注)記事の日付は太陰暦を用いております

2017年05月01日

全滅信号

卯月六日  晴れのち雨

 揚々と4月に種を降ろした、お米の種籾。どういうわけか、待てど暮らせど芽を出さない。同時期に蒔いたつくし農園のプレーヤーさんの苗代では、ツンツンとした、太めの針先のような、特徴的な発芽が、あちらこちらで確認できている。今季は少々足が遠のき気味の田んぼではあるが、さすがにこんなはずはないと、遅すぎではあるが、苗代の鳥除けネットを外してみた。

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 ふか、すか、ぺたん。え・・・。
 播種時に、鎮圧器で丁寧に覆土した表土が悲しいほどに持ち上げられている。スカスカの土を探ると、一粒ずつ指先で整えた種籾が、どこかしらに消えている。発芽しているはずの籾はほぼ見当たらない。これは・・・。

 オケラだ。ここ数年、プレーヤーさんの苗代で猛威を奮っていたオケラの害。自分には無縁だと、なぜかどこかで安心しきっていた。昨年まで少しの被害は出たことがあったが、こんなにも、見事に荒らされるとは。

 稲の苗が、ほとんど発芽させられていない、という事態は、ちょっとした恐怖である。稲作は、年に一度しか作付けできない。その苗が、育っていないというのは、世が世なら、そのまま飢餓を意味する。種まき後に気をかけなさすぎた、あまりにもの自身の太平楽さに、大袈裟ではなく気が遠くなりそうになった。今年の稲の全滅信号が、発令されている。

 いや、はや。

 とはいえ、できることをするしかない。この数日での、巻き返しを。
 米に関しては、蒔き直す種籾を水に漬けて発芽処理を施し、新たな苗代を急ピッチで作り直す。GW中に、必ず蒔き終える。
 穀物の栽培という点に関しては、救荒作物として、黍、高黍を作付する。日本の農事歴はうまくできたもので、稲の苗がこの時期にうまく育たなかった場合に、雑穀類の蒔き時がちょうど5月上旬に訪れるのだ。

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 ※本来なら、こんな具合に発芽がちらほらと確認できる頃・・・。


 自然農の大らかさに包まれ過ぎて、併せ持つ厳しさに感性を鈍らせ過ぎていた。よし、どうせなら、このトラブルを楽しもう。あわてての蒔き直しも、雑穀の種まきプランも、今年に天から与えられた使命として。やるしかねえもの。


 明日から、今回ばかりはサボれないね(笑)。



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2016年02月19日

お返し

睦月十二日 晴れ

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 このところの暖かい陽射しについつい冬を忘れそうになるが、ほんの二十日ほど前の作業のことを少し。1月末、立春を迎える前になんとか終わらせた米の脱穀。昨年に収穫して乾燥・保存していたものを春の産声を前に、えいやっと済ませてしまうことができた。

 昨年2月に苗代を準備し、種を播き、苗を育て、田植え、草刈り、草刈り、草刈り、そして稲刈り。天日に干して、乾燥、稲架(おだ)を外す前に納屋に移動して、ネズミに食べられないように稲藁のまま保存(放置・・・)し、ようやく1月末に、足踏み脱穀機で、稲穂から稲をこそぎ落とした。丸1年のプロセス。
 
 脱穀して、籾摺りして、やっとの思いで口にすることができる玄米や白米。しかしこの1年の稲作は、この米のためのみに過ごしてきた訳ではない。脱穀した後には、豊かな豊かな、稲藁の束が山積みになる。つくし農園での脱穀後の稲藁は、二割を翌年の様々な農作業に利用する資材として保管する。そして残りの八割は、大事に大事に、稲が育まれた田んぼに、必ずお返しする。

  自然農のテーマの一つ、「持ち込まず・持ち出さず」は、自然の営みの循環のサイクルを表している。自然界に不要な、過剰な持ち込みをしない。それは、農薬のことでもあり、肥料(化学肥料・有機肥料を問わず)や、土に還らない農業資材全般のことでもある。だからこそ大切なのが、いただく命以上の、不要な持ち出しもしないように心を配ること。刈った雑草、育った野菜の茎葉、豊穣な土、全ては循環の中で生態系を常に豊かに保ち続ける要素であり、その毎年の蓄積があるからこそ、過剰に肥料分を必要としない田畑が継続されていくのだ。


 脱穀を終えた稲藁たち。我が家では、正月飾りなどにも一部活躍いただきもしながら、全ての脱穀が済んだ藁束を、薄氷の張る厳冬の田んぼへ投げ返した。 稲藁を手にとっては、ひと投げ、ひと散らし。満遍なく、まとまることなく、均等に、ランダムに。畦道の上から、田んぼの中から。
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 理屈や、知識ではなく。お米を育ててくれた田んぼからいただくのは食べる分だけで、あとは返そうね。また来年のお米の栄養になってくれるからね。と、手伝う長女と話しながら、一年の田んぼ作業を締めくくったのだった。奪いすぎることの無い、「人間と自然の共存」のリアルさを肌感覚に記憶してくれることを望みながら。


