注)記事の日付は太陰暦を用いております

2008年06月15日

シルシ

皐月十二日 晴れ

 モグラ。想定はしていたもののタカをくくって「いない」だろうと甘く考えてしまったツケが来た。何度か足を運んで土を踏むなどの力技で堪えていた自分の苗床はいざ知らず、二週に一度、下手すりゃ月に一度、という農園プレーヤーの苗代の被害は甚大である。このままでは、と集合日に憂いていた際に一人のプレーヤーから「水苗代という手もありますかね。」とアドバイスをいただく。つまりは今の苗代(畑苗代)から水が張った水田部分へ苗を移してモグラによる乾燥害を防ぐということ。もちろん昔の農家や今でも有機農家で手植えの方などは田んぼで水苗代を作ることもある、知られたやり方でもある。自分ひとりだったらこの発想がスムーズに生まれていたかどうかわからない。それほど窮していたとも言えるし、自分の頭と経験に縛られて立ち往生していたとも言える。

 つくし農園でプレーヤーの方たちをお迎えして、自然農の講釈を垂れる自分。自然農とはそんな偉そうなものだっただろうか。そして自分の中の自然農は果たして「自然」だろうか。答えのない問い。そして毎日。ひとつ言えることは、今年から参加されたそのプレーヤーの何気ない一言を翌日から実践して、水苗代に苗を移動させたということ。この出来事は、農園を管理する自分の感覚に、意義のあるシルシを残すに違いない。

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 ↓↓↓

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 畑苗代からゴッソリと、水苗代へお引越。なんとか今日、移し終えることができた。個人区画で苗代作成していた皆さん、今年の失態は本当に申し訳ありません。
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2008年06月06日

救済

皐月三日 晴れ


【芒種】…芒(のぎ)ある穀類、稼種する時也(暦便覧)
     芒種は梅雨入りの前で、昔の田植えの開始期にあたる。
     雨が間断なく降り続き、農家は田植えの準備などに多忙を極める。
     芒種とは、稲や麦など芒(のぎ)のある穀物、
     すなわち稲を植え付ける季節を意味している。
     かまきりや蛍が現れ始め、梅の実が黄ばみはじめる頃でもある。
     ※読み:ボウシュ
     <参考:【室礼】和のこよみ


 昨日から、二十四節句は「芒種」。集合日を前に、窒息寸前(笑)の苗代を一部救済した。地下からは這いずり回るモグラによる乾燥、地上からは覆いつくす雑草たちによる日照不足、そしてインチキ百姓達からの愛情不足。三重苦の苦しみに鬩ぎながら生き残りをかける苗達は、あるものはしたたかに生き延び、あるものは息も絶え絶えにひょろりと伸び、そしてあるものはスッカリと枯れたおれていた。苗代周りに腰を下ろして数時間、顔の汗が苗にしたたるほどの熱気が逆に心地よいほど、姿を現す苗の様子が頼もしかった。


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 呆然とするようなこの中から、、、

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 ひとまずは彼らを救出成功。



 田植え開始まで数週間。生き残った苗たちにしっかりと愛情を注ぐことで、なんとか一本植えにふさわしい、たくましい苗に育ってくれることを願う。やれることは今からでも遅くはない。モグラが再び駆け回らないように周囲を掘り、この週末の集合日には農園の皆で雑草をしっかり取りきり、そして毎日でなくてもいいから、できうる限り苗代に足を運んで姿を見せよう。この一ヶ月の情け不足には、そうでもしないと報えそうにない。


 さあ、明日もいい天気になりそうだ。
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2008年05月17日

ひと段落

卯月十三日 晴れ

 播種が遅れたために数日芽出しして、発芽が揃った籾を昨日今日と慌てて苗代へ播いた。これでなんとか苗の準備が完了した。とはいえ一ヶ月前の苗代は生育が沿わず、鳥避けのネットはさすがに機能しているようだが、油断していたらどうやらモグラが苗代の下にチョクチョク出入りしている気配。次から次へと、困ったもんです。とりあえず、踏む踏む踏む! しかない。 (例年モグラの被害はなかったもので、苗代の周囲に溝を掘る手順をサボったツケが回ってきたということか。) まあでもひと段落着いて、肩の荷が降りたのは確かですな。次は、、、、芋!
 
 今日の作業。竹竿の切り出し、苗代作り、サツマイモ植え付け、草刈り。昼が随分と暑くなってきた。



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 スナップエンドウが収穫を迎えています。
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2007年11月18日

エンジン

神無月九日 晴れ

 前週の雨の集合日と、この週末の晴れ。遅まきながらつくし農園の稲刈りが本格的にスタートした。ここの田んぼは水抜けが悪い(そのわりに夏の水漏れは多いのだが)せいか、もしくはこの秋の寒さの訪れがゆるいせいなのか、稲穂の枯れ色の進み具合がのんびりしていた。それもやっと頃合いを迎えた。

 いざ、稲刈りである。

 それぞれの、稲穂の出来はともかく、ようやくの一年の重みを手に握り締める時ではある。どう贔屓目に見ても全体的に実入りの悪いうるち米ともち米。しかし、日当たりの悪いが取水口に近いエリアはなんとかの豊作。その代わりに平均的に実りの良さをみせている晩生の緑米と黒米。香り米、神丹穂、モチ黒米は順調、赤米は元気なし。原因、要因、遠因に頭をひねくり回してみたり、これも修行と受け流してみたり。

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 とにかく、稲刈りである。

 今年はメンバーの区画が増えたおかげでインチキ百姓の作付け面積が昨年の3分の1。こればかりは、嬉しいやら寂しいやら、背反の感情が渦巻くところ(笑)。

 よし、来月中の脱穀作業を見据えて、稲刈りラッシュにエンジンをかける。
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2007年08月31日

停滞

文月十九日 雨のち曇り

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 日々、新しく穂が顔を出しているのに、俺は何をしているんだろう。

 もっと、田んぼと畑に向き合わねば。
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2007年07月25日

水曜大工

水無月十二日 晴れ 【大暑】(23日から)

 梅雨明けはまだですが暦は二日前から大暑へ。月は水無月。そろそろ、晴れの続く頃が近づく。陽のせいか水のせいかわからないが今年は苗の育ちが芳しくない。陽は致しかたなしとして問題は水である。

 一つはモグラによる畦掘り大会。これについてはもうそりゃあ、一つ一つの穴を見つけては踏んで叩いて手を入れて穴を塞いで対処対処の繰り返し。なんだかね、戦えば戦うほど穴の場所が深くなっているような気がして怖いんだけども、放ってはおけない。それこそ中干し期間中の隣の田んぼに深刻な水漏れなんかあった日には、ここでの自然農生活存続の危機だからね。やるしかない。
 もう一つは、水の出し入れ口の水門の不備の問題。昨年から借り始めた水田には直接水路から田んぼに引き入れる効率的な取水口がなく、引き入れるには容易だが入れた水をせき止めておくのがひと苦労であった。それでも昨年は畦道に無理やり木板をはめ込んで治まっていたが、今年は微妙にじわじわと崩壊の一途を辿り、いちいちの水入れ後の堰き止めが大作業になっていた日常であった。

 で、副業が休日の今日、水曜大工のひと手間をかけて超原始的な水門をこしらえた。ありあわせの材料で作る野菜炒めみたいに、まさしくこしらえた。とりあえずはこれで様子を見る。閉じた後に微妙に水が漏れる。うーむ。完璧って難しい。とにかく、簡単に、楽に、作物が育ってくれますように。百姓が必ず思う、根本の欲求。

↓こしらえてみる       ↓閉じてみる
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なんとか水も蓄えられたぜ。
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【大暑】…暑気いたりつまりたるゆえんなれば也(暦便覧)
     最も暑い頃という意味であるが実際はもう少し後か。
     夏の土用の時期。学校は夏休みに入り、空には雲の峰が
     高々とそびえるようになる。
     ※読み:タイショ
     <参考:こよみのページ
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2007年07月23日

どうしよう

水無月十日 曇り

 うんざりするような、田んぼの水漏れ(原因はもぐらの穴)と格闘した後、夕方に部屋に戻る。収穫をとうに済ませていたラッキョウ3kgほどの根と茎を切り落としてラッキョウ漬けの前準備に2時間。缶ビールをあおりながら、売れ残りのズッキーニをなんとかしようと、ジャガイモと玉葱とニンニクとキャベツ、すべて自然農の畑で育った野菜をごった煮にしてスープを作ってみる。余った切り落としの素材は甘味噌で炒めてビールのつまみに。そうしてなんとか夜のひと時へ。

