注)記事の日付は太陰暦を用いております

2013年12月21日

庭と脱穀機と私

霜月十九日 晴れ

 数ヶ月ぶりに都心で呑み、終電間際の山手線にて胃袋がひっくり返りそうな満員電車に揺られ、友人宅でだらりと飲み明かした。朝、友人カーに便乗してつくばへ戻ると、連日続いた氷雨があがり、気持ちの良い晴天が訪れていた。

 冬の、晴天の、クリスマス前連休の、年末の、土曜日。つくば駅周りのペデストリアンデッキ(つくば市名物の歩行者専用通行路)に出店されている知人のブースに顔を出そうかという予定だったり、大学の出身学部の30周年行事に出席しようという予定だったり、そうした大切なパブリックな予定全てをうっちゃって、(とはいえ行きたい気持ちはヤマヤマだったのだが)、あえていつもと変わらない自然農な土曜日を、家族と友人と過ごすことを決めてみた。


 庭に、湿気除けのブルーシートを重ねて敷き、その上に作業用の竹カーペットを並べ、足踏み脱穀機、唐箕、籾摺り精米機を置く。古めかしい手箕やふるいや箒も小脇にセットして、雀の涙程度の収穫となった今年の田んぼの無念さもついでに干しつくした米を、ひたすらに脱穀していく。農園プレーヤー(昨日飲み明かした友人ね)の脱穀も精米も共に一気に片付けていく。傍らで娘もせかせかと手伝う。ひと休みは、ござに腰掛けて、菓子や蜜柑を口に運び、茶をすする。

 
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 うららかで、透明度の高い冬至前の陽射しが暖かく、この極上の「普通の土曜日」を過ごした。クリスマス商戦の商業施設の賑やかさから、その距離以上に圧倒的に遠く離れ、太陽と、稲束と、農具の音だけが交差する庭。娘が笑い、父が笑い、母が笑う。友人たちは育てた米を精米して、手を振って帰っていく。ああ、これでいいや、おれんちは。


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 さて、冬至の明日は、友人のレストラン「ナチュカフェ」さんで、アカペラを披露。腕によりをかけてシェフがお届けする、めちゃうまのスペシャルランチの傍らで、ささやかなクリスマスソングを歌ってきます。ランチのメニューには、自然農の菊芋ポタージュも登場予定。ありがたやありがたや。

 ってしっかりクリスマスしてんじゃん(笑)。


第六十三候: 大雪 末候
【鱖魚群(けつぎょむらがる)】
=鮭が群がり川を上る=
 (新暦12月17日頃〜12月21日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

 
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2013年12月05日

ことこと

霜月三日 晴れ

 空気は冷え、空は乾いてきた。まだ今年の米の脱穀も、豆の脱穀も、芋掘りも、そこはかとなく野良仕事が残っている。 のだが、このところ、自主上映会やらなにやらにて、つくば市内を駆け回っている。田畑に出る時間より、焼き芋を焼いたり柚子狩りを楽しんだり、パソコンに向かって作業したりと、雑務(遊び?)の時間のほうが多くなっている。

 さほど冷え込みも厳しくない今夜。部屋の暖房を入れる代わりに、机の横でカセットコンロに手鍋をかけて、小豆をことこと煮てみた。昨年の古米ならぬ古豆を引っ張り出して、あんこを作りながらのパソコン作業。こんな夜もなかなか悪くない。

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 あんこが完成し、試食を妻に。そんな小生を眺めて、「まめだねー」とつぶやいた。いや、そういうオチではないのだけれど。すみません。。。


第六十候: 小雪 末候
【橘始黄(たちばなはじめてきばむ)】
=橘(蜜柑や柚子など)の葉が黄葉し始める=
 (新暦12月2日頃〜12月6日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年11月28日

毎年毎年

神無月廿六日 曇りのち晴れ

 つくし農園、平日プレーヤーさんのMさんが来園。

 脱穀&籾摺りして今年のお米を手にして帰宅された。ザリガニ、水不足、雀の大襲来と三重苦に見舞われた今年の水田だったが、一握りでもお米が「収穫」といった形になったことはそれでも嬉しい。

 もはや我が人生で当たり前になりすぎている、足踏み脱穀機と唐箕で脱穀し、籾摺り精米機で籾摺りし、その年に育てた米に辿り着く。残った藁と籾殻は田んぼへ。毎年、毎年の繰り返し。一年に一シーズンしか使わない農具を取り出し、掃除し、整備し、思い出し、を毎年繰り返していく。古道具をオークションや知人のつてで手に入れてから数年が過ぎ、あちこちにガタが目立ち始める。それも少しずつ、手直しして、時には改修して、これからも少しずつの毎年へ。

 
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 午前中の脱穀作業を終え、午後から夕方は娘と畑で芋掘り。週末のつくいちに向けて、アピオスと菊芋をどっさりと掘り起こした。そして日暮れ。晩秋の燃えるような空に、寒さと疲れがふき飛んでいく。これも毎年の、当たり前の、底抜けに心地よい景色。だから明日も頑張れる。