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 全部、手で育てる。この贅沢さが伝わるのは、もしかしたら、もっとずっと先のことなのかもしれないけど。

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2014年09月02日

たわわ

葉月九日 晴れ

 雨続きの空がようやく太陽を取り戻し、久しぶりの気持ちよい晴れがつくばに訪れた。脳味噌に、腰なんて全然悪くない、と言い聞かせ、実際にぎっくり腰の怖さなどほぼ完全に克服し、ワクワクしながら田畑に出た。

 梅雨明け以降、じわりじわりと水位を下げてぐっと耐えていた田んぼ。腰を痛めたお盆のころには、すっかり表土からは水面が消え、稲自身と雑草、刈り草のカーペットが炎天下の蒸発を抑えてなんとかしっとりとした土を保っていた。そしてこの一週間断続的に降り注いだ残暑の雨。久しぶりにゆっくりと足を踏み入れた田んぼ。

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 なんとまあ、たわわに、たっぷりと、ほとほとに、雨水、沁み水が水田をきらめかせていた。

 たわわ、である。水は命の象徴だと、本能的に感じられるほどに、何かしらの豊かさのオーラのようなものが溢れていた。数週間前に腰痛まえに手を入れていた草刈りも嬉しいほどに効果を発揮していて、雑草は、モリモリと分蘖(ぶんげつ、ぶんけつ)する稲株の合間に、下草程度にちらほらと生える程度であった。そのちらほらの草を、小一時間程度で簡単に刈りながら田んぼを回る。腰をかがめながら、時折、稲株の下からの眺めを楽しむ。水面に水草をたゆたえ、空に稲の葉を茂らせる自然農の田んぼを覗いていると、ふと想いは、ボートに乗って探訪した中南米やアジアのジャングルクルーズへ。楽しい〜〜♪


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 思いを込めて取り組んだ作業が、自然の天候に左右されながらも地道に目に見える形で功を奏してくれるのも、たまには悪くない。腰の痛みに寝かされていた2週間のソワソワが、さーっと霧が晴れたように霧散していった今日の田んぼであった。


 たわわ〜たわわ〜たわわ〜♪


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 ※たんぼに水が張る様子を「たわわ」と表するのは辞書的には間違いですが、どうしてもこの言葉しか浮かばなかったので悪しからず、お許しください。

 

第四十一候: 処暑 末候
【禾乃登(こくものすなわちみのる)】
=稲が実り始める=
 (新暦9月2日頃〜9月6日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2014年08月01日

恵み

水無月六日 晴れ時々曇りのち雷雨

 天水のみを利用している、つくし農園の田んぼ。
 

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 梅雨が明けて、二日ほど前はこれくらい水が残っていたのが、この炎天続きでちょうど表面が乾いてきたなーと思っていた折の、今日の稲妻。そして雷雨。

 稲妻の多い年は豊作になると言われるのも頷ける、百姓にとってももちろん稲にとっても恵みの雨。


 ただこれだけのことなのだけど、自然に沿って生きてる感じがする。


第三十五候: 大暑 次候
【土潤溽暑(つちうるおいてむしあつし)】
=土がしめって蒸し暑くなる=
 (新暦7月29日頃〜8月3日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※



 午前中、草刈り中にハチに刺されたという一悶着は、また後ほど(笑)。

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2013年08月10日

はずだった

文月四日 晴れ

第三十七候: 立秋 初候
【涼風至(りょうふういたる)】
=涼しい風が立ち始める=
 (新暦8月7日頃〜8月11日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※



 四日前の立秋を過ぎいよいよ夏は峠に差し掛かっている。溢れるような朝露、むせ返るような炎天、叩きつけるような夕立。いつもの8月、いつもの夏のキーワードがいよいよ並び始めた。(夕立は、希望を込めて文字におこしてます。)

 今年の田んぼは、カラカラの湿地(というのも変な表現だが)のまま梅雨を過ぎ、水が慢性的に少ない状態で立秋を迎えた。それでも自然農、草に覆われる田んぼは力強く、決して土が乾いて割れるようなことはなく、細々と、しかし着実に根を張って分蘖も少しずつ進めている。今年は水が圧倒的に足りないために雑草の生える早さがいつもの倍ほどに思われるほどに厳しいのだが、まだまだこれから頑張ってくれる稲の成育を見守るために、雑草に負けぬスピードで適宜草刈りを行い、程よく雑草との共生を計っていく、・・・はずだった。