 書きたいことは山ほどありますが、毎日の時間を繰り返すことで疲れて言葉がつづきません。こりゃ困った。

 田んぼ。どんなに奮闘しても、水を入れる度に畦が漏れる。モグラとのイタチゴッコで数時間を無駄にしてしまう。畦シートを入れるのも手なんだが、こう毎回続くとうんざりしてくる。隣の田んぼは、まだ梅雨の中干しの最中。漏れた水が気になって仕方がない。。。と、田んぼの考察はまた後ほどにしましょうね。むむむむ。畑が進まん。
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2007年07月07日

勇者

皐月二十三日 曇り

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田植えがスタートして三週間、勇者健太との一枚。最高の田植え日和。


夜は、集合日の宴会で大騒ぎ。わいわい。
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2007年04月27日

ヒトデ

弥生十一日 晴れ

 苗代作業に数時間。泥土の田んぼは、苗代作りにてこずる。土をくずすのも、根を取るのも、均すのも、濡れていると団子になり乾いていると石のように硬くなる。頃合いの良い晴れ間を選んでも遅々として進まない。一人で五時間、苗代二つ。これが二人なら二時間半、五人なら一時間!? 人手、ひとで、ヒトデ。こんなにも単純で偉大な算数。

 隣の田んぼでは代掻きの為に水入れをスタート。運良く田んぼに出づっぱりだったため、農園の田んぼの水取り口を閉め、畦を作り直して水が入るのを防ぐことができた。農園の田んぼは水路からの水入れが不自由で、隣の水田用の水門を閉めると気をつけていないと水が入る仕掛けになってしまっている。もし自分がいなかったと思うと冷や汗・・・。苗代作りではなかったはずである。なんだか綱渡りのようでもあり、意外に上手く歩いてもいるようでもあり、なんともはや。


 明日からゴールデンウィーク。手伝いの手足が増えますように!!!(叫)
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2007年04月11日

生と死

如月二十四日 曇りのち雨

 生と死。大げさではあるが、それほどの違いに感じる。

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 集合日の準備の為に田んぼに作業に出ると、自然農の田んぼ一面に名もない白い花をつけた草が広がり、じんわりとした暖かさに包まれた。隣には、慣行(化学)農の田んぼ。雑草一つない、日本中に広がる当たり前の風景。

 当たり前を疑い、常識を打ち破る何かを。食料問題、貧困問題、環境問題、経済問題、外交問題、政治問題、全てを満たす答えはないかもしれないが、自分が出来ることを考えながらとりあえず自然農に向き合っていこう。
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2006年12月03日

栗と稲株

神無月十三日 晴れ

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 嬉しい晴天が続く。寒空にいよいよ枯れ色を強め始めた稲株を、駆け込み乗車で刈り急ぐ。晩生の緑米や黒紫苑が青空に映えるさまは、美しきこと限りなしである。



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陽射しが差し込み、稲刈りモードにスイッチオン。



 小生もメンバーに負けずに駆け込み稲刈りを慣行していると、かじかむ刈る手に鋭い痛みが走った。稲株を握って離した手の先を覗き込んで驚いた。分蘗した株のちょうど真ん中に、イガに身を包んだ山栗がすぽりと納まっているではないか。まるで剽軽であり、そしていったいどこから飛んできたのやら。来歴の可笑しさと姿の美しさに思わず脱帽し、指先の痛みも手伝ってその株を刈るのをためらったほど。

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↑クリックして上からみた様子も是非。↑


 手伝いの力も借りながらぞばぞばと猛烈な勢いでひと区画を刈り終え、陽が傾く前にと稲架掛けを急ぐ。稲株を纏め縛り、干し並べる途中で一株分の太さが足りない稲束がどうにも気になり、刈り残していたあの栗入りの株を迷いながらも刈ることにした。栗は山へ、稲穂は稲架へ。あるべく場所へ、あるべくように。

 人も、草木も、そうシンプルに生きられればよいがそれもまた難しく。時折舞い込み心を揺さぶり揺さぶられてまたあるべき場所へ。そこがいるべき場所なのか移るべき場所なのかは自分が決めるしかない。少なくとも、人間は選ばなくてはならない。神無月の十三夜、ひと月遅れた栗名月に何を想う。
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2006年11月25日

ガリリと鳴れば

神無月五日 晴れ

 さあ、脱穀だ!