 
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2013年11月27日

低空飛行

神無月廿五日 曇り 

さて。
このところ。
なにを書いていいものやら。

相変わらず、農は低空飛行。軌道修正を試み試み、アップアップしながら、今日も鳥除けネットの中に群れなして侵入する雀どもに絶望し、すでにへし折られているやる気レバーをまたなぎ倒される。

その中で、ほのかにもたらされる恵みに、かみ締めて毎日を生きています。

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秋植えのジャガイモ。

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よく成ったよ小豆くん。

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なんとか耐えた生姜。

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息も絶え絶えのサツマイモ。

今週末のつくいちは、「菊芋屋」として出店するしかねえなこりゃあ。



こうした低空飛行をなんとか支えられるのは、毎日が自然の下で家族と和気藹々やっとるからに他ならない。ありがとよー。おめーら。

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第五十九候: 小雪 次候
【朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)】
=北風が木の葉を払いのける=
 (新暦11月27日頃〜12月1日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年07月21日

醍醐味

水無月十四日 晴れ時々曇り

 いやー、水無月。水がない。けど、やるしかないね。
 
 ともあれ、遅れている田んぼと大豆の種蒔きとともに、子ども向けのキャンプイベントやワークショップの準備を同時平行に進める日々。日中は、梅雨明け直後の猛暑の津波はひいたものの、この時期らしい軽やかだがそれはそれで厳しい暑さに包まれる為、つまりは作業は早朝と夕方に分断される。

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 日の出の朝。4時半、猛烈な布団の誘惑を、妻の調教で這い出してもぞりもぞり。後ろ髪引かれて着替えているうちに、畑に出るのは5時過ぎとなる。田んぼでは、遅れに遅れてしまったまだ植えきっていない苗を、自然農では推奨される一本植えも諦め、乾ききった自然湿地の中へ五本植えしていく。刈り草の中にヨモギがあり、敷き草として倒した列に、鮮烈な匂いが立つ。まるでバジルのような芳香。だんだんと、頭上に傾く太陽に汗を流し始めた体に凍みる香り。「この匂いなら、オリーブオイルと和えてパスタにできるか?」などと思考を横道にそらしながら、ひいこらと。昼まで。


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 日の入りの夕べ。18時半過ぎには夕焼けもワインレッドに変わり、しみじみと西から群青に暮れていく。東には十四日夜の朧月。満月には満たない月が、流れ雲に時々姿を隠しながら閃光を放ちはじめると、手元は視界を失い、19時を回る頃に作業は終了となる。陽射しが弱まり風が体をいたわりはじめる15時頃からの午後の作業をとじて、ヤギと共に家路へ。


 こんな理想的な過ごし方ばかりを送れるわけではないが、夏の自然農的ライフの醍醐味は、実はこのリズムに他ならない。


 明日から2泊3日の子ども向けイベント。子どもらにも、この醍醐味伝えられるかなー。


第三十三候: 小暑 末候
【鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)】
=鷹の雛が飛ぶことを覚えはじめる=
 (新暦7月17日頃〜7月22日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

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2013年07月10日

どシンプルに

水無月三日 晴れのち雷雨

 わくわくの、ぞくぞくの、おまちかねの、夕立来襲。

 伸びて伸びて首がもたげるほどに待っての後の天雫。

 神に感謝し、恵みをいただく。久しぶりの、どシンプルな、自然への畏敬と感謝を。この夕方に。


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 浴びろ浴びろ!!

第三十一候: 小暑 初候
【温風至(おんぷういたる)】
=あたたかい風が吹いてくる=
 (新暦7月7日頃〜7月11日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※


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2013年05月25日

毎日

卯月十六日【満月】 晴れ時々曇り

 気がつけば一ヶ月。毎日が自然農のくせに、毎日を記録せずに過ごしてしまっている。

 さて畑。ジャガイモを結局全ては植え終わらずに、作業のピークはサツマイモ、里芋、生姜へ。むむむ、なかなか追いつかない。雑草は百花繚乱。虫も跳梁跋扈。彩りの賑わいに、野菜たちも少々押され気味(笑)。草刈りと、種蒔きと、収穫準備と、農園整備と、どれから先に手をつけていいものやら、作業予定を手に畑に向かうものの、実際の様子を目の前にしてついつい優先順位がころころと入れ替わる毎日。

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 田んぼ。苗代は前半に播き終えた種は少雨にも負けずにすくすくと発芽、成育し、例年に勝るとも劣らぬ苗代が育ってきた。先日、恥ずかしながらの最後の種籾を播き終え、ようやく胸をなでおろす。毎年のことだが、少々播き時が遅れた為に行う発芽作業によって籾からちょんまげをのばした種が可愛くてしかたがない。


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 この芽を折らぬように、通常よりも播種後に被せる土を鎮圧せず、優しく苗代を仕上げなければならない。作業を遅らせた自分のせいではあるのだが、夏が近づく頃のこの季節に汗をかきながら手間をかけて作る最後の苗代作りは、手間の掛かる子を慈しむように情が湧いてきてしまう。


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 さあ、待ったなしじゃーーー!! 