 先日田んぼに草刈りに入ったとき、見ている景色に対して、かなり確かな違和感を覚えた。田植え後に何度か草刈りに入って手入れをしてきたエリアがやけに寂しい。草はたくさん生えている。しかしそれでも稲は頭ひとつ抜け出して背を伸ばしていたはずだった。なぜだか、植えたはずの列に、稲の鮮烈で瑞々しい葉を見つけることができない。少し目線をずらすとその特徴を保った稲の葉並みを確認できるのだが、ある範囲のエリアには、つい先ごろまであったはずのその稲の葉が、あきらかに消えてしまっている。いやな予感に加えて過去を思い出して、おそるおそる区画へ足を踏み入れた。そしてその稲を植えたはずの株元には、何者かにズタズタに切り刻まれた稲の葉っぱがこれ見よがしにまとまり落ちていた。まるで誰かが悪意を持って刑を執行したかのように、見事に稲の葉のみ、刈り倒されていた。

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 思えば昨年も、農園参加者のある方の区画で見られた犯行だった。小生の区画でも、時折、発生していた。しかしこれほど広範囲で発生したのはこれが初めてだと思う。

 モグラ、ではない。そもそも水田にモグラが出るのがおかしな話だが、水が張らないこの時期の我々の田んぼでは、時折モグラが稲の株元を荒らすことがあるのだ。が、その際の被害は切り刻まれるのではなく、稲がそのまま立ち枯れていく。ではなにか。イナゴやコオロギのような昆虫、だろうか。しかし彼らは葉を食い荒らすことはするが、律儀に切り刻んでそのまま土に置いていくようなことはしないように思われる。彼らの本質は、葉を食べることにあるはずだから。では人間??だろうか。誰かにいつ恨まれてもおかしくないような小生の田んぼであるなら、どこかの誰かがこっそり時間をみつけて稲だけ切り刻んでいくこともあるかもしれない。しかしその際も田んぼに踏み入らなければ犯行は実行されるはずはなく、草刈りが追いつかずに雑草が復活しだしたエリアなどは、誰か人間が足を踏み入れたらその足元の草は一日二日では戻らず、踏まれ倒れた後が必ず残っているはずである。つまり、前日までは稲が育っていたエリアで犯行が行われていた時に、それが人間の手によるものならば、草を踏み倒さずに稲のみを切ることは不可能なのだ。それでは、何者の仕業なのか。

 よくよく現場付近を観察すると、その犯人の足取りを示唆するなにかが見つかり始めた。それはごくごく日常的に田んぼに見られる、ザリガニの巣穴(生活穴?)である。過去、ザリガニ自体が稲を食べるとは思っていなかったのだが、しかし彼ら以外にその鋭利な刃物で稲を切り刻んだような残虐行為を実行できうる生物を確認することはできない。調べればすぐにわかることだったのだが、ザリガニの前足、もといハサミは、稲の株元(根元)を切り刻み、田んぼの害獣として悪名をとどろかせている。これまで、これほどの被害には至らなかったために見て見ぬふりをしてきた。というよりも、対策のしようがなかった。被害が少ないうちは「仕方がない」でやつらを許してこれた。そして今、ここに至ってしまった。今年の、水が絶対的に少なく、田んぼが泥ではなく土になってしまった状況のせいなのか。それとも単にザリガニが活発化してしまったのか。

 いずれにせよ今できる対策は限られている。他の区画でザリガニの被害があまり見られないところを見てみると、よく草を刈っている。おそらくザリガニ巣穴の外では草むらの中を好み、草刈りして視界が広がっているような場所はあまり入り込みたがらないのだろう。であるなら、まずは定期的な草刈りをもう少し頻度を上げていってみようと思う。それが大前提。あとはザリガニ釣りしてロブスターなみに食べて退治しようか、などなど。もしくは長期的には、田んぼの隣に井戸を掘り、湿地田んぼに強制的に水を引き入れるという作戦も考えられようか。水を張ってもザリガニは生息するが、少なくとも今年よりも昨年よりも稲切りのような被害はあまり見られなかったのだから。そして近代灌漑水路が配置されていないこの湿田では、水路から水を引き込むというのができない。その上で水源を求めるとしたら、地下にしかないのである。そうして水を張った田んぼでいったいザリガニ被害を食い止めることが出来るかどうかはさておき、水稲はよく育ち、もしザリガニが減るとしたら、こんなうれしいことはないのである。来年に向けて、井戸掘りか…。それも楽しめてできるようになるのもいいだろう。予算も、工程も、許認可もふくめてイチから調べてみましょうかね。やれやれ。また楽しみがふえたわい。


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右は無事の列。左がばっさりやられた列。わかりにくいけど無残。


 集合日でプレーヤーさんたちと話していたら、タガメも怪しくないか?とのご意見もいただいた。水はなくともタガメも徘徊はするらしい。はてさて真犯人はいかに。そして今後の対策はいかに。まずは受け入れて、そしてこの世を面白く。

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2012年10月24日

たじたじたじ

長月十日 晴れ時々曇り

 
第五十候:寒露次候
【菊花開(きくのはなひらく)】
=菊の花が咲く=
 (新暦10月13日頃〜10月17日頃)

 
第五十一候:寒露末候
【蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)】
=きりぎりすが戸の辺りで鳴く=
 (新暦10月18日頃〜10月22日頃)

