
穂紫蘇が実をつけ始める頃。雨が降り、日が差し、空は天高く。風は冷たく、蚊は肥大し、いよいよ秋本番へ。
秋の野良仕事もピークに差し掛かり、毎日(時々休みながらも)フルで田畑で過ごし、夕方見渡す空が息を呑むほどに美しい。
ある日は、西の雲の合間から放射状に差し広がる夕焼け。またある日は、見事に鱗(うろこ)状に描かれた鰯雲。そして先日の曇天の夕暮れ。畑の北東の宝篋山(ほうきょうざん)には、いつもは山の向こうには山陰などなく、背景には空が広がるだけなのだが。しかし、その日は見事なまでの黒雲と白雲のグラデーションにより、あるはずのない山脈が突如現れた。
まるで長野か山梨の、アルプスの連峰の裾野にいるかのような不思議な感覚。浅い尾根から霧が被るように雲が流れ、その奥にはさらに険しい山が控えているかのような、そんな景色。まるで、筑波山脈。

ここつくばに来て、初めて目にしたこの風景。なんだか得したような、旅したような、そんな夕方。日々是好日。
第四十五候: 白露末候
【 玄鳥去(つばめさる)】
=つばめが南へ帰っていく=
(新暦9月18日頃〜9月22日頃)
【 玄鳥去(つばめさる)】
=つばめが南へ帰っていく=
(新暦9月18日頃〜9月22日頃)
※七十二候を“ときどき”取り入れています※