注)記事の日付は太陰暦を用いております

2017年03月20日

布団と草花の間で

如月廿三日 晴れ

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 花粉症に気を病むことがなくなった春。残される自分の中の最大の障害は、暖かさと優しさと癒しのカリスマ、布団である。

 暁を覚えない季節とは、早春なのか晩春はわからないが、とにかく布団が恋しい。恋しいどころか、この季節は住みたいとさえ思う(笑)。妻には、日本布団党の党首にでもなったら?と笑われるが、当然その時は、副党首は妻であることを告白しておく。

 さて、布団からやっとの思いで抜け出せるのは、それは田畑が待っているから。そして、季節は待ってくれないから(笑)。気がつけば、ツクシ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ムラサキハナナ、野の草たちがつくばの春を彩っている。布団に包まって満足していたら、あっという間に春盛り。旬の作付けは桜のように過ぎ去ってしまう。幾重もの未練を立ち切って、なんとか畑にたどり着くのだ。たどり着く先は、土だらけの、ビニルで覆われた、虫も草もいない田畑ではない。そうなのだ。私が自然農でなければならない理由は、せっかくの布団を抜け出たその先に、待ってくれている生命が、溢れているからなのだ。

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 ジャガイモの種芋を切り、草木灰をつけて、畝に降ろしていく。秋の雑草たちの種が降り積もる表土を少しだけ削り、湿り気の残る土の上にカブの種を蒔いていく。4月以降の稲作のために、種籾を並べる苗代を準備していく。どの作業も、この季節、淡い彩りの草花に囲まれた中での、特別の時間。

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 三寒四温の彼岸周りを過ぎ、大量に残るジャガイモの種芋を見て焦り、野花を見て喜ぶ。
 いよいよ今年もまた、生命の巡る自然農が動き始めた。
 
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2016年06月03日

オーケストラ

卯月廿八日 晴れ

 種を蒔いて、草を刈って、苗を植えて、ビール飲んで、子どもと遊んで、子どもに悩んで、ヤギと歩いて、草を刈って、種を蒔いて、ビール飲んで、毎日が過ぎていく。
 それ以外には、あとは家事と、趣味的な自然体の探究だけ。これでいいのか四十路前?と思いながらも、日々が過ぎていく。


 日中の陽射しがいよいよ夏モードに入り、昼間の農作業が危険になってきた。自然に早朝と夕方の数時間コンボが勝負となる。このところ友人と週に1、2回のペースで始めている朝瞑想in畑も時折実践しながら、まずは明け方から10時くらいまで冷涼の田畑の中で時間を過ごす。

 そんな昨日、朝からの作業をいつもよりも少し長めに続け、頭上の太陽が背中をジリジリと焦がして頭がボウっとしてきた11時過ぎ。逃げこむように日除けテントの下に入り、椅子に座ってクールダウンしていると、いつもと違う違和感を覚えた。鳥のさえずりや時折通り過ぎる車の走行音に混じって、聞き慣れない小さな音が耳に入ってくる。プチッというか、パチンというか、プププッというか、どうやら何かの破裂音のような、そしてそれは強い風が吹けば耳元に届く前に消えてしまいそうな、そんな微かなささめき。さらに破裂音は、一度演奏が波に乗るとそれが反響してこだまするように、次から次と音が連なりオーケストラとなる。そしてやがて治まり、また静かに、一つ一つの演奏にも戻っていく。


 たまらなくなってその演奏会へ顔を向けると、手が回らずに雑草が大盛りに繁茂してしまっている、畑のひと区画であった。さらに顔を近づける。その顔に、プチンっとした音と共に、オーケストラの正体がぶつかった。その演奏者は、黒く、軽く、硬く、十全に莢を実らせた、カラスノエンドウの種であった。

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 膨れきった莢を枯れ色に進ませて、朝露を莢全体に含ませて湿りを帯びてからの、ギラギラの太陽。弾けて飛ぶのに今しかないというタイミングの黒い莢が、畑のあちらこちらに待機している。そして一つが弾け、その種がまた莢に当たり、その刺激でまた弾け、無数に、ランダムに、その砲弾が乱れ飛ぶ。この季節の、この時間の、雑草をたまたま多く残していたこの区画で出会えた、偶然のサラウンド。



 自然界は、ワンダーに満ちている。四十路手前になって偶然に遭遇する、ごくごく個人的で限定的なただのカラスノエンドウの種飛ばしの演奏会。

 その後、昼食に家に戻り、気持ちよくなって缶ビールをひと缶開けてしまった。昼寝があまりにも心地よくて、夕方の作業が少し緩慢になった。

 妻は妻でこんなふうに( ⇒「庭の草刈りに思うこと」)、雑草を楽しんでいる。夫婦して共に、雑草を、必要以上に楽しんでいるよね(笑)。

 Blog更新が久しぶりになってしまいましたが、こんな毎日を過ごしています。
 さあ6月は、大豆の種まき、田植え、目白押しまくりの自然農ハイシーズン!変わらずこのペースで行くぜ!