 
第五十二候:霜降初候
【霜始降(しもはじめてふる)】
=霜が降り始める=
 (新暦10月23日頃〜10月27日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


 気がつけば、二十四節気は寒露も過ぎていよいよ霜降へ。まだ霜は降りてはいないが、小豆の莢は所々に熟し始め、枝豆は大豆へと移ろい、今年の秋は粛々と足を進めている。田んぼはといえば、スズメの大攻勢にたじたじたじ。完熟をもって稲刈りすべしと毎年実りを喜ぶにつけ心に唱えていたが、この秋はどうもそんなことは言ってはいられない。田んぼの両隣、5メートルから15メートル離れた葦の藪に、控えるは数十羽(願わくは百には至っていないことをのぞむ)の大軍勢。ヒットアンドアウェイとはかくやと言うほどに、啄んでは去り、また飛来しては啄み、ことごとくに早稲田をススキ野へ変えていく。これ、東京と札幌の話ではなく、つくし農園の話です。なんのことやら。

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 完熟を待っていては一年の喜びを全てスズメのデブ腹にくれてやることになるのでそうもいかず、では少々早めに刈ろうかと、あと一週間、あと数日後に稲刈りだと思っていたら運の尽き。その数日に、丸裸にされるのである。どうもスズメどもの好みは明確で、香り米、うるち米、緑米、黒米、赤米の順で軒並み絨毯爆撃を食らっている。度重なるスズメ警報を農園に発令した結果、現在田んぼに残るのは、緑米、黒米、赤米となった。緑米はそろそろ限界。もう数日もすれば、黒米に狙いがつけられるのだろう。

 願わくは、さらに隣の農家さんの蕎麦畑や、早刈りされて孫生(ひこばえ)した稲穂にどうかどうか目移りしてくれますように。
 
 
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 無いよりはマシ、のキラキラテープと即席案山子。
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2012年09月25日

彩る

葉月十日 雨のち曇り
 
第四十六候:秋分初候
【雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)】
=雷が鳴り響かなくなる=
 (新暦9月22日頃〜9月26日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※

 三日前、22日の秋分を過ぎ、雨天と晴天が交互に訪れ、晴れ間の日差しにちりりとした強さは残るものの、どうやら峠は越えたようだ。とにかく、朝晩にぐっと涼しい空気に包まれるようになった。いわゆる「暦の上では」的に言えば「秋も深まり」と称される秋分だが、雑草屋的には、夏4.9:秋5.1が今。夏と秋がまさに分水嶺を過ぎて季節が移り始めた頃である。今年も猛威を振るった酷暑であったが、どうやら直感的には今年の秋は早く過ぎる気がする。夏の峰が高ければ高いほど、秋から冬への傾斜が急であるような、そんな予感がするのだが、はたしてどうなることやら。

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 田畑もやうやうにして秋めく。稲穂は彩づき、豆もふくらみ、キクイモは天を突き、セイタカやマツヨイクサは茎を太らせ硬くなってきた。雀は田んぼに目を光らせ、雉は畑に潜み、豊穣の秋を人間様と争って奪わんと爪を、いや嘴(くちばし)を研いでいるに違いない。

 そんな秋に彩られた自然農の景色を写してみた。

>>続きはこちら

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2012年04月25日

蛙、葦、花大根

閏弥生五日 晴れ
第十六候:穀雨初候
【葭始生(あしはじめてしょうず)】
=葦が芽を吹き始める=
 (新暦新暦4月19日頃〜4月24日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


 昼に陽気が漂ってきた。雨も折々に降り、まだまだの晩の冷えも残しながらも、陽射しの強さは季節を一足先に進めようとしているようだ。GWの田植えをひかえて周囲の慣行農の水田では代掻きがスタートし、気がつけば蛙の鳴き声が聞こえてくるようになった。一方、まだまだ種播き時を迎えたばかり我が田んぼ。代掻きを行なわないため耕運機によって死滅させられずに済む自然農の田んぼでは、蛙の卵もお玉杓子も、米と一緒にゆっくり育つのだろうか、蛙の大合唱はもう少し先になるよう気配。けど、どうだろうね。

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 七十二候の十六候、「葭始生(あしはじめてしょうず)」は昨日までの五日間であったが、つくし農園の水田にも見事に葦が芽を吹き始めてきた。もともとの湿地帯を利用しているこの田圃は、それはそれは覆われんばかりの葦に取り囲まれている。もはや周囲の地権者さん達からは見放されているこの湿地で稲作を続けているのはとても面白く、また一方で葦の生命力を感じ、さらに浄化力に優れると言われる葦を身近に生やすままにしておくことで、より良い水田が保たれていかれることを願っている。先日の集合日、つくし農園の皆さんと、田圃を挟んだ畦道の向こう側に葦の根を定植させてみた。生やすに任せれば仕様もない雑草地も、使い様考え様によって、バイオマスにもガーデニングにも、文字通り生物資源になりうる。自然農の思想には、当然そうした発想も近しくあるわけで。

