の選挙区の神奈川あたりではミカンや都市農業が盛んで活気がある、また寿司(SUSHI)のグローバル化は日本食材の輸出拡大に繋がる予感もできる、米の輸出にも繋がる、日本農業はこれから頑張れば何とかなる」と答える。各々の発言全てに?が多すぎて、いちいち突っ込む気力も起きない。
いったい「食料自給率の向上への課題」が、どうして「高級食材の輸出で万歳」で収束するのか。そしてなぜ質問した市川議員は満足そうにしているのか。そこを譲って輸出増の話が事実であったとしても、まったく別の話ではないか。「日常食うもの」の生産をいかに産業として確保を試みるかという議論と、「商品作物」の生産を産業として期待する議論を並列に述べることって、日本プロ野球会の活性化は懸念されるが大リーグの選手は増えてるから期待できると言っているようなものではないのか。一瞬そうかと思わされるが、論理が飛躍「しすぎ」ていませんか。
農林水産大臣、内閣総理大臣殿。はなから、「食糧自給率の向上」なぞ「農業問題」程度で一括りで処理されてるのでしょうか。あとは、日本の農業を盛り上げる ⇒ 農業にも景気のよい話を ⇒ 高級食材の輸出で頑張る というバカボンのパパのような3段論法ですか。もしくは農水省が考えた答弁ですか。まさかね。いったい参議院予算委員会質疑って、誰のための、何のための質疑なの?どなたか教えてください。
たまーに国政に感心しめそうとすると、この仕打ち。結局はインチキ百姓は、自分の食い扶持は自分で確保することを考えましょう。農業に関心持たない人は、ご飯の代わりに高級食材の桃やら柿やらリンゴやらを食べましょう。
国民に失望を感じさせるのも国会議員の役割の一つと思って、TVを消した。明日も苗床つくろうっと。
注)記事の日付は太陰暦を用いております
2005年01月31日
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そうやって、筋をそらしながらうやむやにしちゃうのも敢えてねらった一手なのかなぁ。。。そんな答えも敢えて期待しているのかなぁ。
どこまで予測しているんだろう、とか、いろんなやりとりがあるんだなぁ、とかこれまたちょっと本質から外れたところに関心を持ってみたり。
やるせない怒り(?)って私も文章化したくなるときがあります。
いや、普通に農水省答弁だと思うぞ。自民党農水族議員からの質問だから、全てが茶番なのよ。プロセスは、@議員がこんな質問明日するよと役人に言う、A役人が答弁書く、B大臣が読むという三段階になっていると思われ。でもこの手の自民党内茶番質問は過去にもわんさかあるはずなので、多分数年前の答弁ラインです。
ん〜俺も婆ちゃんの家の畑で米作ろうかなあ。
プロセスも茶番もわかってるつもりなのだけど、根本的な問いは、いったい誰のための何のための?という所なんですよね。ああー、いいかげんにせえよ、議員さん&それを選んでる俺たち。
中国が輸入国へ。もしや中国でも「これからは高級食材をガンガン輸出だ」なんてことに。。。はならないか。基本的に日本人の麻痺は、「食」が(最近は「職」もだけど)あふれている現状が生み出しているものでしょうね。