第二十二候: 小満 初候
【蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)】
=蚕が桑を盛んに食べ始める=
 (新暦5月21日頃〜5月25日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※
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2013年04月07日

春の嵐

如月廿七日 暴風雨のち暴風晴れ、時々雨

 2008年の7月からの開催以来、毎月第一日曜日(変則日は除く)に開いていた「つくいち」は、57回目にして、悪天候のための中止となった。週半ばの天気予報での、春の嵐予報。これまで雨予報を何度も覆してきた「つくいち晴れ伝説」もあり、今回もそのセオリーのように予報は前倒しに雨の嵐は過ぎた。空模様だけはくっきりとした晴れとなり、「これはつくいち開催もありだったかな?」と苦笑いの朝を迎えたが、さりとてつくばは朝から猛烈な風が吹き荒れ、あくまでも来場者の安心と安全を重視した決定は、やはり正鵠を射た判断であった。

 つくいちは、特別なイベント行事としてではなく、毎日を「生産者」や「販売者」として暮らす出店者の、月に一度の出張所のようなものでありたいという思いが、開催当初からの主催サイドの変わらぬスタンスである。もちろん毎月の会場での来場者との直接のふれあい、中央公園の芝生の上の景色は格別の一日だが、中止の決定がなされたあとに淡々と受け止め、そして普段どおりの日曜日や休業やそれぞれの日常に戻られていく出店者の姿がそこにあった。それは、悪天候の残念さを感じるよりも先に、どこかしら清々しさを覚えるような印象を小生に残した。もちろん、いち出店者の、勝手な感想に過ぎないのだが。

 昼に風が吹き荒れ、夕に猛烈に通り雨が抜け、決して特別でもない日曜日が過ぎ、また月曜日へ。そしてつくいちはまた来月の第一日曜日に開かれる。淡々と、粛々と、草が伸びるように、花が咲いて散るように、折々の紆余曲折や起伏や平板を常に楽しんで。そんな大げさなことでもないけど、通り雨が上がった夕方の、幻想的な西の空におもわず息を呑み、そんなことを考えていた。


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 大雨も大風も、澄み渡るような夕暮れも、人が作り出せないものの理不尽さと偉大さと美しさに包まれて生きていきたい。って建て前ではそういうけど、そうは単純にはいかんもんだよね。
 
 春の嵐の残り香がまだまだつくばを濡らし、今年はじめての蛙の鳴き声が、辺りを包む夜であります。さあ明日から、怒涛の農週間。


〜 初蛙 嵐で起きて 起こされて 〜


第十三候: 清明 初候
【玄鳥至(つばめきたる)】
=つばめが南から飛来する=
 (新暦4月5日頃〜4月9日頃)
七十二候を取り入れています※


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2013年01月15日

遅ればせながら

師走四日 晴れ

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 新年明けましておめでとうございます。

 遅ればせも遅ればせているうちに、新暦の小正月。年末から見舞われたパソコントラブルがにっちもさっちも行かず、ふと、宝くじを祈るような思いで電源を入れた雪明けの午後。うううううううん、とそろりそろりな起動音とともに愛しのDELLが復活しました。ようやく、雑草屋も目が覚めました。

 旧暦では、まだまだ師走も師走。つまりは新暦正月の休暇モードとPCの不調にかまけてどっかりと冬を休んでいたツケが回り、2月10日の旧正月までは怒涛の忙しさで走り回ることになりそうな予感と悪寒。


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 連日連夜記録的に冷え込みの続いた年末年始。元旦、一ノ矢神社に参拝し、畑と田んぼへ足を伸ばすと足元にギリシャ神殿を思わせるような霜柱が屹立していた。
 自然はいつも、想像を超えて目の前に広がっている。この美しさを、人はたやすく真似ることはできない。しかしそれを感じて学び、受け取って味わうことは許されている。だからこそ小生は、「自然農」を選んで生きようとしている。自分の思い通りに自然を利用するのではなく、自然のありように沿って生きる術を選びつかもうと。


 今年の農初めは5日、つくいち前日の畑の中で菊芋を二時間掘り続けた。また今年も、歩いて歩いて。這って這って。人と、自然と、関わりつづけながら過ごしていきたい。

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 ・・・七十二候、、、びっくりするほど過ぎていました。わかってたんだけどん。ずらり、一気に六十五候から六十九候まで。これだけ眺めていても、季節の巡りを実感するもんだね。ええ、確かにキジが鳴きましたとも。

第六十五候:冬至次候
【麋角解(さわしかつのおる)】
=大鹿が角を落とす=
 (新暦12月26日頃〜12月30日頃)

第六十六候:冬至末候
【雪下出麦(せっかむぎをいだす)】
=雪の下で麦が芽を出す=
 (新暦12月31日頃〜1月4日頃)

第六十七候:小寒初候
【芹乃栄(せりすなわちさかう)】
=芹がよく生育する=
 (新暦1月5日頃〜1月9日頃)

第六十八候:小寒次候
【水泉動(しみずあたたかをふくむ)】
=地中で凍った泉が動き始める=
 (新暦1月10日頃〜1月14日頃)

第六十九候:小寒末候
【雉始雊(きじはじめてなく)】
=雄の雉が鳴き始める=
 (新暦1月15日頃〜1月19日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※