 庭では、花大根の薄紫が待ちかねたように咲き誇っている。毎年の、穀雨を迎えて湿気が暖まり始める頃の恒例の景色。この色が広がりだすといよいよ、野良仕事のお時間を昼から朝夕へとシフトチェンジする準備なんですわ。いよいよ。早起き。少しずつね。

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2011年07月30日

よかったー

水無月丗日 曇り時々雨

 どっしりと、昨夜の雨がつくばを濡らし、ついに一ヶ月以上ぶりに田んぼに水面が戻ってきてくれた。ここ数日、夜半の雨があがる朝に田んぼに出ては、少しずつ湿り気を蓄えつつある土に一方では喜び、しかし一向に溜まってくれない水に髄分とやきもきさせられた。6月下旬の田植えシーズン真っ盛りからほぼひと月、水位は地面より上にのぼることはなく、スポンジ状の土壌に支えられてはいたものの、本当に雨に餓えていた。小生も、なによりも、稲が。目に見える水位にそれほど左右される必要はもしかしたらないのかもしれない。雑草の根が無尽に生え伸びるこの田んぼは、涸れても涸れても耐え忍ぶ、保水力が備わっている。この空梅雨にあって一度の人工的な注水がなくとも、土壌にひびが入るような乾燥状態になることはなかった。土中に張られた根が、地面を覆う雑草が、刈った後に敷いた枯れ草が、田んぼの水分を守り、蓄え、潤してくれていた。しかし、そうはいっても水田である。水面に稲が映えず、カエルもタニシも逃げ出すような田んぼは少々寂しく、稲の生育、分蘗も、どこかしらスピード感に欠けた様子は、やはりいたしかたないようであった。そこにきての、この、戻り梅雨。よかったーーーー。よかったよーーー。 たまる一方の洗濯物も、干せない布団も、こもる湿気も、関係ねえ。この雨を、この湿潤を、揺れる水面を、いかに待ち続けたことか。

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 もちろん畑にも、雨の喜びが。遅れた小豆の発芽も、蔓を伸ばし始めたキュウリも、喉を渇かせた里芋も、どうぞグビグビと水を飲んでくれ。今日水無月が閉じれば明日は文月の朔日。いつ灼熱の夏に戻ってもおかしくない。潅水もない、ハウスもない、天候に左右される自然農とは、天候の喜びを味わいつくす農でもあるのだ。

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2011年07月24日

虎刈り

水無月廿四日 晴れ 

 昨日、二十四節句の【大暑】を迎え、いよいよ夏本番へまっしぐら。梅雨明けの台風も大雨なく太平洋のかなたに去り、渇水の水無月はいよいよ終盤へ。 田植え後に十分な水位が保てぬ今年の田んぼは、まだまだ分蘗の様子が心もとないが、確かに、着実に、根付いた苗は生育をみせている。その隣に生い茂る雑草たちと競い合いながら。

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 自然農の水田は、田植え後の数週間から一ヶ月以内の草取りが肝要といわれる。根付き、分蘗を進めんとするそのタイミングに、いかに苗の根を傷めず田んぼに入り、かつ雑草を抑えるか。今年は雨が本当に少なく田んぼが渇きの声をあげているが、その分、土はズブズブと柔らかいことはなく草取りには入りやすい。田植え時に刈り倒して丸めて敷いた草を、もう一度ひっくり返して敷き、稲の周囲の草をさっと刈ってやる。田に営む虫たちの住処や餌場をなくしてしまわぬ様に、一度には入らず、一列おきに草を刈る。それもみな、その年の天候、雑草、苗の状況を考え、ああだこうだと試行錯誤していく。毎年繰り返しながら、毎年その度に変化のある景色、様相、作業である。
 昨日までの涼しいうちに三分の二進め、残してしまった三分の一を暑さの取り戻しつつある今日の日中に。一列おきに残した箇所は、また来週、再来週にでも。まるで虎刈りのその田んぼは、自然農の田んぼでは良く見るこの季節の景色の一つでもある。

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 畑では、なんとか種を播き終えた大豆畑の傍に、モグラ対策が功を奏して数年ぶりに実を宿すトマトとナスが一列並ぶ。この、赤いジューシーにかぶりつくのに、いったい何年待ちわびたことか。畑の変遷なのか、対策一つなのかはさておいたとしても、辿り着いたこの感触は、実践した自分自身にしかわからない別の意味での果実なのだ。少しずつ、本当に少しずつ、虎刈り風のいびつな進度かもしれないが、それを知る自分にだけは忠実にありたい。世の中がどうあったとしても。いや、そこまでは大した覚悟ではないとしても。

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<余談>
 ところで、ここ数日で一番の楽しみであった「地デジ難民化計画」。ワクワク全開でTVの前にたたずんだ本日の正午、我が家の20年モノの14インチのブラウン管は全く対策をとらぬまま、平然と地デジ放送を流し続けていました。がっっっっかり・・・。せっかく今夜から半強制的な読書生活が始められると喜んでいたのに。数ヶ月前からTVを据え置きしてしまって、農作業の疲労をビールとバラエティで流すという堕落の夜に浸かりきり、これを機にまた、静かな夜に戻れると思っていたのに。