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2014年04月09日

雑草ライフ

弥生九日 晴れ

 家族そろって、植物に埋もれる日々を過ごしている。春爛漫を迎えて庭に野原に田畑に緑が増すたびに、ますます我が家が緑に染まっていく。庭の畑仕事の合間に野草を摘んでは、『食べられる野草辞典』を開き、果敢に食卓に乗せる妻。おひたしでも、胡麻和えでも、アク抜きして味付けすればおよそ何でも食べられるんじゃないかという気さえしてくる今日この頃。特に春のこの時期、春の語源として命が「張る」意味が含まれるとされているように、摘む草採る芽それぞれに生命力が溢れていて、デトックスなのかは知らぬが利尿に整腸にすこぶる効いている。

 さて今日は、畑通いの毎日からちょっと気分転換して、桜の木の下で昼食をとろうと外出することにした。用事も兼ねてたまたまの花見ランチの会場に選ばれたのはつくば市旧桜庁舎。駐車場に車を停め、野原に腰掛けて、桜吹雪を楽しんだ。空からの花びらのシャワーにひとしきり満足した頃に足元に目をやると、日本タンポポが3株ほど、ひっそりとたたずんでいた。外来種のセイヨウタンポポの繁殖に押され、今ではすっかりメインの座を明け渡してしまった感のある日本タンポポだが(現に畑の周辺にはセイヨウタンポポを見かけるのがほとんどである)、偶然に訪れた適当な空き地に、こうして人間の思惑をよそにマイペースで成育してることに一安心を覚えた。「これ、持って帰ろうとするのはエゴだよね?」と尋ねる小生に、「やめましょう」と即答する妻、改めて敬服いたしました。


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 花の下の膨らみ(総苞片)が、外側にめくれるのがセイヨウタンポポ。
 これはめくれていないので日本タンポポ。



 午後に畑に戻り、またジャガイモの植え付けに数時間。このところ、娘も自分一人で時間を過ごすことにようやく慣れはじめてきた。今日はジャガイモ畑に(自然農ならではの景色である)繁茂する雑草を手に取り、大好きな絵本で覚えたところの、スズメノエンドウかカラスノエンドウかが気になり始めた様子。「これはどっち?」と聞くので、「粟子(飼い山羊)をつないでいた辺りにも似てるのがあったと思うから比べてみたら?」と誘い水を出してみた。最初は渋りながらも、「あとで父さんに教えてよ。」と声をかけると、よし、と鼻息荒く探索に出かけていった。数分後、にやり顔と共に戻ってきた娘の両手に、大きさの違う近縁種の雑草、スズメノエンドウとカラスノエンドウがしっかりと握られていた。「大きいのがカラスノエンドウ、小さいのがスズメノエンドウ♪」と話す顔には、発見と納得に満ちた表情が溢れていたようだった。



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 ジャガイモ作業に専念したい父親は、さらに誘い水をかける。「これを絵に描いて、ホンモノも貼り付けて、図鑑をつくろう。」 それに同意した娘は、さらに鼻息荒くクレヨンと手帳をマイバッグから取り出し、ものの数分で、初めての、図付きの植物標本を見事に完成させたのであった。

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 そんなわけで、本日もワインとビールがうまいのであります。着実に、我が家は、身近な植物たちにどっぷりつかって楽しんでいる。純度高めに、雑草につつまれているよね、この雑草ライフ。TV見なくても、DVD観なくても、子供どっかに連れて行かなくても、楽しくやっていけるっぽいぜー(笑)。
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2014年02月11日

雑草館−その壱(冬)

睦月十二日 曇り

 雪景色が続いたのでちょっと別視点で1週間ほど前の景色を。

・ ・ ・ ・ ・

 自然農のフィールドに立てばこそ、「いわゆる」雑草と共に日々を過ごすことになる。とはいえ忌み嫌う敵ではなく、かといって来るもの拒まずのボーダーフリーでもなく、「ちょっとこの辺り使わせてくださいね」的な意識で雑草たちの都合と我々の都合の狭間のポイントを探しながらの日々。

 とは言うもものの、数多に存在する草花をこれまではBlog内でフォーカスを(無意識的に、意外なほどに)してこなかったので、畑に見られる雑草たちを季節ごとに追いかけてみようという、今年からの気ままな試み。学術的でもなく、体系的でもなく、いい顔(写真)が撮れたらアップしてみよう、程度に。お気軽に。
 

【その壱(冬)】

 まずは冬の畑にたたずむ、我が地を代表する三種。セイタカアワダチソウ、チガヤ、ススキ。

 宿根性の多年草。開墾当時から周囲に繁茂し、数年間手入れ(草刈り)し続けて、少しずつ少しずつその根の勢いを減らしながら作物を育ててきた。手をかけて減ってきた農地も、1年放置するとまたモリモリと勢力を巻き返しにかかってくる。これからの季節、茂る盛りには目もあてられないほどに嫌悪してしまいがちなこやつらも、澄み渡る冬空の下、筑波颪に揺れる姿は、大自然が産んだ芸術さながらに光り輝く。


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<セイタカアワダチソウ>



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<チガヤ>



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<ススキ>


 あくまでも、あくまでも、この時期の、このたたずまいにおいての、この鑑賞態度でありますゆえ。こやつらに対しての、春以降の、胸のざわつきにも目を向けていきたい。

posted by 学 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 草を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする