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2004年02月08日

「さいたま丸ヶ崎自然農の会」参加 2(開墾編)

睦月十八日 晴れ
 昨日に引き続き、さいたま市での丸ヶ崎自然農の会に参加した。本日のメニューは「畑の整備」の実習。江南での畑へ取り組む前にはもってこいのメニューである。
 まずは、慣行農法が行われてきた農地を自然農の畑に戻す方法。といっても特別になにかするというわけでもなく、30坪ほどの土地を参加者用に区分して、凸凹を直して、土の流出を防ぐ為に少し低い区分の畑に土留め用の廃木を並べる。チョットした造園気分。参加者の人たちも、主宰者の山本さんも、自然農は造園するような気持ちじゃないとできないかもね、と言っていた。つまり、楽しみながらやる、ということだろう。
 整地が済んだら、少しでも早く豊かな土地に戻る為の後押しとして、米ぬか(玄米を精製する際に出る副産物)を薄くふりかけ、その上に稲藁を覆いかぶせる。土の乾燥と防ぐ為と、微生物が住みやすくする為の知恵である。しかし即効性とか効果覿面とかいう言葉とは縁の遠い、あくまでもそこは自然農。疲れた土地を、あくまでも自然の微生物の働き、営みにお願いするのである。
 自然農は、こういったひとつの「物語」を楽しめるかどうかがポイントなのかもしれない。私はといえば、無論、そこで微生物たちが好き勝手に暮らしだし、そのうちに草がドンドン生えて土が柔らかく豊かになっていくであろうこの先を想像するだけでワクワクしてしまう。この感覚、わかるかなあ?スキーで思い通りに滑れた時、サッカーでドンピシャのセンタリングを上げてゴールが決まった瞬間、アカペラのライブでいい演奏ができた時、そんな感覚とはまた違う、なんとも含み笑い的な感覚なんだけど。・・・わかんないよな。
 話を戻して、他の作業に移ろう。丸ヶ崎自然農の会の今年のビッグプロジェクトの一つとされる、荒地の開墾である。地主さんが土地利用として植木用のユキヤナギを栽培していた土地を、この度借り受けて畑にしようというもの。開墾なんて言っても雑草バーッと刈るだけだろう〜なんて高をくくっていたらトンデモナイ!それはもう、ただただ、体力と技術と集中力のみがものを言う、かなりのハードワーク。太いものでは直径4cmにもなる密生した枝を、ひたすら鋸(ノコギリ)と途中から鉈(ナタ)で攻める攻める。これは、文章で伝えるのはちと無理があります。まあなんというか小学校に例えるなら(強引だが)、ジャングルジムの中に潜りこんでそのジャングルジムの骨組みを借り倒して行く感じ、それが教室二つぶん程の広さ。・・・わかる?結局、遅々として進むわけもなく、みんなで力を合わせて少しずつ作業を進めて夏までには終わらせようということで終了。
 で、自然農のスタンスとして面白いのはここから。長いけど興味あれば付き合ってね。

040208omake 一息ついて…

 さあ続き。木が繁茂した荒地の開墾をいざ始めるのだが。この会で行おうという試みは、実に「自然農的」で面白い。聞いてるだけでワクワクしてきてしまう。簡単にいってしまえば、植木は、株の根元を切るだけで根っこは掘り起こさず、そのまま自然に朽ちるのを待つという方法。朽ちるまではその植木の株間を畑地として利用するのだ。根っこを掘り返してしまえばそこに住み着いている微生物や昆虫類の生活環境を一時的に破壊してしまいその回復の為には不必要に人間の手を入れることになるからだ。いったい株や根が朽ちるまでにどれほど時間がかかるかはわからない。もしかしたら2年、3年あるいはそれ以上かかるかも知れない。途中で耐え切れずに掘り起こすかもしれない。しかし、自然に朽ちた後の土で自然農をしてみようという考えは、とても素敵だ。まったくもって非効率的であり、不経済的であり、非論理的に見えるかもしれない。しかし、そこには物語があり、好奇心があり、可笑しみがある。畑に出るたび、経緯を眺める楽しみがある。長く付き合ってみたくなる親しみがある。土と触れ合うことで一番大事なことは、そんなことを感じる心だと思う。自然農のカリスマ、川口由一さんもご自身の畑でおっしゃっていたなあ。「木が生えてしまってる所を畑にする時は、切り株は残しておいてもいいんですよ。そのうち枯れて畑に帰ってくれますから。それに切り株がある畑ってのも変わってていいじゃないですか。」
 いったいこのユキヤナギの小さい切り株達との畑はどうなることやら。そのまえに畑になるのか。誰が残りの木を切るのか。何も決まっていないそうだ。

posted by 学 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 田の記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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