 どうやら推察するに、加入しているケーブルTV局が自動的にデジタル放送へ対応し、配信しているよう。もしかして、つくば市民でケーブルTV加入の人だったら、地デジ対応製品買わずとも全然大丈夫だったのでは?という疑惑が。電気屋さん、凄い勢いで地デジ商戦やってるの横目で見てたけど、いったいどれだけのつくば市民が地デジ製品買ったのだろうね。 ともあれ、一緒に「地デジ難民」になりましょうと、楽しんでいた皆さん、不可抗力により小生は「地デジ民」になってしまいました。この場を借りてお詫び申し上げます。さて、27時間テレビでも見て時間の浪費でもしよっかなー。と思ったら、もう終わってた(笑)。コパアメリカもなでしこも終わったことだし、今夜のF1ドイツGP観戦が終わったらまたTVを部屋の隅に片付けるのもいいかもね。まだまだ短い、真夏の夜長を夜虫の音色で過ごすのもまた楽しからずや。

 
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2010年03月30日

オミゴト

如月十五日 晴れ

 真冬の寒さがここ数日のさばっており、手が悴んで作業が進まない。朝のバケツには氷が張り、日陰の畑には霜柱がそそり立つ。日がさせば陽気は間違いないが、少しでも雲の下に入れば驚くほどの寒気が肌をさす。これは参りますね。

 4月に入れば冬の残りも溶けきることを期待しているが、春本番のフルシーズンを前に迎えて、先日の週末には農園で臨時集合日を設けて田んぼの畦道修復を行った。詳細は後日農園Blogでお届けしたいが、出席者皆の素晴らしい腕力脚力ど根性で、玉取の田んぼ三年目にして見事な畦道が完成した。昨年の崩れかけた畦道をベースに、開墾箇所の土を掘り上げ、運び、スコップと鍬で形を整え、丁寧かつ効率的に40mほどの大工事。出来上がりの威容に、城壁もかくのごとしと声も上がる。オミゴトです。

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 一人ではよもややる気も起こらぬ土木作業も、十人集まれば半日の出来事。当たり前のように毎年、農園の方達と共同作業として進めていることが実はとても有り難いことであり、そして奇特なことにプレーヤーの方にも楽しんでいただけていることが、本当に嬉しい限り。これから種籾の播種が始まれば振り返る暇もなくなる田んぼの、こうした準備仕事を、束の間の冬のぶり返しの中で感謝する。今年もまた、良い田んぼでありますように。お天道様も竜神様も、程よく恵みをくださいますように。どうかどうか。
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2009年11月05日

かんなめる

長月十九日 晴れ

 前々日の旧暦長月の十七日は、新穀を天照大神に奉る神嘗祭(かんなめさい)であった。伊勢神宮では、新暦の10月17日に行われているので、神のおはしますのはもはや新暦の日取りなのかもしれないが、季節と、月の暦と、昔ながらの数えでいえば本来はこの日に祝われていた。その年に採れた新米を我々が食す前に新穂を天照大神と豊受大神(とようけのおおかみ)に捧げ嘗めていただくというもの。

 とはいえカレンダーを見忘れていると、この感覚もすっかりなくしてしまい、つくいちの大忙しに果てて夜も過ぎる頃に思い出したので大したことを言えた義理ではない。神嘗祭へは心で奉納して、新嘗祭(旧暦では霜月第ニの卯の日、新暦では今年は12月29日)を待って新米を楽しみたいと思う。


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 稲刈りを、スズメに背中を押されて、一種類、一種類と色づく穂先に応じて進めていく。刈るたびに、一株一株、重みを確かめながら。初春から、均して、播いて、選んで、植えて、育てて、待って、刈って、ようやく。まだまだ、干して、扱(こ)いて、摺って、炊いて、食べるまで。もうひと暦、秋を深めて新米を待つ。



神嘗祭について
 ・・・『和のこころ』 日本の年中行事 より
   季節、テーマごとに和の営みがまとめられているBlog。
   トラックバック、コメントできないのが残念。

新嘗祭について
 ・・・おこよみ焼き より
   従来から、旧暦や宮中行事などについての調べる際によく利用させていただいている。
   なんだかものすごく、旧来の事柄についての引き込まれるような情報の宝庫。
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2009年10月04日

キラキラ

葉月十六日 晴れ 【満月】

 しばらく前のことだが、つくし農園のプレーヤーたちに協力を請うて田んぼに鳥対策を講じた。今年は玉取地区に移ってからの二年目である。昨年はどうやら、一部の稲は除きとりたてての対策をすることなく稲刈りまでは持ち堪えた。TX効果覿面と言っていいかはわからぬが、住処と餌場を失って追いやられた(であろう)雀は、気のせいか随分と電線におとまりされているように見える。はてさて何をお狙いなのやら。
 全国各地で展開される鳥と水田の攻防は自然農の田んぼももちろん例外ではない。つくばに来る前には、2004年にはこの攻防、2005年にはこの攻防と、その時その場所に応じて対策をうってきた。つくばに移ってからは、放って置けば全滅というような被害はなかったため、稲刈り前に鳥避けネットを張るような積極策は必要としていない。そして2009。

