注)記事の日付は太陰暦を用いております

2016年02月15日

怒らない決意

睦月六日 雨のち晴れ

 午前中、長女を叱り飛ばし、昼過ぎから一緒に過ごすつもりだった予定を取り止め、自分だけ家を後にした。送り出す際の、妻の複雑な視線をちらりと見つめ、その背徳感に耐え切れなくなって、玄関を飛び出した。

 午後からの用事は、身体のバランス感覚、力の強張りや無駄な動きへの認識、より自由な自然な身体の操作方法などへフォーカスしていく、研究会。正午過ぎのスタートから夜遅くまで、内容を変え場所を変え様々に自由稽古が続けられていく。

 稽古後の食事会を終え、帰宅を前に、夕方に妻から届いたメールを見返す。そのまま書くことはできないが、メールには、「気持ちを整えて、攻撃力を下げて帰ってきてね」といった内容が記されていた。何時間かの稽古会で過ごした、より自由な、より力の抜けた、強張りの無い身体の使い方を練っていく時間のなかで、自分の身体と心は確実に落ち着きを取り戻していた。 午前中に長女とやりあった心の刺々しさは、自分の至らない身体の不自然さと同様に、ひどく不恰好だった。

 自然農の畑に向き合うとき、無意識ではあるが、心に決めて取り組んでいることは多数ある。その中でも、農薬・肥料を使わないことは筆頭に上げられる。それは、自分で決めたことであり、決意であり、誰がなんと言おうとも不要と確信しているので、ただただ、どんな結果になろうとも、原則として用いることは無い。農薬・肥料を必要とするのは、田畑が自然のあり様としては不完全であり、状態としてはまだまだ未熟であるが故に、発生する症状と考えられる。安定して成熟した自然農の田畑では、農薬も肥料も不要であり、そしてそこに生まれる様々な不具合も、ある程度のバランスで修繕されていく。そんな田畑にするための前提条件として、「農薬・肥料は必要不可欠」という世間一般の常識から脱皮することが、何よりも求められていく。


 そんな自然農に対する決意と同じように、自分は、「怒らない」という決意を宣言しよう。

 「怒らない」。もっと厳密に言えば、「我が子に怒りをぶつけない」。午前中の不恰好を経て、午後の身体の探求を過ごし、自分の不自由さを実感し、そう決意することにした。自然農の田畑に、決して、農薬・肥料を用いることを選ばないように、我が子に対して、不細工な怒りをぶつけないことを選ぶ。聖人君子になろうということではなく、決めたことを、ただ実行する。きっと「イライラ、ムカムカ」は生まれ続ける。しかし「怒らない」。「怒り」の実行は仕方が無いものだと決め付けている、何よりも自分自身の常識から脱皮して、ただ決意して実行する。ポイントは、「怒らない」のではなく、怒りの感情がうまれたとしても、それを彼女に伝えるまでに至らせないこと。そこが自分の決意である。

 決めたことを守れるかどうかは実はわからない。しかしともかく、自分自身は、その決断が良い方向にむかうに違いないと確信している。であるならば、田畑に接するように、自分に対しても実行させていくしかない。誰が見ているわけでもない。それは自分と娘たちとの密約である。厳密に言えば片思いの約束でしかない。学童期を迎えようとしている長女は、時に反発し、時に怒り、時にエゴを撒き散らす。しかしそれは、自分の決意とは実は関係がない。関係があろうがなかろうが、未熟な畑に対してでも肥料を用いようとは決して思わないように、彼女の反応に対して怒りをぶつけまい。そう決意してみる。

 自分の怒りの感情に対して、こんな決意ができるとは、実は気づいていなかった。決意がもてるということは、取り組めるということであり、対象の観察、もしくは程度の把握もできるということなのだろう。そこに、実はワクワクしている。それは自分が決めたことであり、しかもどこかの受け売りではなく、自分がきっとこうだという確信からの発生であるから。

 その決意、果たして貫くことができるだろうか。とある事象に怒っていた人間が、同じ事象に対して怒らなく(しかも決意によって)なることができるのかどうか。自然農の田畑の営みを見守り続けたいように、自分の変化を見守っていってみたい。田畑について記していくように、その後の経緯も記してみたいと思う。


 怒りをぶつけるのは簡単だ。子供を、自分に従わせているように感じることができる。それはまるで、肥料や農薬を用いることで、作物を従わせているように感じることができるように。その、魅惑から、習慣から、自由になることができるか。さあ、また新しいチャレンジへ。


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 雨のち晴れ。雨降って、地固まる。



ラベル:子育て
posted by 学 at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 沿って暮らす | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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