如月一日 晴れ 於大子町
これは、人生何度目かの「ぎっくり腰」を発症してから、治癒に至るまでの、完全ドキュメンタリーである。
【途中、この枠の中でマインドボディヒーリングの解説を挟みながらお届けします。】
1.プロローグ 令和二年二月某日、午前7時半ごろ。その日は曇りと晴れが混ざり、移植を待ち望む果樹の苗たちが、庭に根を下ろすのを今か今かと待ち望んでいるような、冬の朝だった。
出勤前の定植作業を予定していたにもかかわらず、相変わらず寝坊を決め込み、布団から出たのはもう出勤まで余裕もない時間。妻の一押しで覚悟を決め、「30分で終わらせる!」と意気込んで支度にとりかかった。
急ぎつつも順調に2本のプルーンの苗木を畑に移植し、次は3本目の苗に取り掛かる。少し大きめの、10kg程度の果樹の苗木を、時間も気になって、ちょっと無理のある体勢で持ち運んだ。植え穴に降ろして、根を包んでたネットを外しそうとしたが、根っこが引っかかってなかなか取れない。
力任せにネットを引っ張り、反対の手で根っこを抑えておりゃ!と気合を入れた瞬間、仙骨から15〜20p上部、背骨を中心にして直径15pほどの範囲に、大激痛が走る。
来た!!!?!!!!!
ぎっくり腰!!?!!
2.腰の崩壊、そして奇跡への軌跡
うめき声とともに、膝をつく。激烈な刺激とともに、猛烈な違和感が腰に襲い掛かる。数年ぶりの、奴との再会。間違いない、これは「ぎっくり腰」だ!
間髪入れず、「来た!!」と確信して
「その手は食うかーーーーーーー!」と庭で一人、声をあげる。
【無意識の抑圧感情が引き起こすTMS(心身性症候群)への初期対応で最も重要な点は、「症状を身体の問題としてではなく、心の問題として認識すること」。それに最も効果的な行動が、自分の脳に真剣に話しかけることです。】
そして即座に具体的に、思い当たる「無意識の抑圧感情(イヤ!)」にフォーカスしていく。
「違う違う違う違う!
そうかー、今かー!やっぱそう来るかー
だよなー、早起きしたくねーよなー
ていうか出勤前に苗の植え替えって鬼かよ!
ていうか出勤したくねーんだよ!
仕事やりたくねーーー!
行きたくない!
なんなら苗だって植えたくない!
だらだら朝寝てたい!
昨日だってみやちゃんの誕生日頑張ったし!
なんか疲れてるし!
もうやだやだやだやだやだ!」
【具体的な、ストレスであっただろうことを、吐き出す。列挙する。当たってても当たってなくいてもいいから、とにかく、無意識から意識上に、浮かび上がらせる。重要なのは、脳に、「ネガティブ感情が溜まってたことに気付いてるぞ!」と無理やりにでも認識させること。】
まだ腰の痛みは消えない。まだ痛い。しかしここで、次の一手を放つ。
「あー立つぞもう立つぞ!絶対大丈夫だし。
痛さは脳のせいだし!腰じゃねーし!
立つ!!!
よーしOK!立てんじゃん。やっぱ立てんじゃん!
いけるいける、やっぱなー。そうだよな。」
【マインドボディヒーリングで、無意識の抑圧感情に目を向けるとともに大切な行為が、「痛み(症状)に取り込まれずに、身体は大丈夫なんだと強く自覚すること」です。】
ただ、一度発症した痛みは、余韻を残す。そしてその余韻は脳に揺さぶりをかける。
「ん??
あー、まだちょっといてーなー。
あれー、くそー。これやっぱなんかやっちゃったか??
いやいやいやいや!違うから!
なんだーこのやろー!絶対その手は食わねーーぞこのやろー!
ほら、もう立ててるし!
すぐにでも動けるし!
うわ!なんかびりびりする!!いてー!
いやーでもこの激痛ぶりはなんかちょっと不安になるくらいいてーなー!
ホントは腰やったか?マジか?やべーか?
いやいやいやいや!絶対違う!
腰は最強!こんな程度の苗で絶対やるわけないし、
そもそも重いもの持って腰痛くなるなんて科学的じゃないし
メカニズム的に発生しえないし!
ていうか立ってるし!動けっぺ!
よしよしよし動ける動ける。
よっしゃやっぱり大丈夫じゃん。
あー、まだちょっといてーなー。
でも大丈夫じゃん。」
【症状は、脳が引き起こす「無害な状態」である。という言葉があります。サーノ博士が解き明かした腰の痛みのメカニズムは、「人間の身体はとても強くしなやか」であることを証明しました。痛みに負けることは、脳に負けることを意味しています。これはTMSとしての全ての症状に当てはまります。】
この激痛が「無意識の抑圧感情」による脳の戦略(心を休ませるために身体に症状を引き起こす)によるものだと自覚した上で、さらに力強く、脳に話しかけ、畳み掛ける。そして、対話を重ねていく。
「なんだ―!何があったー!
何を我慢してたー!
いやそうじゃねーな。。。
とりあえず全部我慢してるわー。
イヤイヤやってること沢山あるわー。
なんにもしたくねーわー。
仕事も家事も育児もぜーーんぶめんどくさいわー!!!!
やだやだやだやだず――――っと寝てたい!
ね、だよね。
そうだよね。
そりゃ腰も痛くなるよね。
もう大丈夫だよー。
わかってるよー。
最近気にしてなくてごめんねー。
そうだよね。
頑張ってたよね。
大丈夫大丈夫。気づいたよー。
腰の痛みはもういいよー。
ありがとうー。ごめんねー。許してねー。愛してるよー。
ありがとうー。ごめんねー。許してねー。愛してるよー。」
【何がストレスだったのか、ということへのフォーカスすることと同様に、もしかしたらそれ以上に、脳へ感謝する、脳をいたわることも大変重要です。脳は、痛み(や症状)を通して、心に相当の負担がかかっていることを教えてくれているのです。小松は個人的に「ホ・オポノポノ」の手法を便利なツールとして利用して、脳(つまり自分自身)へ愛を送るフレーズを唱えています。】
3.奇跡ではない、日常へ そして、これら一連の行動は、本当にすぐに効果を表す。ぎっくり腰を起こした自分に、奇跡が起きる。
「ねー。
そろそろ動くかー。
動くの怖がってっと余計痛くなるからなー。
よーし、もう元の作業戻るぞー。
しゃがむぞー。
あーちょっとぴりぴりすんなー。
怖いなー。でも大丈夫!!!!
痛くなる必要はもう無くなったから!
余韻の筋肉の緊張で血行不良で痛みが出てるから!
深呼吸すっかー。
酸素を腰に届けっか―。
血流を送り込むか―。
リラックス―。リラックス―。
深呼吸ー。深呼吸―。
はいOK〜。
ちょっと痛くても大丈夫〜。
あとは普通に作業に戻るよ〜。」
・・・ぎっくり腰が発症してここまで、きっと2〜3分。そしてその後すぐに3本目の移植作業に戻り、30分くらいかけて、予定通り10本の苗の植え替え作業を終わらせることができた。
痛みの残像はまだ残っている。しかし、痛みに屈し、「ぎっくり腰」患者に陥り、これからの数週間、痛みと恐怖と悔しさに翻弄されるはずだった自分は、そこに居なかった。
雷に打たれたように襲い掛かった腰の激痛。まぎれもない、ぎっくり腰。ともすれば、痛みに顔をゆがませ庭にうずくまりその後の数週間を棒に振る寸前まできていたが、自分には、マインドボディヒーリング(心身治癒)の心得が身についていた。
やったことは、記述した数分間のアプローチだけ。庭で小声でもなく時々大声で、自分の芯に言い聞かすように。周りの目をほんのちょっと気にしながら。
5年前のぎっくり腰よりももしかしたら激甚な腰の痛み。
あの時は、立てるようになるまで12時間。車に座れるまで、まる2日。痛みから回復して作業ができるようになるまで、2週間。そしてその後も続く、腰の違和感に怯える日々。
それが、数分で、もとの果樹の植え替え作業に復帰。ときどき残る腰の違和感の残像は、恐怖ではなく、戒めとして、心の片隅に残っている。しかし、日常生活として、腰からのサインが自分にとって全くの障害でないことに、喜びを感じずにいられない。
4.モノローグ ぎっくり腰が、腰痛が、「腰の関節や骨の異常」って誰が言い出したんだろう?
でも、わかる。
この痛みは、絶対腰が物理的に障害を負ったとしか思えない。
わかるよ。
でも、心の「無意識の抑圧感情」にフォーカスして脳と対話しただけで、俺、治ったよ!
みんなー!ホントだよ!!
あれから数日が過ぎた。
ぎっくり腰未遂の朝の後、全てを縁側のガラス戸越しに見ていた妻からは、「やってたねー♪ がんばったね♪」と委細を見守った上で、「いやだったのに苗作業終わったね♪ ありがとう♪」とねぎらってくれた。
作業後、
・車を運転して
・出勤してデスクに座って数時間のPC作業に向かい
・時々プリントアウトした資料を取りにプリンターを行き来し
・同僚が重そうに持つ段ボールを代わりに手伝い
などなど、ぎっくり腰を朝に患った人間には到底避けたくなるような行動を、気がついたらやって(できて)しまっている。ときどき、慎重に動かすことはあるけれども。(痛みが一瞬で消えるわけではない。特にぎっくり腰のように強烈な痛みを伴う症状は、数日間は余韻を残す。)もちろんその日以降も、腰の痛みを悲観するような事態には至っていない。整形外科も、痛み止めも、整体も、針治療も、マッサージも食事療法も、体操も、ヨガも、すなわち身体(腰、痛み)に直接フォーカスするようなことは、一切行っていない。
ときどき、あまりの痛みの無さに「あ、そういえばあの日危なかったな―」と笑いながら思いだす。そして、先日TVで見かけた花粉症注意の報道に触発されて、持病(だった)花粉症の初期症状が身体に現れる。(花粉症などのアレルギー症状も、TMSのひとつに挙げられます。)
そのたびに、心の内側で、「大丈夫大丈夫♪ もう気づいてるよ〜。花粉症じゃないよ〜。ストレス溜まってるね〜」と話しかける。それで数分後には、くしゃみも鼻水もない身体に戻っていく。この数年間そうだったように、そしてこれからも。妻も、家族も、そして、マインドボディヒーリングを共有できた人たちもきっと。
これは、奇跡でも、怪しい宗教でも、疑わしい民間療法でもなんでもない。身体と心の相関関係を理解して、理論にそってアプローチすればだれでも可能な、マインドボディヒーリングの全てだ。
サーノ博士をはじめ、心身相関、心身合一のプロセスへの理解のヒントを提供して下さったすべての先人たちに感謝して。
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