 自然農、つくし農園の田んぼは、プレーヤーの差異、作付の種類などによって多種の稲が点在している。早生、晩生、長幹種、短幹種、モザイク状に作付されており、ある箇所は10月のこの時点で収穫目前に実り、ある箇所は最晩生の12月の収穫を待つモノありといったところ。

 そんななか9月中ごろ、長幹種の早生、黒米がまずターゲットとなった。背丈が高く、その茎にスズメが止まりやすいのも手伝ってか、特に畦道の雑草と混在するあたりから目に見えて稲穂が食べられていく様が観察されてしまった。

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 続いては早生のうるち米。ご自身で苗を用意されたプレーヤーの方(Tさん)が植えたその区画は他のプレーヤーと一線を画して実りが早い。そのため、早生黒米に吸い寄せられるようにか、スズメはお隣のうるち米をも狙い始めた。

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【スズメの啄ばんだ跡、地面に籾殻が散ばっている。】


 このままではどこまで食べられるかわからない。かくして、被害がこれ以上広がらぬよう、今年の対策を実践することにした。


 農園での作業様子は「つくし農園Blog」に詳しくある。今年はネットはまずは張らずに、鳥避けのキラキラテープと、毎年お世話になる案山子の二重策で静観してみる。なるだけ手を加えず、資源を持ち込まずが理想の自然農。でき得ることなら石油素材のキラキラテープのお世話にはなりたくなかったのだがこれもまた、自然の「摂理」の中の人間の在りようでもある。悶々。この後の様子をみて、ネットの有無を判断する。願わくば、ネットの世話にならないよう。


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 テープを張って一週間、今のところ、効果は抜群の趣き。どうだこのやろう。
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2009年06月28日

響かせ

閏皐月六日 曇りのち雨


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 自然農7度目の田植え。苗の不足に焦りつつ、深水に悩みつつ、今年もひとまず半分ほどの田植えを済ます。何度体験しても。土地や状況が変わって植える手はずややり方が変われど、その折その折の最善を試行錯誤しながら苗を降ろす楽しみは、減じることがない。水の温度も毎日異なり、土の手触り、雑草の根の張り具合、場所の高低、苗の一本一本、全てに個性があり、無心で手を動かしている中でも必ず何かを感応している。無心とは、機械的なのではなく、思考する前にその状況に応じて自然に体が反応することなのだと気づく。無事に根付くか。浮いてしまわないか。雨で潅水してしまわないか。草に負けずに育ってくれるか。その行く末も同時に思いやって、一列一列が進んでゆく。単純シンプルで、複雑ダイナミックで、すこぶる人間的な農作業。

 
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 どうしても聞いていたくて、農園のメンバーも無理やりつき合わせて、Michaelの80'sあたりをカーステレオから響かせての、この週末の田植え作業。田んぼにしゃがみながら"Blame It On The Boogie"が流れる自然農の田んぼなんて、他にあるめえ。

 Thank you Michael,and rest in peace.

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2009年06月24日

もともと

閏皐月二日 雨のち晴れ

 大雨の後の晴れの後に、また雨が降り、そして昼からの晴れ。先日崩した畦はまだ埋め直さずに、水位を観察してみてみる。


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 オタマジャクシ、タニシ、ゲンゴロウ。草刈りと田植えで人の手足が入り始めた田んぼであるが、もともとの住民たちはそんな喧騒に左右される事なく、たくましく日々の営みを見せてくれ始めている。
 
 今年の田んぼの出来を心配するのも忘れて、ただこの小雨の下の命の蠢きに心を惹かれる時間。いいのやら、わるいのやら。ねえ。
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2009年06月22日

攻防

皐月卅日 雨時々曇り

 土曜に田植えをスタートさせた翌日曜、明け方からの土砂降りに苗を憂う。植え始めた稲の苗は、背丈が伸びたものも、まだまだ短いものもあり、田んぼの水位が上がりすぎると葉先までが水没してしまうことがある。田植え直後の苗にとって、たっぷりの水は嬉しい限りではある一方で、完全に水没してしまえば呼吸ができない。つくし農園の田んぼは天水による溜め水と、畦道に設けた排水口での水位調節に頼っているので、基本的にはしっかりと畦を固めて水が抜けないように留意し、たまりすぎたら排水口の蓋を空けるという緩やかな方法を用意している。



