10時半、背中に滲む汗とさらに強さを増す陽射しにうんざりして部屋に引き上げてきた。言い訳にならないこのやる気を奪うエネルギーは説明しがたい引力がある。あああ、この季節がやってきたのだな、と。畑の雑草の勢いは、一瞥するとまるで敵わない相手のように思えるが、いざ畝間に腰を下ろして手を動かし始めるとなかなかどうして着々といい勝負になるものだ。たとえ周りから見たら雑草に埋もれた畑に変わらずとも、中をみれば播種した箇所や草刈りを済ませた跡が存在し、静かに背丈を伸ばす野菜たちが雌伏して佇んでいる。
後の作業は、午後2時以降にまわすことにしよう。そうしよう。
そんな昼休みを過ごしていたら、にわか雨が落ちてきてほつりほつりと暫く土を濡らし始めた。夕方までには上がってほしいと願っていたら、大した降雨もなく雲は通り過ぎていった。ひんやりとした風がまた晴天を連れてきて、早速午後の作業を再開。夕暮れ、沈みかけた西日が、実り前の麦の穂を明るく照らしていた。なんだかせわしなかった天気に追い立てられた、そんな今日の締めの景色。
