
とある深夜。新暦の正月を前に、注連縄を快調に綯っていく。
より形良く、より太く、より早く。
松を飾り、南天を飾り、橙(の代わりに酢橘)を飾り、紙垂(しで)を飾り。
最初の頃はインターネットと大昔の体験を参考に、見よう見まねと記憶を頼りにして試作していた。子供たちとも一緒に作ったりと楽しみながら、ここ数日ペースをつかんでからは自分の感覚と感性で。朦朧となりながらも、部屋の隅にぞろ、ぞろ、と注連飾りが積み重なっていく。
商売にもなるわけでもなく、だんだんと、ただ手さばきがこなれていくのが楽しくて、必要以上に積み重なっていく。売るわけでも、そんなに飾るわけでもないのに。
その一方で、散らかり荒む藁の束。これも部屋の片隅。21世紀のオシャレ時代になにやってんだ俺は。

自然農の田んぼで育った稲藁。庭の松と南天。妻の実家から届いた酢橘。ホームセンターで購入した(おそらく南アジア産の)麻紐。スーパーマーケットで買った(おそらく東アジア産の)爪楊枝。それだけ。プロダクトマイレージはともかく、世界は持続可能な宝物であふれている。
伝統と、自然と、世界と、日常をつなげて。これこそ毎日が自然農。