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2012年12月22日

生ず

霜月九日 雨
第六十三候:大雪末候
【鱖魚群(さけのうおむらがる)】
=鮭が群がり川を上る=
 (新暦12月16日頃〜12月20日頃)

第六十四候:冬至初候
【乃東生(なつかれくさしょうず)】
=夏枯草が芽を出す=
 (新暦12月21日頃〜12月25日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


 冬至の雨。クリスマスの歌を歌い、ローストビーフを頬張り、知己と語らい、大掃除を済ませた部屋に帰る。がらんどうとした冬の家はしんと冷え、炬燵にあたって、うつらと眠る。

 稲の脱穀はまだ残れど。大豆の脱穀もまだ残れど。明日からしばらく、冬篭り。新暦の正月に、またお会いしましょう。


 冬に至り、そして春生ず。 新しい営みへ。




※パソコンのモニターが壊れててんやわんや。年末年始のPC作業がすべてストップしてご迷惑おかけしております。どなたか譲っていただけるデスクトップ用のモニターをお持ちの方がいましたら、是非使わせてくださいませ。ご連絡お待ちしております。
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2012年11月11日

日々

長月廿八日 曇りのち雨
 
第五十三候:霜降次候
【霎時施(こさめときどきふる)】
=小雨がしとしと降る=
 (新暦10月28日頃〜11月1日頃)

 
第五十四候:霜降末候
【楓蔦黄(もみじつたきばむ)】
=もみじや蔦が黄葉する=
 (新暦11月2日頃〜11月6日頃)

 
第五十五候:立冬初候
【山茶始開(つばきはじめてひらく)】
=つばきの花が咲き始める=
 (新暦11月7日頃〜11月11日頃)

※今年から七十二候を取り入れてみました※


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 いろんなこと起こるね。いいことも、いいことも。そしていいことも。あ、いいことばっかだ。

 万物流転。万象我師。何とでも言えるのだが、自分も、他人も、関わり合いの中で変化と持続を日々微細にやり繰りしながら流れてますね。その中で野菜も米も自分も育っていることを知ってればいいのだと思う。

 今年は地味に予感していた通り秋の足が速い。初霜こそ、なんとなく昨年よりも遅かったように記憶しているが、バタバタ感と冬へ進む感じは間違いない。・・・と思っていたけど夏が長かったんだから冬が例年のように訪れるのなら秋は短いわな。当たり前か。ということで秋も深まります。枝豆の美味しいシーズン、一年で最も「旬の味」が似合うのは自然農の枝豆だと自負しているが、それももう終わり。瑠璃色の玉のような枝豆から、真珠をも思わせる乳白たるコクを含む大豆へ。その移行期である期間(霜の降りる直前)の、豆を育てる百姓ならではの楽しみが、彩り枝豆だ。小生が栽培している黒大豆、緑大豆、木下大豆は3種共に枝豆の頃は当然緑色。それが枯れ始めを迎えて大豆へ移行する途中に収穫すると、ほのかに色づき始め、そして実としては硬くなり始める直前の、色彩と旨みの豆が鮮やかに味わえる季節が、初霜の頃なのだ。

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 自然農の野菜の味をしっかりと楽しめる友と、飯を炊き、カブ菜を味噌汁に仕立て、味わいの彩り豆を薄塩味で楽しむ。食欲の秋こそ今なれと、天に高く感謝するのはこんな時だろうか。


 田んぼでは雀の大襲撃に苛まれ、例年よりも2週間以上も早く全ての稲刈りを終えることになった。この頃の農家は押しなべて早植え早育て早取りして現金化というわけでもなかろうが、そうした風潮にのみ幸せがあるわけではない。自然農は、時期に播き、時期に育て、時期に刈る。それだけなのであり、毎年刈り時は枯れ時に応じて終わらせていた。しかしてそんな幸せの一形態は、今年の雀によって死神の首刈り鎌の如き一振りでなぎ倒され、せっせと早刈りに精を出すことにした。そうなればなったで、いつもより少し香りの強い稲藁の匂いに喜び、例年よりもイナゴの強く跳ねる様に驚き、違う幸せが訪れただけであった。ま、雀に食べられ過ぎてさえいなければ更に良かったのだけどなあ、などとは言うのも野暮だな。
 
 畑では、霜枯れ色に畑が変わり始めた。それまでまだまだ育つぞと、陽射しが弱まる中も緑を伸ばして成育し続けようとしていた夏野菜秋野菜に、初霜は容赦なくレッドカードを突きつける。野菜たちは反則を犯したわけではないのでレッドカードでは失礼ね、タイムアウトのホイッスルといったところだろうか、育ったものも育ち途中のものも皆等しく「退場」を言い渡すのである。小豆もそのプレイヤーの一人。一足早く成熟し豆を実らせていた莢はカラカラと小気味良い音を立てて収穫どきを迎え、少し遅れた莢たちは、霜による強制力によって、直前まで青々しく実らせかけていた莢を急転して枯れさせる。この時期の畑では、それを苦々しく受け入れた小豆の株を所々に見かけることができる。少々マニアックではあるけれど、この季節の自然農の畑の風物詩とも言える、毎年見られる光景である。この、季節によって、あるいは自然の到来によって、皆等しく時期時節を受け容れ次へ進みゆく、というところこそが、自然農的思想の本質であり、小生が大好きな妙味でもあるのだ。

