注)記事の日付は太陰暦を用いております

2014年09月19日

筑波山脈?

葉月廿六日 曇り時々晴れ

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 穂紫蘇が実をつけ始める頃。雨が降り、日が差し、空は天高く。風は冷たく、蚊は肥大し、いよいよ秋本番へ。

 秋の野良仕事もピークに差し掛かり、毎日(時々休みながらも)フルで田畑で過ごし、夕方見渡す空が息を呑むほどに美しい。

 ある日は、西の雲の合間から放射状に差し広がる夕焼け。またある日は、見事に鱗(うろこ)状に描かれた鰯雲。そして先日の曇天の夕暮れ。畑の北東の宝篋山(ほうきょうざん)には、いつもは山の向こうには山陰などなく、背景には空が広がるだけなのだが。しかし、その日は見事なまでの黒雲と白雲のグラデーションにより、あるはずのない山脈が突如現れた。

 まるで長野か山梨の、アルプスの連峰の裾野にいるかのような不思議な感覚。浅い尾根から霧が被るように雲が流れ、その奥にはさらに険しい山が控えているかのような、そんな景色。まるで、筑波山脈。

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 ここつくばに来て、初めて目にしたこの風景。なんだか得したような、旅したような、そんな夕方。日々是好日。


第四十五候: 白露末候
【 玄鳥去(つばめさる)】
=つばめが南へ帰っていく=
 (新暦9月18日頃〜9月22日頃)
七十二候を“ときどき”取り入れています※

posted by 学 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 筑波を想う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月27日

つくばの放射線について

弥生廿五日 晴れ時々曇り (強風)

 先日一通のメールを、A様(仮名)からいただいた。 雑草屋として、とても大切なご質問をいただけたので、回答と共にBlogに掲載させていただくことにした。


> HPを拝見させていただき、メールさしあげました。
> (中略)
> それと、放射性物質について教えてください。
> つくばは、原発事故から0.4μSv/hから0.1μSv/hの間で放射能物質が飛んできました。
> 今までの積算が140μSvくらいなので、大地にも降り注いでいると
> 思います。野菜に降り注いだヨウソはあまり気になりませんが、大地に降り注いだ
> セシウムが気になります。つくばはそれほど、多くないのでたくさんは降り注いで
> いませんが、そちらでは、大地の除染等はなさっていらっしゃいますか?
> はじめての放射能のこと、あまりよくわからないのですが、よかったら、
> 放射能が大地および野菜に与える影響について(つくばで)教えてください。
> (後略)


以下、回答した内容をQ&Aとして掲載する。

---転用----------------

質問1: 放射能が大地および野菜に与える影響について(つくばで)教えてください。

回答1:つくば市では、おっしゃるように大気中放射線の観測積算値が140μSv程度になっているかもしれませんが、この値は外部被曝としての積算値になりますので、地上に(=土壌に)積算値の放射性物質があるわけではありません。先日知人のカウンターで筑波大学敷地内の芝生地の表面(地上数cm)の放射線量を測りましたら、0.2μSv/h程度でした。これは地上に降下したセシウムなどの放射線によるものと思われます。(ヨウ素は半減期を過ぎてだいぶ低減しているはずです。)よって、現在つくば市の農地で観測できる放射線量は同様に0.2μSv/h程度と考えてよいかと思います。つまり140μSv程度と言われるような放射性物質は存在しておりません。

ここからは私見ですが、現在土壌に沈降して放射線を出しているのは、上にも述べたようにおそらくセシウム137でしょうが、現在の0.2μSv/hから自然放射線としての約0.09μSv/hを差し引いた、約0.1μSv/hが今回の原発事故による放射線と考えられます。この値は野菜などの摂取基準で考えますと、仮に全量が野菜に付着していたとしても僅かに10Bq(ベクレル)/kgを観測される程度の量であり、セシウム137の野菜摂取基準500Bq/kgの50分の1という数値です。また現在は福島原発からの降下性のある放射性物質の大気への放出は確認されておりませんので、このところの風雨によって野菜類に直接付着している放射性物質は地面に洗い落とされているはずです。一方土壌から野菜が吸収する可能性もありますが、植物がセシウム137を吸収する仕組みは、カリウムと間違えて吸収してしまうものであり、植物がカリウムを必要とする量以上には吸収されません。例えばホウレンソウが体内に含むカリウムは約0.7%ですが、仮にホウレンソウの全てのカリウムがセシウム137に置き換わっていたとしても(実際には絶対に起こりえませんが)、葉物野菜などの体内に入るセシウム137は=僅か0.1Bq/kgにも至りません。この値がどの程度の影響があるかと考えてみますと、自然に存在する放射性物質で人間の体内に常に存在する放射性物質カリウム40は、体内で毎秒およそ4000Bqの放射線を放出しています。このことからも、つくばでの現在の土壌から育つ野菜に対する放射線への心配をする必要はほとんどないと考えております。

