注)記事の日付は太陰暦を用いております

2015年02月15日

のぐそ

師走廿七日 晴れ

 ねえキミ、野グソしたことある?
 大地に、「愛のお返し」したことある?
 
 小学生低学年の頃、学校で大をするのが恥ずかしいという風潮があり、どうしてもトイレに入れずに、我慢したままの下校したあの日。家に着く直前に、いつも会うたびに追いかけてくる野良犬(当時はあちこちに野良犬いたなあ)と目が合い、下半身の不調を抱えたまま、いそいそとその路地を走り抜ける。なんとか犬から遠ざかり、あと一歩、家の門が目に入ったその瞬間、どこからともなく訪れた安堵の気持ちとともに緊張の糸は切れてしまった。そんな悲しい思い出が、小生の糞ライフの、いちばん古い記憶である。 もっとも、これは野グソではない。
 
 人生でもっとも記憶に残っている野グソは、古代遺跡のジャングルの林の中で営まれた。学生時代、中米へ旅し、グァテマラのとあるマヤ遺跡に訪れたことがあった。ジャングルの中のその遺跡は、観光地化されきらずにただただジャングルの中に屹立する苔むしたピラミッドや遺跡群が、熱帯雨林の木々とともに雑然と存在していた。下手な野球場よりもずっと広いようなその遺跡には、公衆便所の数など当然限られていた。旅にも食事にもなれ、体調も万全の頃だったが、不運は突如訪れた。
 朝に食した現地屋台で買い求めた、野菜とチーズのピタパンのサンドイッチ。おそらくあれだ。中南米での下腹の不調は急転直下にやってくる。遺跡の真ん中のジャングル然とした林の中から、入り口付近のトイレに駆け込む余裕は、もはや小生には残されていなかった。幸い、午前中も早い時間、あたりに人はいない。南無三と木陰に駆け寄り、遺跡と共に歴史を重ねてきた大地に、身を任せたのだった。
 それが、海外での、嬉し恥ずかし初野グソであった。もちろん、周囲の土を盛り、落ち葉枯れ枝を被せ、匂いや散策の観光客へ迷惑のないように、最大の配慮をして、ピラミッドをあとにしたのだった。

 その後の海外での、不測の事態には、たいがいなんとか対応してきた。外でするほうがまし、というような便所しかないような場所だってある。蚊に刺されることを気にしなければ、案外、大自然には、心地よいスペースが広がっていた。


 それに比べて、ここ日本で、大地へお返しする機会は、滅多に訪れない。小生も、東日本大震災での停電により便所が機能しなくなった数日間、周囲の林の中で用を済ませた以外、自らの選択をもって野グソをすることなど、考えてみたこともなかった。

 その日本、この日本で、野糞歴41年、大地に還した ウンコが一万三千回を数える、偉人が存在する。その彼の名は伊沢正名氏。もはや革命ともいえるその実践者の手にかかれば、野糞という行為は、「大地への愛のお返し」という、崇高な使命に変わる。それでいて風貌は、一介のサラリーマンのような、研究者のような、そこいらにいるメガネをかけた素敵なオジサマ(実に常識人たる格好をされている意味において)なのである。

 昨年、ふとしたことから伊沢さんの情報を耳にして、講演の動画を拝聴した。それから2時間、釘付けとなった。衝撃、であった。そしてその衝撃から一年。ようやく、お招きする幸運に与ることとなった。

 
 何故、ひとは大地から離れてしまったのか。そして何故、いまこそ野グソなのか。

 全てが明らかになる一日。


 あなたにとっての、自然とは、環境とは、エコとは、全ての概念がイチからひっくり返ります。

2/21(土)糞土師 伊沢正名氏 講演会&ワークショップ
=2015年2月21日(土) 開催=

 只今絶賛、参加者募集中!




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 震災時に、隣の林に還した、私の愛の、4年後の姿。本邦初公開。
もちろん、土に埋めてあるので、枯れ葉しか見えないですけど。


posted by 学 at 23:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 地球を感じる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年07月14日

非公式梅雨明け宣言

水無月十八日 晴れ

20140708south.jpg


 予想よりも進路を南にとり、大きな被害もなく過ぎてくれた台風8号。去ってからの数日の空の下で田畑を過ごし、何となくではあるが、しかし内心ではこれはきたなと確信めいた、とはいえ天気予報ではまだではあるのだが、実は梅雨は明けたのではと予感している。
 
 梅雨が明けているのだとしたら、と仮定して、梅雨明け前に済ませておきたかった田植えと豆の種まきをフル稼働でラストスパートをかけている。幸い降雨と水位に恵まれている今年の水田には、まだ水は豊かに残る。(うちの田んぼは自然の浸み水を利用しているので)あと数区画の残りの田植えをこの数日で、オフィシャルな梅雨明け宣言が出る前には終わらせなければならない。畑でも、梅雨が明けてしまえば発芽に必要な十分な湿気が日に日に表土から減じていくので、であれば今週、いやここ数日が峠だと、妻と娘に家を任せて、できうる限り豆を播き進める。
 折々に、次女の誕生を祝ってくれる嬉しい嬉しい友情の往来を楽しみつつ。そしてもちろん、ワールドカップ決勝での、マリオ・ゲッツェのワントラップボレーに酔いしれながら。