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 さて順調に、今期の初風邪もひいた。昨年までよりも、よりタイミングよく、より迷惑もかけ、より計画的に、より段階的に風邪と共に過ごし、熱も関節痛も胃痛も頭痛も一通り味わって、彼らは去っていった。そしてすこぶる快調が訪れている。これもまた一つの幸福ですかな。
 七十二候も既に五十二候へ。そりゃあ冬も立ちますわ。

 日々是好日。

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2012年10月12日

ふと

葉月廿七日 晴れ
 
第四十七候:秋分次候
【蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)】
=虫が土中に掘った穴をふさぐ=
 (新暦9月27日頃〜10月2日頃)

 
第四十八候:秋分末候
【水始涸(みずはじめてかるる)】
=天地の水が涸れ始める=
 (新暦10月3日頃〜10月7日頃)

 
第四十九候:寒露初候
【鴻雁来(こうがんきたる)】
=雁が飛来し始める=
 (新暦10月8日頃〜10月12日頃)


※今年から七十二候を取り入れてみました※



 ふと、自分は何のためにこのキーを叩いているのかと考えはじめるのだが、答えはいっこうに見つからない秋の夜。

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 庭の金木犀が一斉に香りだしたと思っていたら、気がつけばすっかり残り香を漂わせるほどにおさまり、それに代わるように、柿の木に熟れた実が鈴なりに色をつけ始めている。
 種蒔きに追われた初夏を過ごした大豆の畑は、酷暑での成育に気をもんでいたものの後優りに莢を膨らませ、いよいよ収穫の秋を迎え始めた。あと半月もすれば、豆名月を楽しめる頃になるだろうか。
 田んぼは稲刈り。黄金色の稲穂に負けじと古代米が七色に彩る自然農の田んぼは、程よく頭を垂らす頃になった。周囲の慣行農法の田んぼでとうに稲刈りを済ませられて格好の餌場を失われた雀達が狙うのは、あわれ我らがつくし農園。稲穂が垂れるのは実りのしるしであり、それは即ち雀の襲い掛かるしるしでもある。かくして今年も、雀対自然農人間のサバイバルレースの幕があがった。
 
 家には、LONOF体験者が時折に訪れ、自然農の作業手伝いと、拙宅の振る舞い料理を等価交換して帰っていく。月に一度のワークショップ、月に一度のつくいち、月に一度の農園集合日、副業の賃金労働にも出かけ、本業である野良仕事にも出かけ、粟子と歩き、友人と歩き、どうにか生きている。自然農を背景に暮らし、生きながら広がる繋がりに手足を様々に伸ばしている。これからどうなるかはわからない。いつかは死ぬまで、命が閉じるまで、自分を開きながら、人と関わり環境に身を任せながら生きるだけである。

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 そうか、今日はたまたま農園の方にも会い、つくいち仲間にも会い、学生時代の友人にも会い、たくさんの人間にも会ったけど、畑でもたくさんの命に会い、田んぼでもたくさんの命に会い、ただそれだけなんだな。同じように生かされ生かしてるだけなんだな。だから恐らくこの文章も、どのようにかして誰かに会い、生かされ生かしてるのだろう。だから自分はキーを叩くのかも知れない。不精でも惰性でも気力でも習慣でもなんでもいいから、機会を残しているあいだならいつでも、書けるときに書けばいいのだろう。Facebookには載らない、退屈な毎日の上に、そうして夜長はふけるのだ。

 明日はパン屋で自然農の作物を置かせてもらうことになった。また一つ、また一つ、生きる限り、この「また一つ」を大事にしていきたい。
  
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2012年09月01日

山あれど塵しるす

文月十五日 晴れ
 
第四十候:処暑初候
【綿柎開(わたのはなしべひらく)】
=綿を包む咢(がく)が開く=
 (新暦8月23日頃〜8月27日頃)

 
第四十一候:処暑次候
【天地始粛(てんちはじめてさむし)】
=天地の気が粛然として暑さが鎮まる=
 (新暦8月28日頃〜9月1日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※



 ツクツクボウシがようやく鳴き始めた8月の末、残暑がこれでもかと続き、雨はもはや呆れるほどに降らない日々。朝の風が、わずかに、涼やかさを届けてくれたかと思うのもつかの間に、そんなほのかな安堵を叩きのめす炎天が肩を射し焦がす。

 9月。明日のつくいちは五十回目にして雨天の天気予報。喜ぶべきや喜ばざるべきや。書くべき事は山のように、書きうる業は塵のごとし。

 点景のみで伝うるか。むりむり。

 
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 けぶる日の出の宝篋山(ほうきょうざん)


 
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 赤爛々と鈴鳴る


 
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 やうやう茎より出でたる稲の穂


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我、旧盆に迷いしコクワガタなり

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2012年08月21日

夏雑感

文月四日 晴れ
 
第三十八候:立秋次候
【寒蝉鳴(ひぐらしなく)】
=ひぐらしが鳴き始める=
 (新暦8月12日頃〜8月16日頃)