 湿りがちだった空が、週末を控えて晴れ上がる。絶好の脱穀日和となった。 一ヶ月前に刈り始めたものはたっぷり過ぎるほど乾燥が進み、噛むとガリリと米が音を立てる。それが乾燥十分のサイン。今日の集合日は参加者がプレーヤーのKさんお一人だった為、ゆっくりのんびり脱穀、唐箕、籾摺り工程を復習しながらの一年ぶりの作業となった。お米作りは、全てが一年に一回転しか作業できないから、思い出すのが大変なわけよ。

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 よいしょと稲架から稲藁を外し、今年一番の脱穀作業。疲れたぶんだけ満足が増す、そんな一日。

 さあ、明日はさらにフル回転とまいりますぞ!

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2006年11月23日

手の中

神無月三日 曇り

初雪の夢を見て起きたが、そんなはずもないつくばの朝。カレンダーを見ると節句は小雪に移っていた。

【小雪】…冷ゆるが故に雨も雪となりてくだるがゆへ也(暦便覧)
     小雪とは、寒さもまだ厳しくなく、雪まだ大ならずの意味である。
     市街にはまだ本格的な降雪はないものの、遠い山嶺の頂きには
     白銀の雪が眺められ、冬の到来を目前に感じさせる。
     北風が木の葉を吹き飛ばし、みかんが黄ばみ始める。
     ※読み:ショウセツ
     <参考:【室礼】和のこよみ>  



 雨の様子を心配しながら、曇り空のなか稲刈りを進める。刈る手にも、長靴の中にも、晩秋の冷気が沁みこむ。それでも嬉しいのはやはり手の中に残る重みのおかげだろうか。つくし農園で一番まっとうに成長した「旭竜」という粳米。

 駄目だった理由、良かった理由、まだなんとなくしかつかめていない。色々振り返って考える余地はもう少し後で、今はまず目の前の収穫を進めよう。

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 刈り、積み、干す。手馴れた田んぼの光景。 

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2006年10月31日

安堵感

2006年10月28日

長月七日 晴れ

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 つくし農園、集合日。 いわし雲が空に上がり、稲穂が百姓を呼んでいる。

 何はともあれ、稲刈りである。2年前の、自然農でのはじめての収穫に比べると、ワクワク感こそ落ち着いたものの、稲株に鎌を入れる時の充足感は変わらない。変わったのは実の入り具合、分蘗の数を成果として気にするようになってきたこと。育っただけで満足していた時と比べると、少しは積み重ねたものがあるということか。

 今年はそれに加えて、農園の主としての目も加わった。本心をさらせば、ワクワク感というよりも、安堵感といったほうが正確かもしれない。なんとか、ここまで、来ましたもの。

 賑やかな収穫祭の模様はこちら(つくし農園Blog vol.1vol.2)に詳細。


 芋にも、豆にも、米にも。ひとまずの感謝をつくばの神様に捧げることにします。


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 どうもありがとうごぜいます。
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2006年09月20日

ニヤリ

閏七月二十八日 晴れ

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 最晩生の古代米、黒紫苑が出穂し、花をつけだした。

 これでようやく、すべてのお米たちが秋の収穫までカウントダウンを迎えることになった。可愛い奴らめ、と写真に収めようといそいそと田んぼに出ると、東側に隣接する田んぼのご老父が手刈りでの稲刈りを行なっていた。ずらりと並べられた稲木が見事でついつい邪魔して話しかけると、腰に結わえた稲わらを手に取りながらこちらに気づいてくれた。

 「稲が倒れてしまってねえ、これでないと刈れねえからね。追肥がだめだったんだな、雨と、暑いのと、うまくタイミング合わないと倒れやすくなっちまうみたいだねえ。ま、知らないことばっかりだから(ニヤリ)。」
 専業なのか兼業なのかは聞いてはいないが、その手つき腰つきをひと目見るだけでどれだけその体に染み付いてきた所作なのかがわかる。そのじいさまの口から「知らないことばかり」と出るんだからまいってしまう。

 こちらが迷惑かけてないかとたずねても、それどころか頑張ってくれと答えて、何の関心もないように振舞ってくれる。それがなんともありがたく、少しのあいだ話に耳を傾けていた。一ヶ月後に控えたこちらの稲刈りに向けて竹竿や農具を借りれないものかと相談すると、これまた快いお返事。干しが終わって空いていたら勝手に使っていいから、と別にたいした事でもないようにつぶやき、また稲刈り作業を始められていた。週末には老人会で出かけるから刈っておかないといけないんだそうな。

 
 優しさと、匠ぶり、老人の偉大さ。


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出穂したばかりの黒紫苑(左)と、頭を垂れだしたイセヒカリ(右)と、奥に並んだ稲木干し
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2006年09月10日