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 そんな夏至の大雨を過ごして月曜。田植え直前まで続いた長雨ではそこまで上がらなかった水位が、この雨で田植え直後の苗を冠水させるほどまで達してしまっていた。十分な成苗は無事、背の低い幼い苗は、ほぼ全て、水の下に沈む光景。なおも続く雨の知らせを聞き、排水口一本では水位を下げきれないと判断し、冬から春にかけて築いてきた畦の一部を数箇所を、切り崩して水を流す事に決めた。

 とはいえ、スコップ数回踏み入れれば、きれいに崩れる小さな畦。モコリと土を上げて近くに並べ置き、水位が下がればまた戻して固めればよい、はず。まずは苗を救い、そして雨の上がるのを待ち、水の流れを見てまたもとの畦へ復旧。苗が安心して育つまでの、この田んぼならではの気苦労だと言えるだろうか。毎日水門を開け閉めして水を出し入れする普通の田んぼに比べてどちらが良いとか悪いとかはないが、田んぼでの、こうした水との攻防は、避けては通れぬ必須の世話なのだと思う。

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 種播いて、苗を植えたらあとは育つととか思ってたら、それ間違いですから。誰に言ってるかって? 俺です。




【夏至】…陽熱至極しまた、日の長きのいたりなるを以て也(暦便覧)
     ★雑草屋的季節分布★ 春:夏=4.9:5.1

     夏至は夏季の真中にあたり、梅雨の真っ盛りで、しとしとと長雨が続く。
     農家は田植え繁忙を極める季節である。
     しょうぶが咲き始め、半夏(からすびしゃく)が生えてくる。
     なお、夏至線は北回帰線ともいい、北緯23度27分を走る線。
     北上してきた太陽は、夏至の日にこの線の真上を通過し、以降再び南下する。
     ※読み:ゲシ
     <参考:【室礼】和のこよみ & こよみのページ
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2009年06月19日

前夜

皐月二十七日 曇り時々晴れ

 明日から田植え。 苗も、水も、気候も、頃合い良し。あとは人間さまが験される番。


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 前日までの副業からの筋肉痛も睡眠不足も乗り切って。ようし、楽しむでー。
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2008年12月27日

山積

師走一日 晴れおよび強風

 師走、朝から仕事が山積。

 庭木の剪定と掃除に2時間ばかり奮闘。なれていないなりにザックリと、ギコチナク、ばっさばっさと枝を落としていく。楽しいことは楽しいのだが、庭木たちは大丈夫だろうか。庭木の剪定、始めだすとキリがない、なかなかの魅力作業だと気づく。


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 田んぼに足を運ぶと折からの強風に稲束が揺らされて、稲架がミシリと倒れていた。稲作りも6年目を迎えると、稲架の倒伏ごときでは焦らないようになってきた。フム、修繕箇所を見直し、干し場を移すモノは移し、稲木を組みなおす部分は新たに作り直す。本当は、風で倒れる前に脱穀しとけよ、ということなんだが。いやあ、明日、やりますから。やるってば。


 昼からは、地主さんに挨拶回り。近所の和菓子屋さんでドラ焼きの詰め合わせを箱折にしてもらい、今年のお礼と来期のお願いに回る。店の入り口に昭和59年の全国菓子博覧会の賞状が誇らしげに飾ってあるこの和菓子屋さんは、買い物のたびに一つオマケをくれるのが嬉しい。今日はスアマをひとついただいた。


 午後から夕方にかけて畑に出る。遅すぎるイモや豆の収穫、物置小屋の修繕、今後の農園の利用計画思案。あっという間に日が暮れて、澄み切った風に洗われた筑波山が畑の向こうに色づく。
 

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 そんな師走の月初めの一日でした。
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2008年09月19日

忍び寄る

葉月二十日 雨時々曇り

 昼間からのんびりと降ったり止んだりを繰り返し、東南東から忍び寄る台風が存在感薄く近づいてくる。今年本格的に上陸する台風は初めてだったように思うが、薄暗い雲の下にいるとどうも不安より楽しさのほうが勝ってしまうので困ってしまう。稲穂は大丈夫か、小屋は、テントはと見回りながらも、本格的に心配するというよりは何かワクワクしているのだ。



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 神丹穂が、いつもの晴れ空よりも表情を固くして、人間よりも敏感に低気圧の襲来を予感しているように見えた。
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2008年06月16日

ナイスパス

皐月十三日 曇りのち晴れ

 苗代危機のアナウンスを周囲にしていた折、プレーヤーの方から嬉しいメールが届く。知人にバケツ栽培をしている方がいて、その余りの苗を譲ってくれるとの要旨。
 前日にメールが届いて電話して、翌日には苗を無心に千葉県へ。Hさん、ありがたくいただきます。プレーヤーのFさん、ナイスパスをありがとうございます。


 
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バケツ苗栽培については、こちらに情報あり(笑)。



 お昼に苗を受け取り、そのまま踵を返してつくばに戻って苗を着水。さあ、バケツ栽培と自然農の対決といきますかね。


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※お米を作られている方で、苗にあまりがある方、あまりが出そうな方がいましたら、雑草屋小松(←クリックしてメール)までご連絡お願い致します。
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