雨続きの空がようやく太陽を取り戻し、久しぶりの気持ちよい晴れがつくばに訪れた。脳味噌に、腰なんて全然悪くない、と言い聞かせ、実際にぎっくり腰の怖さなどほぼ完全に克服し、ワクワクしながら田畑に出た。
梅雨明け以降、じわりじわりと水位を下げてぐっと耐えていた田んぼ。腰を痛めたお盆のころには、すっかり表土からは水面が消え、稲自身と雑草、刈り草のカーペットが炎天下の蒸発を抑えてなんとかしっとりとした土を保っていた。そしてこの一週間断続的に降り注いだ残暑の雨。久しぶりにゆっくりと足を踏み入れた田んぼ。

なんとまあ、たわわに、たっぷりと、ほとほとに、雨水、沁み水が水田をきらめかせていた。
たわわ、である。水は命の象徴だと、本能的に感じられるほどに、何かしらの豊かさのオーラのようなものが溢れていた。数週間前に腰痛まえに手を入れていた草刈りも嬉しいほどに効果を発揮していて、雑草は、モリモリと分蘖(ぶんげつ、ぶんけつ)する稲株の合間に、下草程度にちらほらと生える程度であった。そのちらほらの草を、小一時間程度で簡単に刈りながら田んぼを回る。腰をかがめながら、時折、稲株の下からの眺めを楽しむ。水面に水草をたゆたえ、空に稲の葉を茂らせる自然農の田んぼを覗いていると、ふと想いは、ボートに乗って探訪した中南米やアジアのジャングルクルーズへ。楽しい〜〜♪

思いを込めて取り組んだ作業が、自然の天候に左右されながらも地道に目に見える形で功を奏してくれるのも、たまには悪くない。腰の痛みに寝かされていた2週間のソワソワが、さーっと霧が晴れたように霧散していった今日の田んぼであった。
たわわ〜たわわ〜たわわ〜♪

※たんぼに水が張る様子を「たわわ」と表するのは辞書的には間違いですが、どうしてもこの言葉しか浮かばなかったので悪しからず、お許しください。
第四十一候: 処暑 末候
【禾乃登(こくものすなわちみのる)】
=稲が実り始める=
(新暦9月2日頃〜9月6日頃)
【禾乃登(こくものすなわちみのる)】
=稲が実り始める=
(新暦9月2日頃〜9月6日頃)
※七十二候を“ときどき”取り入れています※