質問2: そちらでは、大地の除染等はなさっていらっしゃいますか?

回答2:以上の理由から、つくばでの土壌の除染の必要性はまったく考えておりません。自然農でもっとも重要なことは田畑の生物多様性であり、今まで積み重ねてきた微生物の営みを侵してまで放射能をおそれるほどの放射性物質の降下は発生していないと判断しております。

---転用ここまで----------------

以上、文系の小生が不勉強ながらもたどり着いている今の理解です。間違いがありましたらご指摘ください。


参考URL:茨城県内農産物・畜産物への影響について


★上記、一部内容についてコメント欄でご指摘をいただきましたので、下記の「コメントへのご返答」の中で訂正、返答させていただきました。ご参照ください。

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コメントへのご返答
posted by 学 at 23:48| Comment(8) | TrackBack(0) | 筑波を想う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月12日

消えゆく前に

卯月十八日 曇りのち小雨

 つくばエキスプレスの研究学園駅から、住まいのある栗原地区へ車を走らせるといつも、鼻の奥のほうから臍の下の辺りまで、深刻な不快な気持ちが染みのように広がる。


 「つくばスタイル」という言葉がある程度定着し、つくばエキスプレスの駅周辺の開発が進められている様子を見るまでもなく、つくばは開発の波に飲まれている。小生が1995年に筑波大学に入学した頃のつくばに比べても、その変化のスピードは驚くべきものである。

 まだ。まだ具体的な言葉にすることができない。しかし、研究学園駅からイーアスを過ぎて筑波山方面へ向かい、西大通り(国道408号)と交わるまでの新道路の左右に広がる景色を毎度眺めるたび、暗澹とした不安に襲われることだけは記しておく必要があるのだと思った。そこで目に映る区画だけでは決してない、はるかに大規模な面積で、今つくばの森と林が切り倒されている。自然農の田畑などとは比べ物にならない、はるかに大きな生態系が、つくばの地で今まさに、そして明日まさに、消え続けている。伐採、整地、宅地化、開発、まるで一方通行な光景。そして、それに疑問を差し挟む余地がないような、熱と、理屈と、人間の目指すもの。

 おい、日本にそんなに人がいるのか?そんなに無作為に木を切り倒してどれだけの価値があるものが建つんだ? ブルドーザーが均し終えた剥き出しの土の上に降り立つカラスの群れは、今後の棲みかをどこに移せばいいんだ?ロハスって何?

 おしゃれで手軽な田舎暮らしは、まるで無神経に見えてしまう乱開発の上にしか成り立たないのだろうか。果たして。


 今、小生にできることはわからない。自然農を静かに歩みつつ、いったい何ができるのか。これ以上、今以上、無駄に木が切り倒されるのなら、つくばスタイルなんていらないんじゃないのか。適度な、適切な、つくばの生き方は他にないのか。政治では変えられないのか。経済ではもがくだけ無駄なのか。しかしこの「モヤモヤ感」だけは、放っておくわけにはいかないのだ。

 ぜんたいつくばの人は、旧住民は、新住民は、開発業者は、行政は、どんな想いなのだろう。小生は、なにかできるだろうかね。何もわからないまま、書き連ねてみる。希望も絶望も、一歩踏み出すことからしか始まらない。


※今回の記事の周辺風景 by google map

大きな地図で見る

※地図付近の「学園の森」地区は、Wikipediaによればまだまだ開発されていくそうだ。
posted by 学 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 筑波を想う | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする