台風一過。昨日まで、とにかく乾いて、渇いて、仕方のない田んぼだった。
雨降れど溜まらず。苗を植えても、あるものは根付く前に枯れ、あるものはモグラに掘り起こされ、雨量の少なさを恨めしく思った。水田にモグラ、という半分冗談みたいな事情も、天水田の雨水だよりのこの田んぼならではの出来事。乾く田んぼを憂い、毎年工夫してきた刈草の敷き方も変えた。大地が乾かぬように、植えた苗が乾燥しないように。
明けて今日。降った雨を蓄えた田んぼは、満ちていた。今季初の冠水。畦道を越えて水が張っている。蛙が鳴いている。雲が水面に写っている。そして苗は、この冠水で浮かび上がった刈草に埋もれて、水面下に溺れていた(笑)。

降ってほしい!と願い、降ったら降ったでまた一苦労。
雨降らなくとも悩み、雨降っても悩む。思い通りであってほしいと願うのは、人のサガ。しかし思い通りなどになった試しはない。上手くいっても上手くいかなくても、結局は大自然と自分(そして繋がりある全ての人)との狭間にある。
こんな気分のときに必ずと言っていいほど思い出すフレーズがある。
映画「地球交響曲第三番」に出演している、自然保護活動家シリア・ハンターの言葉が私は大好きだ。
「人生とは何かを計画しているときに起こってしまう別の出来事」
"Life is what happens to you while you are making other plans. "
たいそうなことが起きたわけじゃない。思っていた通りには事が進んでいない。田植えは予定の半分どまり。大豆は例年の十分の一も蒔いてない。里芋も生姜も草刈りしてないし、苗づくりしたナスは移植が終わってない。家は片付かない。ビールはやめられない。妻とデートなんてまるで無理。毎日、七転八倒して終わっていく。なんだか書いてるうちに段々楽しくなってきたな(笑)。

それでも、明日もまた田んぼに出て、子供らとのスケジューリングに悩み、笑ってご飯を食べて、ちょっとだけ本も読み、寝るんだね。まあそれでいいんだね。
脈絡はないけど、ここ数日、急に俳句に目覚めた長女の句を紹介。
〜 うめ(梅)のみが ぽろっとおちたら いいかおり 〜
〜 は(葉)のしたに かくれているよ かえるくん 〜

〜 は(葉)のしたに かくれているよ かえるくん 〜

そんな長女との、夕方の田んぼからの帰り道に、自分も久しぶりに詠んでみた。
〜 水たまり 空から降りて 来たんだね 〜
〜 乾田に 忍びて溺れる モグラかな 〜
〜 乾田に 忍びて溺れる モグラかな 〜
・・・季語もない。長女の初々しい感性が欲しい(笑)。