 
第三十九候:立秋末候
【蒙霧升降(ふかききりまとう)】
=深い霧が立ち込めるる=
 (新暦8月17日頃〜8月22日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


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〜にがうりを ならべてすずし 盆の空〜



 四日月(そんな言葉は日本語にはないが)が、存在感を示しながら西を照らす夕暮れ。このところ、雨が稀にドカ降りするようになった。やれやれの安堵もあり、しかし田んぼに水は張るほどでもなし、それでも稲は日に日に、文字通り日に日に分蘗を進めている。

 盆に実家に勢いで戻ってみたり、体調を不安定にしてみたり、塩をふったナメクジのように寝室で溶けてみたり。夏を五感で味わっています。 このところお会いできていない方も、お会いできた方も、ご機嫌宜しくお過ごし下さい。

 初夏の頃からの雑感ではあるが、今年は季節が2週間ほど遅く訪れているような、そんな感覚がある。立ち上がる春も、梅雨の頃も、そしてこのうんざりの猛暑も、夕立の空も。そうして今、立秋を思い出すかのように暑さが根強く荒ぶり、それと同時に朝夕の日差しの色やセミの声が緩やかに、夏のピークから交代し始めている。とはいえ、もんのすごく暑いんだけどね。なんとなしに、大豆の生育も稲の出穂などもきっかり2週間とは言わないが、その程度の、七十二候で言えば二候や三候ほどが、遅れて届くようなそんな感覚。
 はてさて、そんなのはただの思い込みなのか。そしてそもそもそんな雑感がクソの役にもたつのだろうか。ヒグラシは、ずっっと前から鳴き始めているけどさ。知らんけども。


 この夏、とうとうエアコン作動なしで乗り切れそうな暦になってきた。このままエアコン無しで済ませられるかな。先日ビクビクしながらエアコンなしで乗り切ったワークショップでは後日、暑かったとの声が届いた(笑)。風鈴じゃ、団扇じゃ、やっぱり無理があったかなあ。濡れ手拭いを首に巻いたり、動脈をキンキンに冷やしたり、空気全体を冷やさずに夏の気を空間として追いやることはせず、涼しく過ごすことを選択する人たちが増えたら、日本が、世界が、文明が変わるのだろうけど。大げさではなくね。こればっかりは・・・反省材料ともしつつ、他者の感覚とも乖離しすぎずに歩いて生きたい。

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 気がつくと一週間、忘れるとあっという間に過ぎますな、日記は。やれやれ。

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2012年07月13日

だらしありたい

皐月二十四日 曇り
 
第三十一候:小暑初候
【温風至(おんぷう(あつかぜ)いたる)】
=暖い風が吹いて来る=
 (新暦7月7日頃〜7月11日頃)

 
第三十二候:小暑次候
【蓮始華(はすはじめてはなさく)】
=蓮の花が開き始める=
 (新暦7月12日頃〜7月16日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


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 梅雨があけず。時々にからりと晴れて夏を思わせる数日もあったが、このところまた雲やら風やら雨やらが戻り、いつになくおつゆがしっとりと田畑を濡らしている。
 時には宝篋山(ほうきょうさん)に雲がたなびき、時には晴れ間に紫陽花が輝き、田んぼは水を貯め、畑は朝露にじっとりと濡らし、ただただ雑草は背丈を伸ばす。暦ではそろそろ梅雨も明けて夏本番へとにじり寄っていているものの、今年はいま少しだけ、作業の遅れを許してくれそうである。

 自分に欠けているもの。今更ながらであるが、丁寧さと着実さと根気強さである。農具置き場の整頓が行き届かず、畑も所々に手付かずあり、田んぼも今年も計画通りには進まず。毎年今の今までなかなか向上していかんもんで困ります。一言で言えばだらしないんだよなあ。

 そろそろ、だらしない自分から一皮剥けていかんといかん。

 だらしある。そう、日常の中で常にだらしある自分に少しずつ修正していこう。 


 と、そんな日本語にない言葉を適当にいじくり回して遊んで自己満足している辺りが、そもそも見込みないんだよな。
 
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  洗った手ぬぐいを竿に干して、風に飛ばされた先に紫陽花が。こーんな感じの偶然をどこか心待ちにして生きてたいんだよね。田植え、大豆の種蒔きを終わらせていないというのに、予定通り連休に田畑を休む自分。どう弁護してみても、だらしあるとは言いがたいぞ。

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2012年05月14日

焦る暇なし

閏弥生二十四日 晴れ時々曇り

第二十候:立夏次候
【蚯蚓出(きゅういんいずる)】
=蚯蚓(みみず)が地上に這出る=
 (新暦5月10日頃〜5月14日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


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 この季節は必然的に焦る要因に溢れている。毎年。
 先週末にようやく田んぼの苗代の種まきが完了しひと段落。と思いきやまだまだ播き残しが残る夏野菜の種まき。そしてようやく本番を迎える枝豆大豆の播種期到来。その間にも、エンドウの支柱紐張り、ジャガイモの草刈り、サツマイモの苗定植、忘れていた(!)里芋と生姜の植え付け。 あと何?? Blog? ワークショップ開催!? ぬおおおおおお。

 やってやるーー。
 しかし、朝から畑に出て、昼は暑くて日陰か家に逃れて7月開催予定のワークショップの準備にあて、夕方また畑に向き合って、暮れて夕飯用意してまた机に向かって、ってBlogなぞやっとる暇がない。  

 モチベーションだけはある。畑の土はもう少しもうひと声、積み重なりと命の営みが満つるのを待ちたいところだが、自身の積み重なりと営みは滋養がついてきた感あり。雑草が伸びやかに伸びるように。ぬおおおおお。

 そんなこんなで焦っているように書いてしまいましたが、時間がないだけで焦りはないのです。焦ったって仕方ないこと。田畑も、自分も、限りある中でうごめくのみ。

 
 吹き抜ける一陣の風は、まだまだ肌を冷やす春の気に包まれている。

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2012年03月23日

しまいました

弥生二日 雨

第九候:啓蟄末候
【菜虫化蝶(なむしちょうとかす)】
=青虫が羽化して紋白蝶になる=
 (新暦3月15日頃〜3月19日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


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 旬は過ぎてしまいました。23日の今日は既に第九候は過ぎ、節気は啓蟄を越え春分を迎えていました。彼岸も明けてしまっていました。ついでに弥生に入っていました。

 菜虫も蝶と化すというのに、しばしば蛹に閉じこもることの多いインチキ百姓です。時々に大失態を犯してます。農園へ見学に来られる方との約束を一週間完全に勘違いしてご迷惑をお掛けしてしまいました。注文すべき種苗類を取り忘れてしまいました。もぞもぞもぞ。

 ああ、もぞもぞ。はよ旬に追いつけよ。農虫。

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もぞもぞと、移植して何度目かの春を迎えるニラ。


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菜花。写真はすべて19日、春分前の畑にて。

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2012年03月14日

ふんがー

如月廿二日 晴れ

第八候:啓蟄時候
【桃始笑(ももはじめてわらう)】
=桃の花が咲き始める=
 (新暦3月10日頃〜3月14日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


 文字通り、鼻が垂れている。鼻水が、とめどなく、溢るるごとく、したしたと、鼻腔に詰めたティッシュをつたい、ほとりほとりと、本人の気付かぬような無音で、キーボードをたたく手前の机の上に、片付け忘れた手帳の上に、限りなく透明に、不思議なほどにサラリとした粘度で、したり落ちる。花粉よ、家の裏手に林立する杉よ、無策の林業政策の果てに日本中に生を宿した放置林の杉の花粉よ、また会ったな、2012年の春に。

 防塵マスクの上に簡易マスクをつけ、ゴーグルして、頭に手ぬぐいを巻いて、腐海の胞子を防がんばかりの完全防備で、ジャガイモを植えまくっております。いったいどこが自然農なんだか。

 あー。かふんがふんがー。

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−気分はユパ様で−  


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2012年02月14日

春準備雑感

睦月廿三日 曇りのち雨

第三候:立春末候
【魚上氷(うおこおりにのぼる)】
=割れた氷の間から魚が飛び出る頃=
(新暦2月14日頃〜2月18日頃)
※今年から七十二候を取り入れてみました※


 種を播くには早く、種を播く時期をただ待つわけにもいかないこの季節。もぞもぞもぞ、と準備作業、のようなものがあったりなかったり。

 田んぼでは、4月に籾種を降ろす苗代を冬の間に作っておく。播種の時点で作っても良いのだが、この時期にこしらえて、米ぬかを振りまき稲藁を被せるなどして養生しておき、その後にも雑草の芽を摘み、種まき後の苗の生育が芳しくなるように準備しておくことで、より逞しい苗に育ってもらおうという親心のようなエゴのような知恵のような、そんな作業である。 つくし農園のプレーヤーの皆さんによれば、昨年の反省として、苗代の土に隣接の空き地の土を利用したことで雑草がひどかったということがあり、今年は苗代周囲の田んぼの中の土を掘りあげての苗代作りに変更してみる。まだまだ正解が見えないつくし農園の、この辺の揺れ動きがまた面白いところでもある。

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 畑では、本来は晩秋までに済ませておきたかったエンドウ豆とそら豆の播き残しを、怠惰とエゴと反省が混ざり合ったような後始末としてこの時期に種まきすることにした。畑への直まきをするにはまだ、しっかり寒さが残りすぎている。芽を出した後に霜や雪などでたちどころに枯れ消えてしまうリスクが大きく、しかし3月の声を待っているだけでは初夏の収穫にはちと心もとない。ビニルハウスや寒冷紗などの農業施設・資材の類を使わずに、であれば小生が利用できる場所は、縁側である。昨年までに、市販の苗を購入した苗用ポットを捨てずに取っておいたものが、貯めにためて150苗分。再利用の鬼が降臨し、今年初挑戦の、秋播き残し野菜の早春ポット栽培をすることにした。ポット苗用の土を買うのも使用するのも、自然農のスタンスとして違和感を覚え、植え戻す予定の畝から一々、肥えているようないないような自然農5年目の土をポットに取り、リビングに土をこぼしながら、人生初になる夕飯後の播種作業なるものをやってみた。この後は、晴れた日にはガラス越しにぽかぽかの陽射しがさす縁側へ並べ、時々に水をやり、さてどうなることやら。観葉植物を枯らすことにかけては右に出るものなしと自覚するインチキ百姓が、ついぞ手を出すことがなかった(簡易)温室栽培が上手くいくかどうかは、この後しばし留守を任せることになる居候氏に一任されたのは言うまでもない。