 庭の畑も、家の掃除も、サマーキャンプの下準備も、この数日は後回し。おそらく今だと感じる、季節の変わり目の空気を身体で感じて。この感覚を大事にしたいからこそ、自然農やってんだ、と言いたいくらいに。


 これ、自分を奮い立たせる、奮起剤みたいな思い込みですから。どうぞ皆様におかれましては、気象庁の発表される梅雨明け宣言をお待ちくださいますよう。外れたらごめんよ。


 梅雨明けたれば、あとの望みは、夕立の恵みのみ。


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第三十二候: 小暑 次候
【蓮始開(はすはじめてひらく)】
=蓮の花が開き始める=
 (新暦7月12日頃〜7月16日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※


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2013年10月20日

ガイア

長月十六日 雨

 地球は一つの生命体である。そんな文字に触れたのは、卒論に追われていた大学5年次の夏だったと覚えている。環境問題をテーマにこぶしを振り上げてしまい、何から手をつけていいものやら、と図書館にあるエコロジーに関する書物を片っ端から手にとっていた頃だった。

 ジェームズラブロック博士が提唱するガイア理論とは、地球は複雑多岐なプレーヤーが「恒常性」を保って存在する一つの生き物であるとする、科学的考察に基づく仮説である。地球という惑星を、物質的、機械的な入れ物としての、いわゆる「宇宙船地球号」のイメージとは別の視点で、まるで生き物のように自ら体温や循環を調節し、体調管理をしている生命体に近い存在だと提唱した。 恒常性とは、手持ちの辞書(大辞林)によれば「生体がさまざまな環境の変化に対応して、内部状態を一定に維持する現象。またその状態」と定義されている。彼は、その意味をこの地球に当てはめて考え、生物に限らずに、「ある一つのシステムがそのシステムの構成員自らが作用しあってそのシステムが維持するように作用しあう状態にある」として彼は地球を一つの生命体とみたのだろう。

 ワールドワイドに襲い掛かってくる、いわゆる「環境問題」に埋没しそうになっていた自分にとって、息抜きと高揚感を同時に与えてくれたこの本(地球生命圏―ガイアの科学)は、ともすればネガティブに向き合いそうになる「環境問題」をロマンチックに展開してみせてくれた。その大胆で緻密な仮説に惹きこまれたワクワク感は、今の自分ともしっかりとつながっている。


 結局、大いに刺激を与えてくれたその本を卒論に活かすことはなかったが、大学を出て程なくして、小生は再び「ガイア」という文字に再会することになった。それが、当時第四番が公開されたばかりのドキュメンタリー映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」だった。映画は、22年前の1992年に第一番が公開されてから現在の第七番(第8番は製作中)にいたるまで、全国各地で自主上映会が何度となく開催されてきた。小生も、2001年の第四番を観てからは各地で行われている上映会に足を運び、一番から七番まで全て鑑賞する機会を得た。そのたびに、映画に紹介される登場人物のメッセージに強く心を揺さぶられてきた。
(※過去記事「魂の友から」もご参照ください

 
 学生時代にガイア理論を目にし、会社勤めにでて映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」に出会い、そして自然農を暮らしのそばにおく人生を選ぶこととなった。地球と自然と人間に深く関わりながら生きていきたいと今でも思っているのは、映画に紹介される方々の素晴らしい生き様や言葉の奥底に、人間は地球(ガイア)という神秘と奇跡を味わいながら共に生きていくしかない、という希望に溢れたメッセージを感じるからに他ならない。
  
 つくばの地に移って自然農を始めて八年が過ぎた。そして今、小生の隣に、出会い方は異なれど同様に地球交響曲(ガイアシンフォニー)に感銘を受けて育った一人がいる。そして彼女は、その想いとともに、新しい取り組みを楽しむことをスタートさせた。


 「つくばで持続可能な社会を考えるプロジェクト」、通称「つくサス」が始まる ( ※サスはsustanable(=持続可能性)の略)」。 小生も正式メンバーにようやく加入し、さっそくこちらでも勝手に大宣伝することにいたします。
 「つくサス」プロジェクト、その第1弾はズバリ、映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)」の上映会である。2014年1月25日、まずは第一番が上映。その後、数カ月おきに第七番まで、継続して上映会を重ねていくことになっている。大好きな映画を、一番大切な仲間と共に上映会を手がけられるなんて、なんてラッキーなんだ我輩は!


 また同時に、上映会に合わせて「話す・聴く・気づきのワークショップ」も開催することになった。静かに、たおやかに、地球時間を感じることが出来るガイアシンフォニーの調べを聴き、その余韻をもって、何もないけど何かが存在するゆっくりとした時間を過ごすワークショップは、通常の意見交流会とは違う、より印象的な参加者同士の響きあい(シンフォニー)が生まれるにちがいないと確信している。


 【つくばで持続可能な社会を考えるプロジェクト(つくサス)】 は こちら から!!

 
gaia裏表.jpg

チラシも完成! 是非とも皆さん鑑賞にいらしてください!!




posted by 学 at 18:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 地球を感じる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする