神無月四日 秋晴れ
気持ちのよい秋空がスコーンと広がった。寝起きの顔に日差しがノックしてくるような気分。気もそぞろに地下足袋を履き、鎌を腰に下げ、稲藁を手に田んぼに降りる。こんな稲刈り日和、堪能せずにいられるかよ。
一番最初に植えたイセヒカリが、「ハヤクカッテクレー」と直訴しているような枯れ具合。稲穂の3分の2以上が黄色く色素を落としきっていて、これ以上遅れると脱穀時に穂ごと離れてしまい脱穀率が落ちてしまう不具合が生じる。急がねば。
ざくっ、ざくっ、と一株一株確かめるように鎌を入れる。手を早めて作業を進めることも頭に浮かぶが、この為に育ててきたからこそ、刈りやる手になんとなしにでも想いを込めたい。横に並んだ列を4列ごとに田んぼを横切るように進めていく。左に2列、右に2列の間に位置取り、手前から刈っていきながら2、3株をひとまとめにした束を交差して重ね左右に程よく置き並べながら摺り足で進む。(実際にしないと伝わらないなあ。文字伝達の限界!)

4列を終えるのに約12分程度。今日の予定は17列、ざっと小一時間以上が過ぎる。
ずらり。
成果に満足して写真を撮ったころに部屋の洗濯が終了、干しに戻る。家の目の前に田んぼがある便利さってこんな時にこそ実感。
数分後に田んぼに戻り、続いて、置いた束を稲藁で縛りまとめてゆく。稲架に掛けるための準備。先日通りかかった近所の爺様に、もっと太い束でやったら早いだろうにとアドバイスを受け、今日は一人作業ということもあり早速採用してみた。これまでの2倍、稲株6株分での束づくり。稲藁で縛れる限界の太さだ。縛り方に少しコツと馴れがいるかなと感じたので、手伝い諸氏に来てもらった時はちょっと難しいかな、などと思いながらも、縛る稲藁の消費が半分になるのは実に効果的かもしれない。こちらは稲刈りよりも少し時間がかかって4列あたり20分程の計算で、1時間半ほどを費やした。
最後は、文字通り「どっさり」と実のついた収穫物をヨロケテ抱えて稲架へ運ぶ。束を左右に1対2の比率でずらして股をつくり、干し竹にかけてゆく。束の太さは、ずらす力も倍にさせるが、秋晴れの気持ちよさが忘れさせてくれる。快感に近い。

午後も浅い時間に本日の予定を無事終了!! 黄金色、豊満なり。