一難さって

閏七月十八日 晴れ

 夕方6時。ここ数日、日が沈んで畑から帰って時計を見ると決まってぴたりとその時刻となる。いつの間にか夏至から3ヶ月も過ぎて、気がつけば秋分は目の前に来ている。秋分の前、暦は白露を迎えてはいるが、なかなかどうして、まだまだ暑さに勝てぬ昼間が続いている。

 昨日の土曜日、隣の田んぼでいよいよ稲刈りが行なわれた。遠巻きにコンバインの入る姿をみて、内心はヒヤヒヤものの光景。隣接する箇所がぬかるんでしまって走行に支障がでないかとの懸念も杞憂に終わり、ひとまず迷惑はかけずにすんだという最低限のノルマがクリアされ、心の底から安堵のため息が漏れた一日となった。

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左:つくし水田/右:収穫を終えた慣行田



 さて、その悩みの種であった水周り問題であるが、数日以内に稲刈りが行なわれるという話を前から聞いていたこともあり数日前からじつは田んぼの水を落としていた。出穂を次々に迎えるこの時期の自然農の田んぼにとって水田の水を落とすことは避けたいところではあるのだが、継続的な自然農活動のために涙を呑んでの対応であった。ごめんね、稲ちゃん、許しておくれ、と何度心で泣いたことか。

 そうした今週末。ようやく隣の稲刈りも終わり、いよいよ水を自由に入れられると喜んだのも束の間、今度は水路に水がない。水がないのだ。慣行農の水田では収穫は9月がほとんど、もはや水路に水をたたえる必要はないというのか、田んぼに水を取り込みたくとも水路に水が流れていないのだ。

 とはいえ、残念、と天を仰いでいる暇はない。こんな時の為にと今夏、こそりと買い叩いていた揚水ポンプを物置から運び出し、てんやわんやの準備作業の末、勢いよく水路の残り水を吸い上げるエンジンが自然農園の水田脇にこだますることとなった。(なにやらサラリと書いてしまったがとにかくなんとか対応できたという感じでありました。)

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古めかしいポンプよ…             水を田んぼへ!!!



 理想で「鉱物資源に頼ることなく」と言いながら、こうしていざというときに泣きつく葛藤を乗り越えて。

 ふう・・・。
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2006年08月14日

血肉

文月二十一日 晴れ 時々にわか雨

 茹でたてのトウモロコシを頬張る。完熟に達しきらずに獣害の手が伸びる前の成果をもぎ、甘めのウイスキーソーダを飲みながら主食でありオカズでもあるトウモロコシだけにかぶりつく。夕方の田んぼの帰り道にはご先祖様を迎える線香の香りがただよい、帰省できない親不孝を思いながらその煙を懐かしんだ。なんとなしに、風鈴が欲しくなった。


 さて、現実。つくばでの自然農1年目は、なかなか手ごわい様相を示してきた。しかしすべては必要な体験となり、身にしみて血肉となるはず。

続きへ
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2006年06月22日

水に浸かる

皐月二十七日 曇り

 今年で4回目を迎える田植えの準備であるが、少しずつ大きくなる面積の広さと、今年からの他の参加者へのお世話が重なり、頭と体がてんてこ舞いの今日この頃。なんてことはない、逆算すればどれくらい時間が必要でどれくらい前から用意しておけば分かることを、田植えの数日前になって焦ってじたばたしているに過ぎないのだ。おととしも昨年も、同じように焦って、今年はつくば一年目で勝手がまだ掴めてないのと手間がそれ以上になることは猿が見るよりも明らかなのに、である。

 と、ボロ雑巾のように疲れきった愚痴はこれくらいにしましょ。

 本日、つくし農園の水田(以下、「つくし田んぼ」と呼ぶ)へ、北側の水路から初めて用水を引き込んでみた。春からの溝掘り、土均しを経て、先日に雑草をある程度刈り倒してみての、全体の水の張り具合を確かめてみるのが目的。畦草刈りが追いつかずに雑草が伸び始めている畦道からの水漏れは大丈夫か、たっぷり水を入れた状態での水深はどれくらいか(稲が育つのに十分か)、水路から取り込み始めから水嵩が十分あがるまでの時間はどれくらいかを、田植え前に確かめておかねばならない。結果、「良好、所により難あり」の75点と言ったところか。水深、取り入れ時間は十分。数箇所、畦が若干低くなっており、隣の方の田んぼへの水漏れとまではいかずとも、軟弱気味になり放置しては置けないところが分かった。

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※苗代にも水が入り、引越し前の苗たちから歓声があがる♪

 さてと。全体像を確認して、畦の補整に取り掛かる前にちょっと別作業。見事に伸び育つ刈り残しの雑草たちにも取り掛からねばならない。水が良い加減に張った雑草ジャングルの水田に踏み入り、軍手を濡らして水面に鎌を入れる。軍手から伝わる冷たさ、泥に入れる鎌の感触。・・・なんという、快感!今の今まで忘れていた、何ヶ月ぶりの田んぼ作業の触感が体全体を駆け抜ける。楽しくて、気持ちよくて、かがめる腰の窮屈さも、時折ぬれるズボンの尻も、全てが懐かしくて嬉しさがたまらない。あらためて、田んぼ作業の魅力の底力を思い知ってしまった。

 長い時間同じ作業をしていると飽きてくるし疲れも溜まりやすいので、程よく畦の補整に取り掛かる。

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 まずはこの畦草をなんとかして、、、


 刈った草は田んぼに投げ入れ、鍬を使って溝から土を上げ、長靴底や鍬の背で固めて均す。


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これで何とか、ひと段落。田植え前に、終わらせなければならない下準備。


 ああ、体が軋むようじゃ。
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2006年05月25日

知恵+秘密兵器

卯月二十八日 雨のち晴れ

 3年前、こそりと京都の廃屋から頂戴した農具がある。

 が、それは後述。この日、晩生の稲のギリギリ最後の時期に苗代をこしらえた。それでも時期の遅さには少しばかり焦りも混ざり、初めて「芽出し」をしての種籾落としとなった。芽出しとは、苗代を作る前に稲籾を水につけておき発芽を誘引させる方法と聞く。今まで小生の米作りでは芽出しは行なったことはなく、自然のままの発芽の頃合いに任せていた。そしてそれで十分うまくいっていた。しかし実は一度はやってみたかったこの手の「先人の知恵」。なんとなく試すきっかけがなかったのも事実。さあ、作業の遅れをいい口実に、ニコニコ顔でいざ試さん。

 部屋の中で三日三晩、水に浸して毎日部屋に戻るのが楽しみに籾を見守る日々が過ぎる。ようやく、ひょこと寝癖のような白きチョンマゲが籾から出現。これが噂の発芽玄米、もとい発芽籾米か。善は急げと翌朝の今日、雨水をしっかり含んだ畑に苗代を作ることにした。

 そこで取り出だしたるは先述の農具。持ち出した当時は何に使うかはっきりとは意識していなかったが、そのフォルムから、苗床の被せ土を抑えるのに実に都合のいい物と推察される。

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自然農のテキストなどを開くと、土を平らに抑えるのには板きれや鍬の背がよいとあるが、コイツはまさしく適任のはまり役。コロコロコロと掃除機のごとく転がせば、見事に綺麗な苗代の一丁あがりである。この感触、ちょっと癖になりそうかも。早く来年の苗代も作りたい、と言ったら不謹慎かな。誰かこの秘密兵器の名前、教えてください。

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2006年03月15日

開墾

如月十六日 晴れ

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 はっきり言って、荒地である。

 「つくし農園」の畑の区画整理がある程度進み、この日から田んぼの溝掘りに手をつけ始めた。一面に背の高い強力な雑草群に覆われている放置田、いきなり全て対応できるわけもなく、まずは周囲の溝掘りからはじめる。水位の調節や、簡易な土地区分としても利用できる、田んぼ自然農の第一歩。それにもまして、人を招く前の最低限の準備段階。スコップに足を乗せ、ひたすら続く土木作業。繊細な感覚と大胆な決断力が求められる、男の仕事。他人に任せると少しでもラインが曲がるのが許せないくせに、自分一人でやっていると「コレクライマアヨカロウ」と程よく大らかに進めることができる。

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 このラインをたてに掘り進め、、、     こうして溝を作ってゆく。

 ザックザックと数時間、外枠の5分の1が終了。田んぼの周囲を掘り終えるまでですら、もうしばらくかかりそうな手ごたえ。耕してはいないものの、こりゃまさに、「開墾」です。あとは参加者全員でやるしかないなあ。男手がいるなあ。みなさーん、お手伝い参加、スコップ持参でお待ちしております。

 
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