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 先日の日曜日、CSフジテレビのバラエティ番組が畑に撮影にみえた。「日本全国を旅して、ご当地の食材を使ってオリジナルカレーを作る」というテーマの、『カレー番長が行く!』という番組。CSはおろか、TVも頻繁には見ない小生ではあるが、ご連絡をくださった方やロケハンにみえた方の雰囲気に柔らかいものを感じたので、楽しみに受けることにした。つくばの食材として、紫峰牛(寡聞にして知りませんでした)と酒蔵の酒粕(詳細を伺えませんでした)、そしてなぜか自然農の菊芋とカブを使用したキーマカレーを作るとのこと。当日は、カレー番長さんと名乗るお二方と、元ボクシング世界チャンピオンの内藤大助氏がゲストでいらっしゃった。緊張もしましたが、なかなか面白い体験となりました。残念ながら出来上がったカレーは実食できないのだが、番組としてレシピが公開されるようなので、放送後には自分でも作ってみることにいたしましょう。

 放送は、3月7日(水)の深夜00:00〜01:00、CS307 フジテレビONEにて。小生は放送は観られませんが、放送後に届けていただくDVDで楽しみたいと思います。

 ※詳しい番組HPはこちら ⇒ 『カレー番長が行く!』 
 ※放送スケジュールなどは ⇒ こちら
 
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  カレー番長のお二方、内藤さんと、ミーハーに記念撮影



 苗代作業を何とか済ませた頃に雨が降り始めた夕方、いわきの母と姉から、生チョコと塩チョコの便りが届いた。海産物ほどにそれほど目立った名物もなかった地元いわき市であるが、ここ数年の塩スイーツブーム(古い?)の前から地道に販売されていた「めひかり塩チョコ」。いわきの市魚、目光をチョコに命名するそのセンスには賛否があるかもしれないが、じわじわと存在感を示す不思議な説得力は、贈り物として手元にするとさらに光を増す。箱に添えられた栞を開くと、詩人の三好達治の一言が寄せられている。

 日本語には海の中に 母があり
 フランス語には母の中に 海がある

 むむむむ。美しい言葉です。
 しかしそれがめひかり塩チョコと何の関係があるのかと、突っ込みどころが満載ながら、美味しく箱を閉じるのである。姉さん母さんナイスセンスです、ありがとう。七十二候【魚上氷(うおこおりにのぼる)】に、本当に微妙に重なったところで、おひらき。
  

 ※こだわりのいわきの名物スイーツはこちらから ⇒ めひかり塩チョコ Chocolat au Sel de Mel
posted by 学 at 18:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月03日

暮れて明ける

師走十日 曇り時々晴れ(いわき)

 新年明けましておめでとうございます。

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 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 旧暦ではまだもう少し師走が続くが、年始のムードに心地よく包まれて、のんびりと実家で雑煮を食べている。こたつに入って箱根駅伝のTV中継を眺め、母親から絶え間なく飛び出す四方山話に邪魔され続けながらPCに向かう。
 
 大晦日は、静かに暮れていった。なんとも不思議な暮れであった。「聴く・話す時間」というのは、やはり振り返って何かの「収穫」を確認するような時間ではないような気がしてくる。昼食は、自然農の田畑からの恵みを用意した。おにぎり、根菜の味噌汁、カブと青菜のおひたし、焼き芋。すべてではないが、もてなしに自分の育てた(いや、田畑で育った)野菜たちを提供できるのはやはり嬉しい。言葉に頼り切らない一風変わった時間、「佇まい」や「自分の中身」や「対話」の意味のようなものを嫌でも考えてしまうような時間を過ごす合間に、無理をかけない自然の営みの中で己れ自身の佇まいを全うして育った野菜の料理を食べる。それを意識して用意したわけではなかったが、そこには何かしら、自然農に浸かっている自分が「聴く・話す時間」にも面白みを感じている理由があるような気がした。こじつけかもしれないけど。

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photo by dan



 用意した時間を終えて、参加者の一人としばらく世間話をし、すっかり夕暮れが迫っていた。2011年の最後の夕焼けと共に参加者の方を見送ると、それまで庭でうるさいほど鳴いていた迷い猫が、その方と共に家の門をくぐり抜けて出て行った。そしてそれきり、彼は帰って来ていない。正月を迎え、つくばを離れ、居候氏に留守を託していても、その夕暮れを最後に彼はまだ、家に戻ってきてはいない。

 なんとなしに全体的につかみどころのない大晦日を過ごし、年が明け、震災を経ても幸いなことに昨年とさして変わらない故郷いわきで正月を過ごし、そしてまたいつもと変わらない毎日の自然農へ、つくばへ戻る。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。
posted by 学 at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然なる日々 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする